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ヒアリの侵入で日本の生態系はどうなる?

7/31(月) 6:10配信

JBpress

 ヒアリ日本上陸の報告が続いている。

 2017年6月9日兵庫県尼崎市のコンテナ内で確認されたことを皮切りに、6月18日神戸市、6月30日愛知県弥富市、7月3日大阪府大阪市、7月6日東京港でもヒアリの存在を確認。さらに7月14日には横浜港、神戸港、7月21日に博多港でもヒアリが見つかった。

 中でも神戸市尼崎市や横浜港では、さなぎや幼虫が合計数百個体発見された。これはコンテナ内や港内での繁殖の可能性を示唆するものだった。ヒアリの定着を防ぐため、引き続き周辺域の調査と防除を進めていくことが必要だ。

■ メディア報道の懸念点

 ヒアリは「ソレノプシン」というアルカロイドを含む毒を持っており、毒針で刺されると激しい炎症を引き起こす(ネット上では「ヒアリ」とされる昆虫を生で食している人の動画が紹介されているが、これは話題づくりにしても悪質だ)。攻撃的なうえに繁殖力も高く、しかも人と生活環境が重なる。そのため日本で分布を広げていく危険性は、周知されるべきだ。

 ただ、昨今のメディアによる報道を見ていると、刺された際の人体や家畜への直接的な被害にばかり焦点が当てられている。恐怖心をあおられ、アリ用殺虫剤の売上が増加しているとも聞く。冷静な対処を、と呼びかけるのもよいのだが、そもそもヒアリの定着を防ぐ目的はこれだけなのか。重要な問題を見過ごしていないだろうか。

■ ヒアリは単なる「害虫」か

 これまでの報道は、ヒアリをあたかも単なる「害虫」のように捉えてしまっているように見える。「害虫」を片っ端から駆除し、消失させれば今回の問題は解決するだろうか。

 害虫を消滅させれば、また別の害虫が現れるといった新たな問題に直面する。かつての害虫防除に失敗した歴史を見るかのようだ。生物間の関わりを捉えず、目先の被害にとらわれた駆除は成功しない。現在の害虫防除学では、周知の事実である。

 今回ヒアリを首尾よく駆除したところで、今後も第2、第3のヒアリの侵入が続くことは避けられない。海外からおびただしい量の物資が、日本へ流入してくる。それに伴い、海外からやってくる生物の数は年々増えていく一方だ。海外旅行へ出かける我々自身も外来生物を運ぶ共犯者だ。

 もはや外来生物は排除しつくすことは、ままならなくなっている。日本は現実的な方法として、駆除すべき外来生物を、種ごとに指定するブラックリスト方式をとっている。つまり、このブラックリストから外れている外来種の多くは、定着も許容されることとなる。

 ヒアリの侵入は、今後我々がどう外来生物と関わっていくべきかが問われている問題だ。目先の利害のみに専念し続けてしまった先には、多くの固有種が絶滅し、変わり果てた日本の自然風景が広がっている、という可能性もある。

■ 外来生物に対する日本の考え方

 ヒアリをはじめとする外来生物が及ぼす生態系への影響は、国も重要視している。環境省によれば、ヒアリの侵入で懸念される影響は以下のようである。

(1)生態系に関わる影響:他種のアリと競合し駆逐する恐れがある。極めて攻撃的で、節足動物のほか爬虫類、小型哺乳類をも集団で攻撃し捕食することが知られ、鳥類の営巣・雛の生育に影響を及ぼした例もある。

(2)農林水産業に関わる影響:牛、馬、鶏など家畜への死傷被害。

(3)人体に関わる被害:刺されると、アルカロイド系の強い毒による痛みやかゆみ、発熱、じんましん、激しい動悸などの症状が引き起こされる。アレルギー性のショックで昏睡状態に陥ることもあり、米国ではこれまでに多くの死者が出ている。

 環境省はヒアリに限らず、外来生物は人畜に被害を及ぼす可能性のほか、在来生物を捕食、競合および交雑することで在来生物を駆逐する可能性がある、と捉えている。

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最終更新:7/31(月) 6:10
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