ここから本文です

【総体】生まれ変わった星稜が面白い! あの屈辱から這い上がり、いざ反攻へ!

7/29(土) 19:09配信

SOCCER DIGEST Web

焦れずに根気よく攻め続け、終了間際に…。

 石川の名門、星稜が鮮やかな逆転劇を完遂した。
 
 7月29日の全国高校総体(インターハイ)1回戦。降りしきる大雨のなか、星稜と四国学院大香川西の一戦が行なわれた。星稜は立ち上がりから後手に回り、鋭い出足とシンプルな縦への仕掛けの香川の雄に手を焼く展開。そして前半10分、あっさりと先制点を奪われてしまう。

【PHOTO】編集部厳選! 宮城インターハイを彩る必見タレント~DF&GK編


 
 それでも、星稜は根気強く好機を探った。水分をずっしり含んだ人工芝で思うようにパスが繋がらなかったが、やたらめったらなロングボールは繰り出さず、丁寧にサイドに振ってはクロスボールを供給。徐々に、四国学院大香川西を自陣に押し込んでいった。
 
 チームの攻撃の核、高岸憲伸はこう振り返る。
 
「少しずついい流れを掴んでいった。いつ切れるのかが怖かったけど、そのまま持続できたのが大きかったですね。こういう攻撃も守備も難しい雨の日、ボックス内に入ったら攻撃側のほうが断然有利になる。なにかが起こりますから。ハーフタイムにもみんなで『どんどん勝負していこう』と言い合ってたのが、良かったんだと思います」
 
 それでも相手GK中村俊英の好守に遭い、なかなかゴールを割れなかったが、終了6分前の後半29分、ようやくこじ開ける。矢継ぎ早なサイドアタックが奏功し、敵のオウンゴールを誘ったのだ。さらにアディショナルタイム、高岸の読みが的中する。エリア内で果敢に仕掛けてPKを奪取。このプレッシャーがかかる場面で、高岸は冷静にGK中村の逆を突き、チームに歓喜の瞬間をもたらした。
 
 歴戦の智将、河﨑護監督は「よく粘ってくれたよね。いい時間を作れて、うまく攻め切れた。パスがひとにひとにとなってたんで、もっとスペースに出して、サイドで起点を作るようにと修正はしました。相手がひとに強かったのでね。まあなんとか、勝ちを拾えましたよ」と語り、胸をなでおろした。

名将は「まだまだ弱っちいよ」と笑う。

 失意のどん底に突き落とされたのが、昨年の秋だ。
 
 選手権・県予選決勝で鵬学園に敗れ、連続出場回数が17でストップ。北陸の名門は窮地に立たされ、新チーム発足後も試行錯誤が続いたという。
 
 今大会で背番号10を担う高岸は、こう語る。
 
「1月2月は縦に速い、蹴るサッカーをしてたんですけど、なかなか結果が出なくて、方向転換したんです。三角形でしっかりアングルを作って、場面場面で数的優位を作っていこうと。ようやく形になりだしたところで、インターハイでもそれを続けられるようにと河﨑監督に言われてました。あの(選手権予選敗退の)悔しさはいまも忘れてません。選手間で求め合う機会が間違いなく増えたし、意見交換しながら、今日はこういうサッカーをしようとか、よく話し合うようになった。最後まで諦めず勝ち切れたのも、ひとつの成長分だと思います」
 
 最終ラインの要で、クールな主将の敷田唯も、逆転劇に浮かれた様子はない。
 
「集中を切らさずに全員でやり切れた。今年のチームは、ばんばん点を取れるチームじゃない。まずは全員で守備から入って、接戦をしっかりモノにするしかない。ミーティングはすごく増えましたし、その積み重ねがあるから、意思統一ができてる。今日だって簡単に蹴らなかったのは、前線に高さがなく収められない、しっかり繋ぐしかないとみんなが分かっていたから。僕たちは去年の選手権を経験できなかった。だからこそ、勝ちへの執念は強い。一人ひとりの想いが強いんです」
 
 河﨑監督は「まだまだ弱っちいよ」と笑う。一敗地にまみれたあの日から、足元を謙虚に見つめ、チーム一丸となってV字回復を果たした星稜。大雨の劣悪なコンディション、初戦の重圧、終盤のビハインドという難局を乗り越え、選手たちの表情は、自信に満ち溢れていた。
 
 強靭なメンタリティーを携えたタレント軍団は、日曜日、静岡学園との2回戦に臨む。相当面白いゲームになりそうだ。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

最終更新:8/7(月) 17:38
SOCCER DIGEST Web