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巨大ハンバーガー帝国「マクドナルド」を作った男のまさかの成功哲学

7/31(月) 8:50配信

HARBOR BUSINESS Online

 世界最大のファストフードチェーン、マクドナルド・コーポレーション。そしてその「創業者」、レイ・クロック。ソフトバンクの孫正義やファーストリテーリングの柳井正の両氏も師と仰ぐ彼が、どのように成功の階段を上りつめていったのかを描いた映画、『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』が角川シネマ有楽町、角川シネマ新宿ほか全国にて公開されています。

 レイ・クロックは、1902年にアメリカのイリノイ州に生まれました。’54年、カリフォルニア州サンバーナーディーノで「マクドナルド」の店舗を開いていたマクドナルド兄弟と出会い、高度に効率化された調理システムに感動したクロック氏は、兄弟と交渉してフランチャイズ権を獲得し、’55年に最初のフランチャイズ店を出店します。

 そして、同年にはマクドナルド・システム会社を設立。’60年にマクドナルド・コーポレーションに社名変更し、さらに出店を拡大していきます。翌年にはマクドナルド兄弟から商権を買収し、’84年までに世界34か国で8300店舗を開くことになります。

 今回は、映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』より、彼の成功の秘訣を紐解いていきたいと思います。

◆成功の秘訣(1)何度も失敗しても挑戦し続ける

 この映画の中で彼が、あるレコードを聴くシーンがあります。そのレコードのタイトルは「The Power of the Positive Thinking」。邦題では「積極的考え方の力」と訳される、文字通り「ポジティブシンキング」という考え方を初めて広めた自己啓発書のオーディオ・ブック版です。

 実は彼がマクドナルド兄弟と出会ったのは実に50歳を過ぎてからで、それまでは実に様々な職業を転々としていたそうです。まず 17 歳で、リボン小物を売るセールスマンとなり、次にはペーパーカップのセールスマンになり、やがて当時発明されたばかりの「マルチミキサー」(ミルクセーキを作る機械)のセールスマンになります。マクドナルド兄弟に出会ったのはこの商品の販売で全国を飛び回っている最中です。

 それまでの経歴を見ると、若干「ヤマ師」的な印象を受けます。これが売れると思ったら手を出し、これが流行ると思ったらそちらに鞍替えし……、普通の人間だったらそのうちに心が折れてしまうか、結局鳴かず飛ばずのまま終わってしまうでしょう。

 ところが、レイ・クロックのスゴいところは、何度失敗しても諦めず、成功を掴むまで果敢に挑戦し続けたところです。そしてその不屈の闘志はとうとう、「マクドナルド」という金の鉱脈を掘り当てるのです。

 彼のこの不屈の闘志は、前述の自己啓発レコードを聴いたり、自分なりのストレス解消法(彼の自伝、『成功はゴミ箱の中に』には、黒板をイメージしてストレスになっているメッセージを黒板消しで消していくという独自の自己催眠法が紹介されています)を実践したりすることで培われたものだと思われます。

 後に、大学生に向けたスピーチの中で彼はこう述べています。「あきらめずに頑張り通せば、夢は必ず叶う!」

◆成功の秘訣(2)時には「見切り発車」で走り出す

 フランチャイズ契約を結んで、ともに事業を拡大させていくよう協力し合うレイ・クロックとマクドナルド兄弟とですが、この両者の関係が映画の中盤から少しずつ歪み始めます。

 規模拡大を優先し、そのために不必要なコストはカットしたいレイ・クロックと、品質を下げるくらいなら現状維持のままでいいマクドナルド兄弟。この考え方の違いが少しずつ表面化していきます。

 レイ・クロックはマクドナルド兄弟と結んだ契約に縛られ、やりたいことができずに苛立ち始めます。そしてとうとう彼は、兄弟には無断で、別会社「マクドナルド・システム」を立ち上げてそちらで自分流の経営に乗り出すともに、「マクドナルド」の「創業者」を名乗り始めるのです。当然ながらマクドナルド兄弟はこれに激怒し、両者の対立は決定的なものになります。ちなみに映画のタイトルである「ファウンダー(創業者)」は、こうした彼の行動を皮肉った意味が込められていることは言うまでもありません。

