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E-girlsが追求するパフォーマンスの進化 E.G.family初公演で印象付けた革新性に迫る

7/28(金) 14:00配信

リアルサウンド

 E.G.familyにとって初のライブとなる『E-girls LIVE 2017 ~E.G.EVOLUTION~』は、19人体制のE-girlsからの“進化”を印象付ける、メモリアルでありながら革新的なライブだった。7月15~16日、さいたまスーパーアリーナで約3万人の観客たちを魅了したパフォーマンスについて、詳細に考察してみたい。

 E-girlsは、2013年にリリースした1stアルバム『Lesson 1』がオリコン首位を獲得して以降、一気にスターダムへとのし上がり、2014年には初の単独ライブツアー『COLORFUL LAND』を成功させた。武道館を満員にしたこのライブでは、メンバーたちのダンスの魅力を最大限に引き出すために、全方位向けのステージが採用され、映像・照明ともに最先端技術が数多く用いられた。そのハイレベルなパフォーマンスと演出は高く評価され、2015年の『COLORFUL WORLD』、2016年の『E.G. SMILE』と、単独アリーナツアーは毎年ごとにスケールアップしていった。メンバー自身のスキルが上昇したのはもちろん、メディア活動やパフォーマンスを通して、それぞれのキャラクターの認知も進み、若年層の女性を中心に幅広い層のファンを獲得。また、Dream、Flower、Happiness、各グループの方向性も明確化していった。

 今回の新体制であるE.G.familyは、個々のメンバーがさらに自分らしく輝くために、自分たちの意思で決定したという。すでに高いレベルのパフォーマンスを実現していた19人体制のE-girlsが、さらに前に進むためには、各グループの体制を根本から見直す必要があったのだろう。E.G.familyは、11人体制となったE-girls、Dream Ami、DANCE EARTH PARTY、Happiness、Flower、ShuuKaRen、スダンナユズユリーによるガールズエンタテインメントプロジェクトで、各メンバーがより個性を活かした表現ができるようになっているのだ。

 ライブはまず、19人体制のE-girlsによる最後のパフォーマンスから幕を開けた。これまでのアリーナツアーでは、中央にメインステージが据えられていて、観客がそれを取り囲むような配置だったが、今回はメインステージが会場の奥にあり、そこから続く花道がアリーナ席を横断している。これはつまり、メインステージで、できる限り真正面から見せたいパフォーマンスがあるということだろう。

 スクリーンに映された、E-girlsの歴史を振り返る映像では、メンバーたちがこれまでどんな夢を抱き、実現してきたのかを改めて辿った。今回のライブのテーマである“メモリアル”を感じさせる演出だ。そして映像が終わると、19人のメンバーはなんと花道から登場。キュートさよりもクールさを前面に押し出した、フード付きのエキゾチックな衣装を着たメンバーは、2016年にリリースした19人体制最後のシングル「Go! Go! Let’s Go!」を披露する。Dream Shizukaらの強気なラップが映えるこの楽曲は、今のE-girlsのモードを表している。ブレイク当初はカラフルなポップソングの印象が強かったが、近年はクールなダンスナンバーが多く、最先端の音楽的アプローチにも果敢に挑戦しているのだ。たとえば『E.G. SMILE -E-girls BEST-』に収録されたリミックスCDを聴けば、国内外で活躍するトップDJたちが多数参加していて、非常にエッジの効いたサウンドを展開していることに驚く方も多いはずである。

 その後、「E.G.Anthem」や「DANCE WITH ME NOW!」などのダンスナンバーで、一気に会場を熱気に包む。Dream AyaはMCで、「笑顔の先にある熱狂を表現したい」と、数多くのライブを経験するなかで、メンバーの意識が変化してきたことを伝えていたが、その回答がクール路線のダンスパフォーマンスであり、今回の「E.G.EVOLUTION」なのだろう。しかしながら、メンバーたちのパフォーマンスは決して気負いすぎたものではない。むしろ余裕を感じさせるほどの堂々たるパフォーマンスで、そこには達成の喜びの方が色濃く滲んでいる。Dream Ayaが途中、アドリブで“ランニングマン”の振り付けを披露してみせた時などは、会場に笑いさえ起こっていた。最後の「Follow Me」まで、19人体制のE-girlsは、その役目を笑顔で終えていた。この親しみやすさもまた、E-girlsの大きな魅力だ。

 E.G.familyの紹介映像が流れた後には、VERBAL、DJ MAKIDAI、DJ DARUMAによるクリエイティヴ・ユニット、PKCZ(R)が登場し、彼らのDJに合わせて藤井姉妹によるユニット・ShuuKaRenがその姿を表す。PKCZ(R)は、面子からもわかるように本格的なダンスミュージックを志向しており、8月2日に発売される待望の初アルバム『360°ChamberZ』では、なんとWu-Tang ClanのMETHOD MANともコラボレーションを果たしている。そして、ShuuKaRenが披露した楽曲「UNIVERSE」は、LDH所属のヒップホップクルー・DOBERMAN INFINITYの面々らが作詞に参加している。そのミステリアスでクールなパフォーマンスは、現行のダンス/クラブシーンの延長にあるもので、だからこそ非常に新鮮だ。

