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新「SLやまぐち号」驚きの内外装 戦前の通称“旧型客車”をほぼ忠実に再現

7/29(土) 12:00配信

日経トレンディネット

 特別な鉄道車両としてクラシックやレトロな車両が増えている。例えばJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」は、デザイナーの水戸岡鋭治氏の手によって、天然木をふんだんに使ったクラシックなデザインの豪華車両に仕上げられている。この6月に運行を開始したJR西日本のクルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」(関連記事「豪華列車は何が違う? 四季島、瑞風、ななつ星」)は昭和初期に流行したアール・デコ調のインテリアを採用した。東京メトロ銀座線に2編成12両だけ導入された特別車両は最新車両をベースにしながらも、壁は木目調、手すりには真ちゅう風の塗装を施し、90年前の車両をイメージさせる内外装となっている。

【関連画像】オロテ35はマイテ49と瓜二つの外観。当時の設計図をもとに、柵で仕切られたオープンエアの展望デッキ、一等車を示す窓下の白い帯なども忠実に再現されている

 1979年から山口県の新山口~津和野間で運行されているSL列車の草分け「SLやまぐち号」は、高度経済成長期に製造された客車がSLと合わせた戦前風の内外装に大改造されて活躍してきた。しかし製造から50年近く経ち、老朽化。そこで、この9月から新型客車「35系4000番台」に置き換えられることになった。

 この35系、レトロ調を突き詰めた結果、驚きの内外装となった。なんと新造車両だというのにもかかわらず、戦前から終戦直後にかけて製造された通称“旧型客車”をほぼ忠実に再現しているというのだ。現代の最新技術でよみがえった“新型旧型客車(?)”は、どこまで“本物”なのか。

 35系と対面する前に、まずは現行のSLやまぐち号の客車に乗ってみた。1975年の大阪万博に向けて臨時列車や団体列車用として製造された12系客車がベースで、1988年にレトロ調に大改装されたものだ。塗装はブルートレインと同じ青色から旧型客車に似た茶色になり、大きなアルミサッシの窓を小さいものに変更。さらに窓の上下に「ウィンドウシル・ヘッダー」と呼ばれる補強用の板を貼り付けるなど、旧型客車によく似せている印象を受ける。ただよく見れば、車体の裾のほうが絞られていたり、屋根上に冷房装置が並んでいたり、12系の面影が垣間見られる。

 車内はどうか。5両編成の各車両ごとに「欧風」「明治風」「大正風」「昭和風」といったテーマが決められ、それぞれ異なる内装となっている。例えば欧風はオリエント急行をイメージしたといい、シャンデリアやステンドグラスが華やかな雰囲気。一方、明治風はビニールレザー張りのシートの壁に付けられたランプがどことなく簡素な雰囲気を演出している。ただ、大正風と昭和風は座席の色が違うほかには明確な差がなく、結局のところ、イメージの域を出ていないことが分かる。

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