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自家用車の中まで規制しかねない、東京都受動喫煙対策の暴走は防げるか

7/28(金) 8:50配信

HARBOR BUSINESS Online

 飲食店の処遇を巡り、自民党と厚生労働省の折り合いがつかず、先の国会での提出が見送りとなった、健康増進法改正案-いわゆる受動喫煙防止法案であるが、政府に先んじて東京都で条例化しようとする動きが活発化している。

 都議選における歴史的な大勝利をおさめた都民ファーストの会。都民ファーストの幹部は「今までにない行政のスピードになる」と強調しながら、公約に掲げている受動喫煙防止対策に関する条例案を9月の定例会に提出すると示唆している。

 都民ファーストの会が掲げる、受動喫煙防止対策とはどのような内容なのか。今後、東京都における喫煙ルールはどのようになるのか。政府が検討する受動喫煙防止法案との違いを整理してみる。

◆受動喫煙防止対策―自民、厚労省、都民ファーストの違い

 受動喫煙防止法案に関しては、喫煙者にとって一番厳しいと言われているのが厚生労働省案であり、その対極として、喫煙に関わる事業者(飲食業、サービス業等)への配慮を示した自民党案がある。今回、都民ファーストの会が掲げる受動喫煙防止対策(※10P)は、この厚生労働省案と自民党案の問題点に対する一定の答えを示しているとも言われている。

 教育施設、官公庁、医療機関に関しては、「屋内」、「敷地内」の違いはあれ、3者とも「禁煙」で相違はない。またバスやタクシー、鉄道、船舶等の公共交通機関においても同様に「禁煙」の方向性である。(自民のみ「貸切」の場合は除外や表示義務に留めている)

 今回の受動喫煙防止対策において、最大の争点と言われているのが飲食店であり、また娯楽施設、宿泊施設等のサービス業である。

 特に飲食店においては、30平方メートル以下のスナックやバーを除くすべての飲食店では「屋内禁煙(喫煙専用室設置可)」とする厚生労働省案に対し、自民党はあくまで「表示義務のみ」に留めようとしている。

 この点に関しては、一般の意見も様々で、完全禁煙を歓迎する禁煙者たちがいる一方、せめてお酒を飲む場では煙草を吸いたいという喫煙者の意見もある。飲食店側からも、屋内禁煙となった場合、喫煙室を設置するスペースや資金の問題もあり、客足に大きなダメージが出ると危惧する声も少なくない。

 この飲食店における喫煙問題に、一つの答えを出しているのが都民ファースト案である。

 都民ファースト案によれば、飲食店において「屋内禁煙(喫煙専用室設置可)」としながら、「従業員を使用しない店」、「全従業員が同意した店」においては、喫煙を許可するという方向なのだ。

 この案では、スナックやバー、キャバクラ等のいわゆる「大人の社交場」、「夜の店」では喫煙が可能となる目算が高い。また店主一人や、夫婦で営む小規模飲食店もそのまま喫煙が可能となるだろう。飲食店側、煙草を吸いたい客側の両方に配慮した案である。

◆家族が乗る車の中まで罰則を設けそうな勢い

 そもそも政府は、受動喫煙防止法を、2019年までに施行しようとしている。このタイムスケジュールは、2020年の東京オリンピックに向けたものであり、その前に行われる2019年ラグビーワールドカップをその試金石にするというものだ。

 一方、厚生労働省は、受動喫煙防止法の成立後、周知期間を2年程度は必要としており、今秋の臨時国会の冒頭で成立がギリギリのラインと言える。

 都民ファーストは、これより前のスケジュールを想定している。9月の定例会において提出・成立を規定路線とし、政府の受動喫煙防止法より早い施行が確実だ。都民ファーストの会は「古い都議会の刷新」を標榜して選挙に大勝した訳で、都民ファーストの会が主導する「新しい都議会」のスピード感を都民にアピールするには、受動喫煙防止対策は絶好の内容なのだ。

 一方、都民ファーストの会が掲げる「スモークフリー」な社会のための受動喫煙防止対策には一定の問題もある。それは、「子どもを受動喫煙から守る」という内容。

「子どもを受動喫煙から守る」と聞けば、誰にも反対はないように思われるが、その説明として、「自ら環境を選択できない子どもをタバコの煙から守る東京にしていきます」という一文。これは、家庭内や自家用車内での喫煙について踏み込んだ発言ではないのかとの声が聞こえる。

 弁護士であり、今回の都議選で北多摩2区から当選した岡本光樹議員が作成した、受動喫煙防止対策の東京都条例案によれば、「家庭や自動車内で継続的に受動喫煙状態にある子どもを見つけた人は通報できる」とされている。

 さすがにこれはやりすぎと思われるが、小池百合子都知事も、朝日新聞のインタビューに「家庭の中まで入り込むというのは私も違和感があるが、車(の中)っていうのはありかもしれない」と、一部肯定的な評価をしている。

 東京都の受動喫煙防止対策に関する条例。この条例は「努力義務」ではなく「罰則付き」だ。

 喫煙者と禁煙者(嫌煙者)、飲食・サービス業等の事業者、行政。様々な人たちの思惑が食い違う「タバコ問題」。まずは9月早々の都民ファーストの会の動きに注目すべきであろう。

<文・安達 夕 @yuu_adachi>

ハーバー・ビジネス・オンライン

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