 EXILE TRIBEのアーティストによる紹介映像はさらに続く。次にスクリーンに映ったのは、アンダーグラウンド・ヒップホップの影響を公言するEXILE SHOKICHIだ。ソロで活動するときの彼は、R&Bだけではなく、ハードコアなラップもこなす。彼のラップで紹介されたのは、これまた自らの音楽性を深めているFlower。鷲尾伶菜のボーカルを軸に、バラード路線を極めていたFlowerは近年、そのパフォーマンスをさらにエレガントでオリエンタルな方向性に進化させている。まるで映画を観ているかのような、芸術性の高い大人のエンタテインメントに、会場からは感嘆の声があがる。メンバーの成熟により、文字通り花開いたといえる優雅なダンスは、誰もが目を奪われるものだろう。

 三代目J Soul BrothersのNAOTOとNIGO(R)を中心とした1DJ・4MCのヒップホップユニット・HONEST BOYZ(R)の紹介で現れたのは、Happinessだ。E.G.familyの中でもトップレベルのダンススキルとストリート感覚を持つSAYAKAとYURINOを擁するだけあって、Happinessのパフォーマンスは近年さらにヒップホップ色を濃くしている。また、Happinessへの専念を発表しているMIYUUによるコレオグラフもユニークで、腰を大胆にうねらせる“ダンスサビ”は、すでにファンたちにとってはお馴染みだ。決して難しくはなく、しかし大きなインパクトを与える動きである。HappinessがFlowerと対極のアプローチを採っているのは、E.G.familyの多様性をそのまま表現しているかのようだ。

 そして、LDH屈指のラッパーであるCRAZYBOYによって紹介されたのは、もちろんYURINOと須田アンナ、そして武部柚那によるガールズヒップホップユニット・スダンナユズユリーだ。「こんにちWhat's Up!」で会場を盛り上げた後、1stシングル表題曲「OH BOY」と新曲「CALL ME NOW」を披露。弾むように踊りながら繰り広げるマイクリレーと、ヴィヴィットなファッションには、独自のヒップホップ感がある。パフォーマンスの最後に、YURINOが突然鳴り出したスマホにおどけて出るような仕草を見せると、会場からは「かわいい!」という歓声が。彼女たちは今後、同世代のポップアイコンとしても注目を集めそうだ。

 ヒップホップ色の強いパフォーマンスが続いた後は、Dream Amiが客席側から登場。「トライ・エヴリシング」から「君のとなり」まで、透明感のある可愛らしい歌声と、メルヘンチックな世界観で会場の雰囲気をガラリと変える。ダンスミュージックだけではなく、女の子が素直に憧れられる、恋愛ソングをしっかりと押さえているのも、E.G.familyのポイントだろう。Dream Amiは、これからもE.G.familyの顔として人気を博し続けるに違いない。

 Dream Amiに続いて登場したのは、Dream Shizukaが今後、専念して活動するDANCE EARTH PARTY。トラックメイカーのbanvoxと、和太鼓グループのDRUM TAOという異色の組み合わせで制作された「NEO ZIPANG~UTAGE~」は、“ダンスで地球とつながる”というコンセプトを具現化した、ミディアム・グルーヴのダンスチューンだ。ゆったりと踊る感覚の楽しさは、今後ぜひ追求してほしいところである。

 そして、最後に登場したのが11人体制となった新生E-girls。彼女たちのフォーメーションの新しさは、これまでも本サイトで論じてきた通りであり、今回のステージの配置は、特に彼女たちの新曲「Love☆Queen」のパフォーマンスを際立たせるためだろう。キャッチーな「LOVE」の振り付けは真似をするファンも多く、きらびやかさの中に親しみやすさも感じられた。3人のボーカルと、8人のパフォーマーによる新しいE-girlsは、鷲尾伶菜を中心に、今後も新鮮な音楽を届け続けてくれるはずである。

 さて、ここまで『E.G.EVOLUTION』のパフォーマンスを、各グループの特色や音楽性と紐付けながら読み解いてきたわけだが、ひとつ確実に言えるのは、E.G.familyはEXILE TRIBEと協力して、今後さらにダンスを軸としたエンタテインメント表現を、世界の音楽シーンとも呼応しながら、さらに豊かにレベルアップしようとしている、ということだ。LDHはもともと、EXILEのメンバーが自ら立ち上げた会社であり、メインストリームで華々しい活躍をする一方で、その根底には海外のヒップホップシーンに強く影響を受けたストリート・カルチャーの精神を抱いている。独自の発展を遂げた日本の音楽シーンの中で、いかにしてダンスミュージックの魅力を広く伝えていくかが、大きなテーマだ。

 そんな中、E.G.familyは改めて、世界水準のエンタテインメントを、音楽性においてもパフォーマンスの面でも追求しようとしているのではないか。今回、EXILE TRIBEの面々ーー特にストリート色の強い音楽性を持ったメンバーとのコラボレーションをアピールしたのは、より幅広い表現をしていくことの意思表示だろう。一方で、Dream Amiのような歌謡曲も織り交ぜることで、誰もが楽しめる間口の広さもある。最先端のクラブミュージックから等身大の恋愛ソングまで、メンバーそれぞれが個性を発揮することで、よりバリエーションに富んだ表現ができるのが、E.G.familyの最大の魅力といえそうだ。

 最後になるが、15年の長きに渡る活動を続け、E-girlsをここまで引っ張ってきたDreamには、最大限のリスペクトを捧げたい。Dreamのメンバーが、どんな苦境にあっても決して夢を諦めなかったからこそ、E.G.familyは今、未来を見据えている。

松田広宣

最終更新:7/28(金) 15:11
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