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手のひらに豆粒的しこりが出現 デュピュイトレン拘縮治療法

7/30(日) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 デュピュイトレン拘縮(こうしゅく)は、約200年前にフランス人外科医のデュピュイトレン男爵が報告したことから、その名が付けられた。

 北欧在住の男性に多いことからバイキングの病気と呼ばれ、日本人には少ないと思われていた。しかし近年、群馬大学が農村地区の40歳以上の男女を対象に調査したところ、男性で11.7%、女性でも3.8%に、症状がみられたという報告がある。

 この病気の初期症状では、手のひらに豆粒のようなしこりが出現する。しこりが指の方に向き、縦に伸びていくにともない、徐々に指が伸ばせなくなり、関節の動きが制限される。痛みはないが、腱鞘炎などの合併症で痛みを感じることもある。JR東京総合病院整形外科の三浦俊樹部長に聞いた。

「しこりは、傷が修復する際にできる瘢痕のようなもので、その正体は増殖したコラーゲンです。本来、指の曲げ伸ばしを担う筋よりも表面に近いところで、硬い腱のような組織ができて指が伸ばせなくなります。発症原因は不明ですが、仕事などで手のひらに小さな傷が生じ、何度も修復を繰り返すことで発症に関与すると考えられています。また、糖尿病や飲酒も発症に関係するともいわれています」

 しこりは、手のひらのどこにでも生じるが、特に薬指と小指近くにできることが多い。指が手のひら側に曲がってくると、柏手を打てない、指がつかえて顔を洗えない、ポケットに手を入れにくいなど日常生活にも支障を生じるようになる。

 しこりだけの場合は、経過観察のみで治療の必要はない。ただし、指が伸ばせなくなったら、手術かコラーゲン分解酵素の局所注射による治療を要する。治療方法の選択は、どこの関節が原因で指が伸ばせなくなっているかを考慮する。手のひらと指をつなぐMP関節から曲がっている場合は手術も注射も、ともに適応だが、PIP(第2)関節から曲がっている場合、注射による治療が難しい場合もある。

「コラーゲンは皮膚や骨、軟骨、腱などにもあり、コラーゲン分解酵素を注射すると他の組織にも影響がでる危険性があります。そのため注射は手のひらと、指の境目から指側に8ミリメートルのところまでしかできません。それ以上、指先に近いところまで処置が必要な場合は手術になります」(三浦部長)

 コラーゲン分解酵素の局所治療は、注射後24時間経過し、コラーゲンが解けてきたところで、手に局所麻酔をして指を強く伸ばす。ときには腱が切れるバキンという大きな音がすることもある。

 手術の場合は、しこりに沿って皮膚を切り、しこりを亜全摘(一部切除)した後で、突っ張った皮膚をZ形成(ジグザグに切る)することで指を伸ばす。手術も注射も年単位の経過では、再発率が高いといわれている。手のひらにしこりが出現したら、専門医の受診が欠かせない。

●取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2017年8月4日号