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子どもたちに伝えたい、命の使い方 第4回<日野原重明さんが最後に伝えたかったこと>

7/29(土) 6:01配信

幻冬舎plus

日野原 重明

 2017年7月18日、日野原重明さんが105歳という年齢でこの世を去られました。
よど号ハイジャック事件に遭った後「これからの人生は与えられたもの、残りの人生は人のために使おう」と決意された日野原さんは、その言葉通り、旅立たれる最後の日まで、惜しむことなく人のために自分の命をつかい、生涯現役で命の尊さを伝え続けられました。
幻冬舎では、2016年の年末より日野原重明さんのご自宅へお邪魔し、書籍化のためのインタビューをしておりました。「これが私の最後の使命です」とおっしゃりながら、時にはベッドで横たわりながらも、深く優しく強い言葉をつむがれていた日野原さん。
次の世代の私たちへ、最後のその日まで日野原さんが伝えたかったメッセージの一部を、ご紹介させていただきます。

君の持つ時間を、君だけではない誰かに使ってほしい

 私は10歳の子どもたちに「いのちの授業」をして、命の大切さを説いてきました。
子どもたちに命はどこにあるかと問いかけると、心臓のあたりを指す子もいますが、心臓は身体を動かすために働いている単なるポンプに過ぎません。

「命というものは目に見えない。本当のものは目に見えないんだよ」というのは、『星の王子さま』に出てくるキツネの言葉です。
私はこの言葉をいつも子どもたちに紹介します。
命は目に見えないもの、時間は目には見えないもの。でも、両方とも君たちが持っているとても大切なもの、ということを語りかけています。

 そして、君たちは成長するために自分の時間を自分のためだけに使っているけれど、大人になったら自分の時間を自分のためだけに使うのではなく、誰か困った人のために、助けを必要としている人のために使ってほしい、そして、それが君の命の使い方でもあるのだと話します。そして、私は、子どもたちに、君たちの持っている時間を君たちがこれからどう使いたいと思うか、作文に書いてほしいという宿題を出します。

 子どもたちからは、「今までは自分のことだけしか考えたことがなかった。お母さんの手伝いもやらなかったし、部屋の片づけもいい加減にしかしなかったけれども、これからは自分以外のことにも時間を使わなくてはならないということがよくわかりました」などという作文が届きます。

 私たちが持っている時間は、私たちのかけがえのない命なのです。
ここで、2016年に出版した「しかえししないよ」というタイトルの詩画集からいくつか詩を紹介します。

 いのちは目には見えないけれど
めいめいがかんじとれるもの
君も感じられるはず
自分がいのちを持っていることを

 いのちは自分がもっている時間だよ
そう私は十歳になる君に話したね
いのちを大切にするとは
いのちを上手に使うこと
つまり君のもつ時間を
君だけでなく誰かのために使うこと

 いじめは友達の持つ時間を奪い
いのちを傷つけるもの
だからいじめは止めようよ
そして
たとえ誰かにいじめられても
殴り返したり
言葉でやり返すことはやめて
じっとこらえてこう言おうよ

 僕は、しかえししないよ
一緒にグラウンドに出て
サッカーをしようよ

 誰かの時間と君の時間が一緒になって
君の命が膨らむんだよ

 私は次の世代を担う子どもたちに、命がいかにかけがえのないものであるかということを、しっかり伝えていかなければならないと思っています。

 * * *

 現在日野原重明さんの書籍を準備中です。ぜひお待ちください。


■日野原 重明
1911年山口県生まれ。
1937年京都帝国大学医学部卒業。1941年聖路加国際病院内科医となる。以来、内科医長、院長代理、院長を経て、現在は、学校法人聖路加国際大学名誉理事長、聖路加国際病院名誉院長、一般財団法人ライフ・プランニング・センター理事長など。
1998年東京都名誉都民、1999年文化功労者、2005年文化勲章を授与された。

最終更新:7/29(土) 6:01
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