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タカタを経営破綻に追い込んだ真の理由

8/1(火) 11:06配信

日経BizGate

なぜリコールが拡大したのか?

 主力製品であるエアバッグの異常破裂によって、多数の死傷者が発生し、世界中で大規模なリコールに直面したタカタは6月26日、法的整理を申請し、経営破綻した。

 タカタは、独自の技術開発によってエアバッグを膨らませるための火薬に、加工や品質管理が困難である一方で、ガス発生力に優れた特徴を持つ硝酸アンモニウムを唯一採用することができた。そのためにタカタ製のエアバッグは、安全性に優れた製品として高い評価を受け、世界2位のシェアを占めていた。

 この硝酸アンモニウムが、問題となったエアバッグの不具合につながった。他社が採用した硝酸グアニジンを含め、通常の場合、火薬は経年劣化すると燃焼速度が低下する。つまり、エアバッグで言えば「不発」につながる。しかし、タカタが採用した硝酸アンモニウムについては、高温多湿など一定の条件が重なった環境で経年劣化した場合、逆に燃焼速度が異常に上がり、「暴発」に至る可能性があることが判明したのである。

 火薬の劣化は、現れ方に違いはあるが、あらゆるエアバッグに共通したリスクであるにもかかわらず、エアバッグに定期交換の制度がないことや、車の使用環境や車体設計は、部品メーカーがコントロールできるものではないことなどを考えれば、エアバッグの不具合に関する問題は、単純にタカタ一社だけを責めることで済むものではない。

 しかし、現在のように、世の中からは、ほとんどタカタ一社の不祥事のようにとらえられ、法的整理に追い込まれるという最悪の事態を招いたことの原因として、タカタの危機対応の誤りがあったことも否定できない。タカタの危機対応のどこにどのような問題があったのか、どのように対応すべきだったのかを考えてみたい。

 タカタ製エアバッグのリコールが初めて行われたのは、2008年11月だった。それまでに発生していた不具合の原因が、多湿な北米工場でのずさんな品質管理にあると特定されたため、ホンダが対象を北米に限定したリコールを行なった。

 しかし、その後は製造工程に問題のないエアバッグでも不具合が相次ぎ、死亡事故も発生したことから、各自動車メーカーは、徐々にリコールの対象範囲を拡大させていくこととなった。

 2014年6月には、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)の要請を受け、各自動車メーカーは、高湿度地域限定で原因特定のため全車両を回収して調査を行う「調査リコール(予防的リコール)」を実施した。その後もほかの地域での不具合が発生したことを受けて、2014年11月、NHTSAはタカタに対し、調査リコールの対象を全米に切り替えるよう命令した。

 しかし、タカタは、原因が特定できていないことを理由に、事故が発生していない地域を含めた全米への対象拡大に消極的な姿勢を示した。そこで、自動車メーカーが自主的にリコールを進めた。

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最終更新:8/1(火) 11:06
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