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映画『キミにきめた!』が共感を呼ぶ理由 あなたにとってのポケモンってなに?

7/28(金) 19:14配信

KAI-YOU.net

20作目を迎えるポケモン映画の最新作『劇場版ポケットモンスター キミに決めた!』が7月15日に公開された。

サトシの冒険は上書きされない

『キミに決めた!』は、1997年に放送開始したテレビアニメシリーズの物語を、新たにサトシとピカチュウの出会いから描きなおした完全オリジナルストーリーだ。

※本稿では、『劇場版ポケットモンスター キミに決めた!』の一部ネタバレを含みます

文:潮見惣右介 編集:ふじきりょうすけ

サトシの冒険は上書きされない

テレビシリーズの第1話で、サトシとピカチュウの前に姿を現した伝説のポケモン・ホウオウ。

その崇高な姿を目撃したサトシとピカチュウは「絶対あいつに会いに行こうな!」と約束を交わす。その約束は、同時に多くのポケモンファンとも交わされた約束でもあり、『キミに決めた!』で20年の時を経て、ついに果たされる。

完全オリジナルストーリーでありながら、テレビシリーズと美しくつながった最新の物語は、20年で積み重ねてきたポケモンワールドが魅せるひとつの集大成であるとも言えるだろう。

筆者は1990年生まれ、テレビシリーズ放送開始時は6歳である。ゲームボーイでプレイしていた初代の「赤緑」シリーズ、第2世代「金銀」シリーズ以降は、ずいぶんとポケモンから遠ざかっていた。

とはいえ、子どもの頃ポケモンに熱中し、アニメシリーズを毎週欠かさず観ていた。筆者のような世代にとっては、涙が出るほど懐かしい細やかなネタや人物が、劇中の随所に散りばめられている。

例えば、悪いトレーナーに棄てられたヒトカゲ、サトシに別れを告げるバタフリー。何を見ても何かを思い出すほど、ポケモンと自分自身がどこかでリンクしている。

だが、タケシやカスミなど馴染みの顔は登場せず、マコト、ソウジといった新しい仲間と旅をともにしていく。

新たなキャラクターに、旧来のファンから反発がないわけではない。往年のファンである人ほど、タケシとカスミが登場しない物語を観ることに抵抗を覚えたことだろう。

しかし、映画を観ればわかるように、「リファイン」された物語は、決してタケシとカスミの存在を蔑ろにしているわけではない。

マコトとソウジは、それぞれカスミとタケシのキャラクター性を引き継いでいる。マコトはカスミのように水タイプのポケモンを使用する活発な性格の女の子で、ソウジはタケシのようにポケモンに対する深い知識を持ち合わせた男の子だ。

もし劇場版としてタケシとカスミを登場させるとなると、おそらくアニメシリーズとは異なる出会い方、異なる人物設定になってしまうだろう。だが、それはもうタケシではないし、カスミではない。

サトシたちの冒険を上書きするのではなく、あくまで「リファイン」であるからこそ、「ふたりのキャラクター性を引き継ぎながら、新たなキャラクターとして登場させる」という方法がもっともスマートな答えであり、映画はそれを成功させている。

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最終更新:7/28(金) 19:14
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