 この彼の行動をどう見るかは解釈が分かれることだと思います。客観的に見れば、マクドナルド兄弟との契約関係、そして信頼関係を踏みにじる、卑劣な行為でしょう。

 ただし、お金持ちになった人々はしばしばこうした行動をとります。絶対にこうした方が正しい、と思ったのなら、まだ許可が降りていない段階に「見切り発車」で走り始め、実績を作ってしまって「既成事実化」してしまうのです。

 倫理的な評価はさておき、こうした彼の行動が後にハンバーガー帝国を築くことになった1つの成功要因であることは疑いのないところだと思われます。

◆成功の秘訣(3)欲しいものはどんな手を使っても手に入れる

 前述のように、最終的に彼はマクドナルド兄弟から「マクドナルド」の商権を買収し、とうとうそれをわが手のものにします。

 映画の終盤、クロックの強引さに負けて「マクドナルド」を手放したマクドナルド兄弟の兄ディックに、なぜそこまで「マクドナルド」にこだわったのかを尋ねられ、彼はこう答えます。

「同じアイデアで始めていても失敗していたさ。誰も出来ないマクドナルドが持つ、特別な何かが欠けているから。システムだけじゃない。“マクドナルド”という輝かしい名前さ。制限もなくオープンで音の感じが、いかにもアメリカらしいんだ」

「店であの名前の看板を初めて見た時、ひと目ぼれしたんだよ。あの時決めたんだ。手に入れようと」

 果たして「マクドナルド」というブランドネームがそこまで秀逸だったのかはわかりません。ただ事実としては、「マクドナルド」という商号を奪われたマクドナルド兄弟は「マクドナルド」の代わりに「ビッグM」というブランドでハンバーガーショップを続けましたが、数年で廃業に追い込まれたと言われています。

 トランプ大統領の記事にも書きましたが、お金持ちは欲しいものがあったら、とにかくどんな手を使ってでもそれを手に入れる、という執念を持っています。

 アップルのスティーブ・ジョブズはゼロックス社パロアルト研究所を見学した際、当時同研究所が開発中だったGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェイス)の技術を見せてもらい、そのアイデアを模倣してマッキントッシュを開発したと言われています。

 そしてマイクロソフトのビル・ゲイツもまた、パロアルト研究所の技術者を引き抜いたり、当時取引関係にあったアップルから開発中のマッキントッシュを見せてもらったりして、それらを参考にGUIを開発してウィンドウズを商品化したと言います。

 彼らは、自分の理想を実現することをすべてにおいて優先しています。ですからそれに必要なものが出てきたとき、彼らは決しておとなしく待つようなことはしません。多少強引な手段を使ってでも手に入れるのです。

 このように、レイ・クロックは不屈の精神力と強引ともいえる行動力で、世界最大のファストフードチェーンを作るに至りました。上記で見たような彼の精神力と行動力が成功要因になっていることは間違いないと思いますが、こうした生き方が他の人の共感を呼ぶかどうかはまた別問題であることを補足しておきます。映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』では、決してただの善人ではなかった彼の一面を赤裸々に描いており、その点でも一見の価値があります。

 次回も世界の成功者たちや大富豪をピックアップし、彼らの成功哲学をご紹介したいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

【高田晋一】

(株)成功データ研究所 代表取締役。作家。データアナリスト。早稲田大学第一文学部哲学科卒業、英国国立ウェールズ大学経営大学院Postgraduate Diploma取得。10年以上にわたり、電通グループ各社で市場調査やデータ分析を担当。成功に関する文献・データを集め分析することをライフワークとし、これまでに1000冊以上の自己啓発本・成功本などを読破。その後独立し、社会的成功に関する研究を行なう専門機関、「(株)成功データ研究所」を設立。これまでの研究結果を書籍やセミナー、雑誌やWEBの記事などを通じて発表している。著書に、『「人生成功」の統計学 自己啓発の名著50冊に共通する8つの成功法則』(ぱる出版)、『自己啓発の名著から学ぶ 世界一カンタンな人生の変え方』(サンクチュアリ出版)、『大富豪の伝記で見つけた 1億稼ぐ50の教え』(サンクチュアリ出版)、『成功法則大全』(WAVE出版)など。

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最終更新:8/13(日) 18:37
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