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75歳以上では抗がん剤未使用のほうが長生きというデータあり

7/29(土) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 薬と寿命の関係については長らく実証的なデータに乏しく、医薬界にとってはある種のタブーでもあった。しかし近年、“薬のやめどき”についての議論が高まるなか、世界中で、この禁断の関係についての研究が進んでいる。これは医師にとっては不都合な、しかし患者は絶対に知っておくべきデータである。

 日本人の死因ナンバーワンであるがん。化学療法に用いられる抗がん剤は、手術後の再発を予防したり、手術できないがんの進行を遅らせたりする目的で投与される。長尾クリニックの長尾和宏医師の話。

「しかし、抗がん剤はがん細胞を破壊する一方で、健康な細胞まで傷つける“両刃の剣”です。免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬といった最新の薬は、“がん細胞だけを攻撃する”という触れ込みですが、実際に処方してみると医師の想像以上に患者は副作用に苦しめられる」

 抗がん剤の服用を中断することで余命が延びたという報告がある。国立がん研究センターが2007年から2008年に中央病院を受診した末期がん患者の登録データを解析したところ、75歳未満の患者は抗がん剤を使用したほうが、未使用の患者より明らかに生存期間が長く、抗がん剤の効果が証明された。

 ところが、75歳以上になると、抗がん剤を未使用の患者のほうが最大で半年長生きしたのである。特に末期がん患者だと、抗がん剤の使用が逆効果になることがある。長尾医師が指摘する。

「抗がん剤を服用できる患者の条件として『自力で通院できる』『食事ができる』など、全身状態が良好であることが求められます。これらを行なう体力がない場合、抗がん剤の副作用が薬効を上回り命を縮めます。

 最後まで抗がん剤を使うことが最善の医療だと主張する医師も多いですが、患者は抗がん剤のデメリットを知って冷静に判断すべき」

 投薬の量を減らすことが寿命延長に繋がると示唆する報告もある。マサチューセッツ総合病院のタメル医師らが10年に英医学誌『NEJM』に発表した報告によれば、早期の肺がん患者が「抗がん剤治療と緩和ケアを併用した治療」を受けたことで、中央値で11.6か月、最大で3年以上生存できたという。

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