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古来の名品から「お皿の歴史」を学べる展覧会「やきもの勉強会 」

7/30(日) 15:10配信

サライ.jp

取材・文/藤田麻希

普段、食事の際に何気なく使っている、やきものの皿。季節の食材で料理を作り、それに対応する装飾の皿を選ぶなど、日本には他国には見られない、器も含めた食生活の文化が根づいています。

ところで、いったい何時からやきものの皿に食事を盛るようになったのか、そして大皿・小皿などの種類はいつ生まれたのか、考えたことがあるでしょうか。

そんな、やきものの使い方に着目した面白い展覧会が、東京の根津美術館で開催されています(~2017年9月3日)

鎌倉時代の絵巻などを見ると、白いお皿が多用されていたことがわかりますが、日本で磁器をつくることができるようになったのは、16世紀末から17世紀にかけてのことですので、これらの皿は中国から輸入されたものと考えられています。実際、中国産の青白磁の皿などが全国的に出土しています。

中国では、瓶や酒を注ぐ盃、水筒など、液体を入れるものは比較的早くからやきもので作られましたが、皿は木の葉や木器、漆器、金属器などでも代用できるため、陶磁器ではなかなか作られませんでした。

南朝時代・6世紀頃になると青磁の皿が登場します。しかし、これら初期の皿に、食べ物やご飯を盛ったという確証はなく、小さな杯を置いた状態で出土したものもあることから、お盆のような使われ方をしたことが想像されます。

日本で大きな皿に料理を盛って、もてなすようになったのは、桃山時代から江戸時代の初期の頃だと考えられています。大皿から箸で直接口に運ぶことはしませんから、各自に取り分けるための小皿も発達しました。円形のものだけでなく、花や鳥、貝殻、扇、楽器など、様々な形のものが作られました。こういった小皿のバリエーションは日本独特のものです。

また、もっぱら輸入品に頼っていた日本のやきものですが、江戸時代初期から唐津や美濃、瀬戸、備前などの日本の窯でも焼かれるようになり、17世紀半ばには、日本製の磁器である古伊万里の大皿が、ヨーロッパに輸出されるまでになりました。

根津美術館顧問で、本展の担当学芸員、西田宏子さんは展覧会の見どころを、こう説明します。

「去年に引き続き開催する、今回の『やきもの勉強会』では、陶磁器の発展の歴史ではなく、やきものをどう使うかという視点で考えました。大皿や小皿がどのように使われていたのか、どんな料理を盛り付けていたのか、想像力を働かせながら、ご覧いただけると幸いです」

意外と注目されることのなかった皿の歴史を、あらためて考えてみるのはいかがでしょうか。

【企画展「やきもの勉強会 ―食を彩った大皿と小皿―」】
■会期/2017年7月13日(木)~9月3日(日)
■会場/根津美術館
■住所/東京都南青山6-5-1
■電話番号/03・3400・2536
■料金/一般1100円 学生[高校生以上]800円
*20名以上の団体、障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
■開館時間/10時から17時まで。(入館は各閉館30分前まで)
■休館日/月曜日
■アクセス/
地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅下車
・A5出口(階段)より徒歩約8分
・B4出口(階段とエレベータ)より徒歩約10分
・B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩約10分

取材・文/藤田麻希
美術ライター。明治学院大学大学院芸術学専攻修了。『美術手帖』などへの寄稿ほか、『日本美術全集』『超絶技巧!明治工芸の粋』『村上隆のスーパーフラット・コレクション』など展覧会図録や書籍の編集・執筆も担当。

最終更新:7/30(日) 15:10
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