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デュラエース油圧ディスク試乗 そのフィーリングは?

7/29(土) 7:43配信

CYCLE SPORTS.jp

トレックの新型エモンダSLR国際試乗会で試してみた!

デュラエースDi2の油圧ディスクブレーキ仕様。R9100シリーズの真打ちとも言える仕様がいよいよ市場に製品版として姿を現してきた。

国内販売店の店頭にも並びだしたこの注目アイテムが、先だって米国で開催されたトレックの新型エモンダSLR国際試乗会に用意されていたので、そのインプレッションをお届けしよう。

シマノのみならず自転車完成車メーカーのエンジニア側はロードバイクのディスクブレーキに関しては各社非常に前向きだが、その理由は自転車を開発しているからこそ数値的なメリットを知り尽くしているため。一方で、レースでその機材を使うプロはというと意見が分かれているのはご存じの通りだろう。

集団落車の際にローターに接触したら危ないというのが理由のひとつだが、これは各国のメディアが実験に実験を重ねて「実験では」安全という事になっているのが今の世の流れ。一方で、もう一つの否定的な意見がディスクブレーキの制動は立ち上がりが急なので集団の中でディスクとリムブレーキが混ざった状態で走ったら誰かがディスクブレーキで急制動をかけると止まりきれずに突っ込んで落車するというものだ。

そんなプロの声を忖度(そんたく)したのであろうか? 新型デュラエースDi2ディスクブレーキの制動力の立ち上がり、乗ると驚くほどにマイルドに仕上げてある。いわゆる当て効きの状態でリムブレーキ+カーボンリムと遜色ないほどにマイルドに仕上げてきた点がまず特徴。

Di2仕様のブラケットの形状は、どこにマスターシリンダーが入っているのだろうかというほどコンパクトで、リムブレーキ仕様のブラケット比べても見た目も握り心地も違和感がまったくない。この点だけで従来のディスクブレーキ仕様のブラケットからすると果てしない進化なのだが、このコンパクトさを極めた仕様はDi2のみで機械式のブラケットはプラスチックのモックアップを握っただけだがDi2からすると、やや大きめの仕上がり。とはいえ、現行のDi2油圧ディスク用デュアルコントロールレバーであったST-R785から比べても十分コンパクトになっており、メカ部分が内蔵される事を考えると、これが今出来る限界という事だろう。

制動力については立ち上がりこそマイルドであるものの、握り込んで行くと流石にデュラエースのディスクブレーキと思えるほどに圧倒的な制動力とリニアで操作しやすいコントロール性を両立している。ロードバイクのタイヤは細いので絶対的な制動力はそこまで求められないが、それにしても欲しい力を思いのままにコントロール出来るので、これを基準にして考えるとすべてのリムブレーキは不良品というレベルの仕上がり。そもそもリム面で制動するという行為自体が時代遅れにすら感じる。

絶妙なコントロール性能の気持ちよさは、XTRのXC仕様(TRAIL仕様はサーボ付きのため制動力はあるがコントロール性能はXC仕様の方が上)のディスクブレーキにも通じるものがあり、流石に90年代後半からディスクブレーキを作り続けているだけの事はある。

ちょうどイベントに来ていた元プロ選手のイェンス・フォイクト氏に、新型デュラエースのディスクブレーキはどうかと聞いたら「文句ない仕上がり」としながらも、レースで使うには性能以上にサポートカーの問題があるので考える所はあるという。というのもリムブレーキにディスクブレーキ、シマノにカンパと複数の規格がサポートカーに乱立しまくっている状態では決定的なシーンで決定的なミスが起こりえるので、ディスクブレーキの性能以前にそこが心配だという。自分が単なるホビーサイクリストなら、もはや文句なしにディスクブレーキを選ぶとの事。

ヨーロッパのドイツやベネルクス諸国では、既に出荷の殆どがディスクブレーキになっているというが、日本でもこの新型デュラエースのディスクブレーキ仕様をきっかけにディスクブレーキがスタンダードになっていくだろうか?

乗り換えにはフレーム、ホイールまで含めたプラットフォームの更新が必要になるだけに安く見積もっても約100万円程度の予算が必要になってくる。とすると、本格的な普及にはもう少し廉価なDi2仕様のディスクブレーキが登場するのを待たなければいけないと思われるが、少なくとも性能に関しては新型デュラエースで完成の域に達したと言えるので、今年フラッグシップ級の完成車の乗り換えを予定している人は、ディスクブレーキ仕様を選んでおいた方が3年後に後悔がないと思われる。少なくとも筆者はそうする予定だ。そろそろディスクブレーキに乗り換え時。そう思わせてくれる説得力が新型デュラエースDi2にはある。

難波ケンジ

最終更新:7/29(土) 7:43
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