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テーブルや床が触って操作できる!?『Xperia Touch』の実用性を徹底検証

8/1(火) 6:30配信

@DIME

 ソニーが「Life Space UX」として開発した超短焦点プロジェクターをベースに、Xperiaで培ってきたスマホの技術を融合させた製品が、6月に発売された「Xperia Touch」だ。このモデルは、壁やテーブル、机を、一瞬にしてスクリーン化し、しかもタッチで操作までできるのが最大の特徴。これまでも、Androidを採用したプロジェクターは存在したが、壁やテーブルをスマートデバイス化できるというコンセプトは、Xperia Touchが初。その斬新さが受け、発表時には大きな話題を呼んだ。

【写真】テーブルや床が触って操作できる!?『Xperia Touch』の実用性を徹底検証

 Xperia Touchは、ソニーモバイルのスマートプロダクトに位置づけられる製品だ。2016年にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)で、「Xperia Projector」としてそのコンセプトが披露されて以降、ソニーモバイルは水面下で商品化を進めてきた。成果が実を結んだのが、2017年2月のMWC。4月には日本での発表もあり、ついに6月に発売された。コンセプトの発表から、足掛け1年4カ月かかって世に送り出されたXperia Touch。ここでは、その実力をチェックしていきたい。

■まるで魔法のように、机や床を触って操作できる

 Xperia Touchの一番の魅力は、やはりテーブルや床に直接触れ、操作できるところにある。電源を入れると、何もなかったテーブルの上に、突如としてタブレットのような画面が現れるのは、まるで魔法を見ているかのようだ。もちろん、これは魔法などではなく、技術の結晶。原理としてはソニーの超短焦点プロジェクターを使って映像を映し出し、本体から扇形に照射している赤外線で、指の位置を検知するというのが大まかな仕組みだ。静電気の容量を検知して、タッチと見なすスマホやタブレットのタッチパネルとは、仕組みがまったく違うというわけだ。

 タッチの検知も正確で、スクロールなどの操作もしっかり追随する。ハイスペックなスマホやタブレットと比べると、わずかながら遅さを感じるかもしれないが、ここまできちんと動くと、操作に戸惑いはない。テーブルなどに置いたときは23インチ大のサイズで表示されるため、さながら、大型のタブレットを操作しているような感覚になる。ただし、マルチタッチのときにやや反応が鈍かったため、操作にはややコツがいるかもしれない。本体サイズは69×134×143mmとコンパクト。外に持ち出すには932gと重いが、家の中で、さまざまな部屋に持ち運んで使うこともできる。

 これだけ画面が大きいと、複数人で1つの画面を見ながらさまざまなことができる。たとえば、旅行先で撮った写真を見てもいいし、映画を見てもいい。OSにAndroid 7.0を採用しているため、アプリのダウンロードも可能だ。複数人での操作に対応しているゲームをインストールすれば、テーブルをはさんで対戦しながら遊ぶこともできる。タブレットではサイズが小さく、やや物足りなかったゲームも、迫力があって楽しい。その意味で、家庭内のコミュニケーションを促進しそうなデバイスといえそうだ。

 OSにAndroidを採用しているため、カスタマイズ性が高いのもポイントだ。たとえば、IP電話アプリをインストールしておけば、家庭内に置かれる固定電話代わりになる。カメラも搭載されているため、LINEなどを使ったビデオ通話も、スマホやタブレットよりリアル。壁に映し出すと、まるでSF映画の通話のようだ。株や為替をやっている人は、レートを常に表示させておいてもいいかもしれない。アイディア次第で、さまざまな用途に応用できるのは、この製品がスマートデバイスたるゆえんといえる。

■壁に投影すると最大80インチの大画面プロジェクターに

 動画をもっと大画面で見たいときは、プロジェクターのレンズを上に向け、本体を壁に沿うような形で置くと、最大80インチ大のサイズで映像を投影できる。迫力ある動画を見たいときは、この置き方にして、壁をスクリーンにするといいだろう。部屋が狭いと80インチのテレビを置く場所はなかなか取れないかもしれないが、プロジェクターなら、壁さえあればきちんと映像を映し出すことができる。AndroidにはGoogle Playがあるため、直接Xperia Touchから映画をレンタルしたり、購入したりもできる。

