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FIFAワールドカップ公式スポンサーに中国のスマホメーカー「vivo」が就任! いったいどんな企業?

7/30(日) 8:50配信

HARBOR BUSINESS Online

 国際サッカー連盟(FIFA)は「vivo」ブランドを展開する中国の維沃移動通信とFIFAワールドカップ(W杯)の公式スポンサー契約を締結した。サッカーのW杯は世界最大級のスポーツ大会とも言われ、日本を含めた世界中で知名度が高い。一方、維沃移動通信に関しては日本の多くの人々にとって謎企業だろう。どのような企業なのか、そして公式スポンサー契約の狙いを紹介する。

◆W杯の公式スポンサーに

「vivo」ブランドのスマートフォン(スマホ)を展開する維沃移動通信はFIFAと公式スポンサー契約を締結した。6年間にわたるW杯の公式スポンサー契約となり、2018年W杯ロシア大会と2022年W杯カタール大会で独占スマートフォンスポンサーを務める。

 公式スポンサー契約にはW杯のプレ大会とされるFIFAコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)も含まれ、2017年6月~7月にロシアで開催された2017年コンフェデ杯や2021年にカタールで開催予定の2021年コンフェデ杯でも独占スマートフォンスポンサーを務める予定だ。

 公式スポンサー契約対象の4大会ではすべての試合で会場の広告板、チケット、記者会見の背景、その他の主要な広告などにvivoブランドのロゴまたは製品が掲載される。また、維沃移動通信がW杯を記念した特別なスマホを発売することや、FIFAのスタッフが対象大会の会場で維沃移動通信のスマホを使用することも契約に含まれる。

◆維沃移動通信とは?

 維沃移動通信は中国の広東省東莞市に本社を置く企業で、広東歩歩高電子工業の傘下にあり、広東歩歩高電子工業の通信機器部門として設立された。スマホ事業は中国市場が中心であったが、国際展開にも取り組んでいる。

 スマホのラインナップは主に低価格帯のYシリーズ、中価格帯で自分撮り機能を強化したVシリーズ、中高価格帯で自分撮り機能を強化したXシリーズ、高価格帯で高性能なXplayシリーズを用意する。このうち、中国では経済レベルが低い地方都市でYシリーズ、経済レベルが高い主要都市ではXシリーズの販売が好調で、スマホの出荷台数を大幅に伸ばして中国で3位、世界でも5位に入るまで急成長した。

 これまでに、世界最薄スマホとしてX5Max、2K解像度の画面を搭載した世界初のスマホとしてXplay3S、6GBのRAMを搭載した世界初のスマホとしてXplay5 旗艦版を発表した実績もある。

 維沃移動通信が急成長した要因は広東歩歩高電子工業にルーツを持つ「OPPO」ブランドを展開する広東欧珀移動通信と近い。広東欧珀移動通信はカメラ機能やオフライン展開の強化などでスマホの販売台数を伸ばしたが、それと近い戦略である。(参考:HBO)

 なお、広東欧珀移動通信は広東歩歩高電子工業および維沃移動通信と経営面で関係性はない。

 中国ではカメラ機能でも特に自分撮り機能が重視されており、Xシリーズは中国の若年層を中心に高い評価を受けた。また、中国のスマホ市場はオンライン販売より実店舗を通じたオフライン販売の比率が高く、洗練されたデザインの実店舗を増やすことで、販売拠点の拡大、vivoブランドのイメージと認知度の向上につなげた。さらに認知度を高めるべく商業施設、繁華街、駅や空港など多くの人々が行き交う様々な場所で広告を掲出し、実店舗や広告など一連のオフライン展開を強化する取り組みは大きな成果をもたらした。

 維沃移動通信は本社前に音楽携帯電話を意味する「音楽手机」と掲げるなど、従来から音質を強化したスマホを投入しており、それも継承してvivoブランドのキャッチコピーを「vivo Camera&Music」と定め、カメラと音楽に強いスマホブランドとしてアピールしている。

 中国のスマホ市場は世界最大規模で、中国での統計は世界の統計にも大きく反映される。維沃移動通信は世界で5位とはいえ、中国での比率が高いことは事実だ。中国では成長率が収束傾向にあり、さらなるスマホ事業の拡大には国際展開の強化が必要となる。実際、維沃移動通信は国際展開を推進しており、特に東南アジアや南アジアでスマホ事業の強化を図っている。

 vivoブランドの国際的認知度を高めるために東南アジアや南アジアでもオフライン展開を強化し、国際的な人々が行き交う国際空港や航空会社の機内誌に広告を掲出するなど、様々な取り組みを実行している。また、スポーツ分野も活用しており、維沃移動通信が重視するインド市場で影響力が大きいクリケットのインディアン・プレミアリーグの公式スポンサーとなり、東南アジアなどでも人気が高いサッカーの欧州リーグでは広告を掲出している。多額の広告費を投じて国際的認知度の向上に努めており、W杯の公式スポンサー契約はその取り組みの発展形と考えられる。

 W杯は世界的にあまりにも強力な影響力を持ち、世界中から注目を浴びる。2018年W杯が始まれば世界中の人々がvivoブランドを目にすることになり、vivoブランドの国際的認知度を高めるうえで大きな効果が期待されている。

 維沃移動通信は参入する国・地域をさらに拡大する方針も表明しており、国際展開の新たなステージに踏み出した維沃移動通信の今後も注目したい。

<取材・文・撮影/田村和輝>

ハーバー・ビジネス・オンライン