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謎のサメ「メガマウス」、インドネシアで撮影される

7/31(月) 7:20配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

巨大な口をもつ珍しいサメ、日本や台湾の近海で多く目撃

 目撃例が極めて少なく、いまだ謎に包まれている「メガマウス(メガマウスザメ)」が泳ぐ姿をとらえた貴重な動画が撮影された。

【動画】謎のサメ「メガマウス」が泳ぐレア映像

 サメの一種であるメガマウスが初めて発見されたのは、1976年、米国ハワイ沖でのことだ。あまりに奇妙な姿だったので、まったく新しい属と科に分類されることになった。

 メガマウスの生態は、現在でもほとんどわかっていない。明らかなのは、メガマウスという名前の由来にもなった「巨大な口」を持つことだ。

 今回、メガマウスに遭遇したのは、インドネシアのコモド島沖を泳いでいたダイバーだ。人気ダイビングスポットになっているコモド島北部のギリ・ラワ・ラウトと呼ばれる島の付近で出くわした。

 撮影された動画には、ゆっくりと水中を泳ぐメガマウスの姿がはっきりと映っている。メガマウスは、特徴的な頭や口がよくわかるほど接近してから、向きを変えて去っていった。

メガマウスの知られざる生態

 米国のフロリダ自然史博物館には、1976年に始まるメガマウスの正式な目撃記録が保管されている。この41年間でメガマウスが目撃されたのは、わずか60回あまりだ。世界中の動植物について種ごとの生息数を記録している国際自然保護連合(IUCN)によると、これまで目撃されたメガマウスの個体は102頭となっている。

 その生態は謎に包まれているが、濾過(ろか)摂食動物であるメガマウスが人に危害を加えることはほとんどない。フロリダ自然史博物館では、「やわらかい体で、泳ぎはうまくない」と紹介されている。しかし、体は大きく、成長すると5メートル超になると考えられている。メガマウスは、大きな口だけでなく、特徴的な頭の形からも判別できる。

 メガマウスは、海面近くの浅い海や、水深1600メートル程度までの深海で目撃される。おそらく昼行性で、深い海と浅い海を定期的に行ったり来たりしているものと考えられている。

 多くは日本や台湾の近海で目撃されているが、大西洋、太平洋、インド洋でも見つかることがある。広く分布していることから、IUCNはメガマウスを「低危険種(least concern)」に分類している。

 しかし、メガマウスはまったく見られないというわけではない。IUCNの報告によると、主に東南アジアなどの漁場で捕獲される例が増えており、混獲(漁業で意図せず他の生物を捕獲してしまうこと)が最大の脅威だと見なされている。IUCNは、厳重な監視を行わなければ、種の存続の問題にもなりうるとしている。

 最近も、日本の沖合で漁船によるメガマウスの混獲が起きた。メガマウスはすぐに放されたが、のちに海底で死んでいるのが見つかった。専門家は、ストレスによって健康が悪化したためではないかと考えている。

文=Sarah Gibbens/訳=鈴木和博

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