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水遊びの1週間後に「溺死」:「遅発性溺水」について知っておくべきこと

7/31(月) 11:10配信

ライフハッカー[日本版]

USA TODAYとCNNによると、アメリカのテキサス州で2017年6月、堤防の近くで家族といっしょに水遊びをしていた子どもが誤って水を吸い込み、1週間後に亡くなりました。

【画像】水遊びの1週間後に「溺死」:「遅発性溺水」について知っておくべきこと

その後、この事故は「“dry drowning”(乾性溺水)」(溺水とは、気道内に水が入って窒息すること)と呼ばれるようになりました。水を吸い込んだ人が、その時は大丈夫そうに見えても、数時間後あるいは数日後に(肺水腫や肺炎などを起こして)死亡したケースは「二次性溺水」「遅発性溺水」とも呼ばれます。

この事故が実に痛ましいものであることは言うまでもありませんが、その恐ろしさとともに、メディアによる誤った情報や、恐怖心をあおるような報道も世間では広まっているようです。この現状に対して、さまざまな小児科医や救急救命室(ER)の医師らが今、強く異議を唱えています。

原文筆者は小児科医のKatherine Hensley氏による投稿を偶然見つけました。その中でHensley氏は、本人言うところの「乾性溺水に関するリアリティ・チェック」を提供しています。

手短に言うと、あなたのお子さんが泳ぎに行き、水を飲み込み、水には何の問題もなかったのに、4日後に何の前触れもなく「乾性溺水」で突然亡くなってしまうようなことは、まずありません。きっと、あなたもいろいろな記事をお読みになっていることでしょう。私のニュースフィードもそうした記事で埋めつくされています。子どもを失うということは、考えただけでも胸が痛くなります。私も同じように感じますから。しかし、親がろくに調査もされていない記事をFacebookで読み、震えあがってしまったせいで、世界中の子どもたちが二度と水に近づかないようにはなってほしくないのです。

Hensley氏はこの投稿の中で、一例としてメディアが「飲み込んだ(swallowed)」と「吸い込んだ(aspirated)」という言葉の違いを区別していない点について論じています。

飲み込んだ水は、食道に入って消化管を通ります。塩素処理されたプールの水を飲み込んだ場合、吐くことはあるかもしれませんが、急性肺水腫(FPE)で命を落とすようなことはないでしょう。それに対して「吸引」とは、水が気管に入って肺にまで入り込むことです。この場合、水を吸引した人には、水の外に出た(あるいは引き上げられた)あとに苦痛を伴う症状が現れます。その様子を見れば、その人が大丈夫ではないことがわかるはずです。

Hensley氏はまた、「乾性溺水」や「二次性溺水」「遅延性溺水」などに関する、医学的に認められた定義は存在しないとも述べています(同じことが、医学博士のSeth Collins Hawkins氏らによるEmergency Medicine Newsへの投稿でも指摘されています。存在するのは「溺水」という言葉だけで、それが致命的な場合もあれば、致命的ではない場合もあり、病気やケガを伴ってはいるものの致命的ではない場合もある、というのが医学界での捉え方なのです。

たしかに、溺死は子どもに多い死亡原因のひとつですが、Hensley氏が明言しているように、「遅発性溺水」(人々が乾性溺水について話題にする時は大抵このこと)についての不安は少し過剰とも言えそうです。Hawkins氏は、水を吸い込んだ「あとで」何らかの症状が現れることは比較的よくあるものの、そういった「ささいな症状」を伴うケースが進行して死に至ることはめったにないとしています。そして、そうした症状を観察する際には、次のような点に注意するよう述べています。

ささいな症状であっても、悪化したり進行したりする場合があることもたしかです。だからこそ私たちは、胸の痛みなどの前兆が現れている時には、すぐに診察を受けるよう皆様にすすめています。溺水を示す危険信号には、水に浸かったあとに現れる呼吸困難や過剰な咳、口内の泡、体の動きの異変などがあります。

とはいえ、結局のところ一番大事なのは専門用語の使い方ではなく、このような事故を防ぐ方法です。

子どもたちが水遊びをしている時は、単に「目で見て」いればいいというわけではありません。例えば、Florida Department of Health in Escambiaによると、ERの医師たちは「タッチ監視」の実践をすすめています。つまり、ライフガードがいる場合でも、手を伸ばせば子どもに触れられる位置をキープするのです。子ども1人に大人1人がつくのが望ましいでしょう。「大人が10人もいるんだし、子どもが溺れたら誰かしらが気づくだろう」と考えてしまうかもしれませんが、実際はそうとも限らないのです。

そして何より、子どもがふさわしい年齢になったら水泳を教えましょう。また、大人はCPR(心肺蘇生法)のやり方を身につけることです。メディアの報道に怯えるあまり、ビーチでの楽しいひと時を犠牲にしないようにしましょう。


Read This If You're Freaking Out About “Dry Drowning“ | Lifehacker Offspring

Image: Rawpixel.com/shutterstock

Source: USA TODAY, CNN, Doctor Kate's Info Blog, Emergency Medicine News , Florida Department of Health in Escambia

Reference: Wikipedia, 健康生活,

Leigh Anderson(原文/訳:阪本博希/ガリレオ)

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