 ただし、この大画面モードには、少々難点もある。1つが、映像の明るさ。スペック上、映像の明るさは100ルーメンで、壁から離して映像を大きくすると、明るさが足りなくなってくる。大画面で映像を楽しもうと思ったら、部屋を暗くする必要があり、テレビと同じようにはいかない。自然光はもちろん、蛍光灯の明かりでも、投影された映像が見づらくなってしまう。超短焦点プロジェクターの技術的な制約ゆえに、仕方がないところだが、今後の進化に期待したい。

 もう1つの難点は、壁に投影すると、操作ができなくなってしまうところだ。Xperia Touchが指の位置を検出する仕組みは、先に述べたとおり。つまり、赤外線が所定の位置に飛ばせないと、タッチを判定できないということだ。壁に投影するモードでは、壁と本体の距離によって映像のサイズが変わってくる。そのため、正確にタッチを検知できないという技術的な制約が生じる。

 この仕様があるため、たとえば動画を見るときは、あらかじめテーブルの上などで再生の状態にしてから、壁に投影する必要がある。再生中に一時停止しようと思ったり、巻き戻して同じシーンを見返そうと思ったりした際にも、一度、本体を置き換えてテーブルに投影する必要が生じてしまい、操作がかなり煩雑だ。スクリーン代わりに映画をひたすら再生するだけといった用途にはいいかもしれないが、この点は残念だと感じた。

 この欠点を解消する機能として、MWCでXperia Touchが発表された時には、ゼスチャー操作が公開されていた。精度はテーブルなどに投影したときより劣るが、映像の停止や再生位置の変更などの簡単な操作であれば、ゼスチャーでも十分行える。あくまでコンセプトとという位置づけのため、実装されるかどうかは決定していないが、ソフトウェアでアップデート可能なため、ぜひ正式に導入してほしい。

■Googleアカウントやアプリの拡大に期待

 Xperia Touchにはバッテリーが搭載されており、輝度50%の状態で、1時間程度であれば、ACアダプターに接続する必要なく利用できる。といっても、これはあくまでモバイルのためというわけではなく、部屋を移動した際などに、ちょっとした操作をするためのものだ。もう少し大容量のバッテリーを搭載し、せめて3時間程度使えれば、出先でプレゼンなどに使えたかもしれない。次機種以降ではぜひ検討してほしいポイントだ。

 使い始めて戸惑ったのが、どのGoogleアカウントを設定すべきかという点。Xperia Touchは1人1人が持つスマホなどのモバイル端末とは異なり、一家に1台置く、家庭用デバイスというコンセプトの製品だ。そのため、個人用のGoogleアカウントを設定してしまうと、家族に自分のメールなり、スケジュールなりが筒抜けになってしまう。Googleアカウントを普段あまり使っていないのであればいいが、スマホでフル活用しているような人は、プライバシーを守れない。

 トラブルを避けるためには、Xperia Touch用に家族用のアカウントを作って設定しておく必要がある。といっても、Googleアカウントには、家族用の共有アカウントを作るような設定がない。ファミリー用設定があるため、新規にGoogleアカウントを作り、メインアカウントに紐づけておけば近いことはできるが、設定には細心の注意を払いたい。

 Xperia Touchが横画面専用のために、アプリについても一部制約がある。具体的には、縦画面しかないアプリの場合、ユーザーから見て横向きに表示されてしまうのだ。ユーザーが移動し、本体の横からのぞきこめば解消される問題だが、あまりスマートな対策とは言えない。Google Playにあるアプリは、基本的に縦横両方で利用できるスマホやタブレット向けに開発されており、スマホ用に縦画面だけしかないものも多い。これはアプリ側の問題という側面もあるが、プロジェクターの表示領域を縦長にするなどすれば、ハードウェア側でも解消できなくはないだろう。

 このように、Xperia Touchは、スマホでもタブレットでもない、まったく新しいジャンルの製品だけに、既存のアプリやサービスが十分対応できていない印象も受ける。ソニーモバイル側が、開発者に対し、積極的に働きかけていく必要もありそうだ。といっても、まだまだ生まれたての製品で、コンセプトは斬新。ユーザーのアイディアによって使い方の幅が広がることもあり、可能性を感じさせる。粗削りな部分はあるが、未来に向けた取り組みとしては高く評価したい。

【石野's ジャッジメント】
UI         ★★★★
レスポンス     ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
アプリの数     ★★★
文字の打ちやすさ  ★★★★
質感        ★★★★
オリジナリティ   ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

@DIME編集部

最終更新:8/1(火) 6:30
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