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世界で最も権威あるデザイン賞を受賞した町工場発調理器具

7/30(日) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 防臭、防腐、水のろ過などで古くから利用されてきた炭が持つ、高い遠赤外線効果は周知の事実。その炭の力を、職人技と商品開発力で、調理器具へと活用させた調理鍋がある。世界初の“カーボン製無水調理鍋”を生み出した町工場の、下町ロケット物語!

 遡ること55年前。1962年に創業した穴織カーボンは、工業用カーボングラファイトの精密加工で実績を積んできた、ものづくり企業の町工場だ。

 30年近く前、バブルの崩壊で不況に見舞われると、同社も受注が激減。そんな中、2代目社長の穴織英一さんは、昼は石焼き芋の販売、夜は居酒屋を経営する起業家と知己を得た。そして「カーボンを使えば、石で焼くよりおいしくなるかもしれませんよ!」と提案したところ、さっそく芋焼き器づくりを依頼されたという。

 張り切って試作器を作ると、焼き芋の素晴らしい焼き上がりに大満足された。すると次は、居酒屋の人気メニューである釜飯用の羽釜の製作を依頼される。穴織さんは、自ら手掛けた試作品で炊いた釜飯の味に驚愕する。ふっくらと炊けたお米は、これまでの炊飯器で炊いたものとはまったくの別物。艶や甘み、うまみが凝縮された極上の味だった。

 その居酒屋が、世界初のカーボン製羽釜のデビューの場所となった。以来、カーボン製羽釜の性能の高さは、次第に周囲に知られるようになり、穴織カーボンに転機が訪れる。2004年、炊飯器の内釜づくりの依頼が大手家電メーカーから届いたのだ。2年半にわたる共同開発を経て、世界初のカーボン製内釜づくりに成功する。2006年に業界の常識を覆し、ヒット商品となった、10万円超えの高級炊飯ジャー、三菱電機『本炭釜KAMADO』の誕生だ。

 その後、内釜の製造でヒット商品を支えるが、コスト面の課題から、製造が中国へ移管されることとなる。高価な原料在庫を抱えた同社は、再び窮地に陥った。そこで起死回生の一手として、踏み切ったのが自社製の調理器具づくりだった。工業製品づくりで培った高い技術力とデザイン性を徹底的に追求する開発力で、ついに『アナオリ カーボンポット』を生み出したのだ。

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