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パワハラ相談窓口を設置している企業はまだ少ない。人生が壊される前にとるべき対策とは

7/30(日) 15:50配信

HARBOR BUSINESS Online

 去る6月、豊田真由子衆議院議員が秘書に「このハゲーーっ!」などの暴言を浴びせる音声が暴露され、この一件により改めてパワハラ問題が注目されている。

「実はパワハラの相談件数は、年々増えています」と語るのは、産業医の武神健之氏。厚労省が発表した『個別労働紛争解決制度の運用状況』によると、平成27年度のパワハラ相談被害件数は6万6566件で、平成17年度の調査から増加の一途を辿っている。

 パワハラは直接的な被害者だけでなく、現場を目撃した周囲の人間も、被害者になりうる。

「厳しい叱責や恫喝を目のあたりにした周囲の人間も、一種のトラウマのようなものが植え付けられます。これを間接被害と言います」

 間接被害によって、出勤できなくなるなどの実害が出ることもあるが、それすら知らない企業もいまだ多い。また、パワハラが蔓延する原因には、日本企業の悪しき体質も関係していると武神氏は分析する。

「上層部がパワハラに無関心である場合も多く、そうした職場ではいくら被害を訴えても動かない。その結果、従業員は『訴えたところで何も変わらない』という思考になり、問題が起きても見ないふりをするようになるのです。これを『学習性無力感』と言います」

 2015年、電通の女性社員が過労自殺した事件でも、これが関係している可能性が高いという。

「長時間の残業が自殺の原因と報道されていますが、それ自体が学習性無力感によるものだと思います。“若手はしごかれて当たり前”という考えが根付く職場で働く以上、それを受け入れるほかなく、結果として限界以上まで自分を追い詰めてしまったのでは」

◆一人で悩まず専門機関に相談するのが最善策

 こうした最悪の事態を防ぐためにも、企業側は明確なルール作りをする必要があるが、ここにも大きな壁が存在する。

「線引きが非常に難しい。被害者意識が極めて強い人もおり、蓋を開けたらパワハラとは言い切れないような、業務的指導だったということも多々あります」

 加害者側も無自覚なケースがあり、指導を誤ると「自分は頑張っているだけなのに」という不信感を与え、根本的な解決にならないのだ。そのため武神氏は、専門機関を積極的に利用すべきだと勧める。しかし、大企業ならともかく、中小企業で相談窓口が置かれていることはほとんどない。

「法テラスなど、社外の専門機関に頼るのも手です。パワハラのストレスは、思考回路を狭め、選択肢を見えなくする。何よりも大事なのは一人で悩まないということ」

 それでも、一向に埒が明かないと判断したら「速やかに辞めるべき」と言う。

「パワハラがまかり通るような企業に将来はありません。外資系企業では、パワハラを2回以上認定されたら即刻クビという規定を課しているところもあります。パワハラ上司を憎んだところで、その人格を変えることはできません。自分のことを助けられるのは自分だけというのを、忘れないでほしいです」

【武神健之】

医学博士、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。著書に『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書―上司のための「みる・きく・はなす」技術 』(きずな出版)など

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:7/30(日) 15:50
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