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「糸井の補償でオリックスへ来た男」金田和之が肩書きを返上するまで。

7/31(月) 7:01配信

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 7月8日のロッテ戦の試合前、ほっともっと神戸ではオリックスの赤間謙と金田和之のサイン会が行われていた。

 “オリックスの金田”にとっては初めてのサイン会。

 「もう、サインにはだいぶ慣れました。最初のほうは“48”って、前の背番号書いたりしてましたけど」と照れくさそうに言った。

 金田は2012年のドラフト5位で阪神に入団。昨年オフ、オリックスから阪神へFA移籍した糸井嘉男の人的補償として、オリックスに加入した。

 阪神では2年目の2014年に中継ぎとして40試合に登板し、5勝1敗、防御率3.61という成績を残した。その後2年間は伸び悩んだが、昨年後半に浮上の手応えをつかみ、「来年こそは」と意気込んでいた矢先の移籍だった。

 「タイガースから誰か1人が人的補償で行くというのはわかっていたんですけど、『まさか』でしたね。自分が選ばれるとは思っていなかったので。いろんな情報で、左ピッチャーという話もありましたから」

「人見知りなので、仲良くなるのに時間が」

 驚きとともに、不安もあった。

 「野球自体はどこでやろうが僕は一緒なので、そこはいいんですが、人間関係が……。また1からなので、慣れるにはちょっと時間がかかるだろうなと思いました。自分はあんまりしゃべらないし、結構人見知りなので、人と仲良くなるのに時間がかかるんです」

 しかも、オリックスには顔見知りの選手が1人もいなかった。移籍が決まってから、選手名鑑をめくってどんな選手がいるのかを確かめたほどだ。

 昨年12月に行われた移籍記者会見では「選手名鑑を見ると、同級生が結構多いので、これから仲良くなれれば……」と心もとない様子で話していた。

 そんな金田に手を差し伸べたのが、2014年のオフにオリックスから阪神へと移籍していた桑原謙太朗だった。

オリックスの選択は「来年戦力になれる選手」。

 オリックスの佐藤達也と親交のある桑原は、「タツさん(佐藤)と飯行くけど、一緒に行くか?」と金田に声をかけた。

 「何も知らない状況だったので、本当に助かりました」と金田は感謝する。

 それをきっかけに今年1月には佐藤と、金田と同い年の高木伴の3人で自主トレを行った。そこから西勇輝や松葉貴大、赤間といった同級生に輪が広がり、無事にチームメイトの中に溶け込めたようだ。球場の通路で金田に話を聞いている最中にも、横を通りかかった西が変顔をして、金田の表情をほころばせていった。

 糸井の人的補償で誰を獲得するかを決めるにあたっては、ウエスタン・リーグで対戦して阪神の若手に詳しい田口壮二軍監督も交えて、昨年12月に会議が行われた。金田も話していたように、オリックスは左腕の層が薄いため最初は左投手を狙うと見られたが、最終的には「力のある、来年戦力になれる選手」(福良淳一監督)を優先し、右腕の金田に白羽の矢が立った。

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最終更新:7/31(月) 7:01
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