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【もがいた経験は必ずプラスになる】内川聖一が語る“鈴木誠也” vol.3

8/1(火) 0:00配信

広島アスリートマガジン

2年前に自主トレを共にして以来、師弟関係にある内川聖一と鈴木誠也。
鈴木が打撃を進化させていく上で大きな影響を与えた日本一の右打者が、自主トレでの指導秘話、そして今の鈴木誠也への想いを語る。

2年連続自主トレを共にし、鈴木のすごみを感じた

【内川】 今年も誠也は2年連続で僕の自主トレに参加してくれましたが、雰囲気が変わった印象を受けましたし、体格は昨年よりも明らかに大きくなっていました。さらに、体が大きくなったにも関わらずスピードとパフォーマンスが落ちていませんでしたし、やっぱり日に日にすごみを増しているなという感じがしました。

そして、前回と今回の自主トレでは僕に対して聞いてくる質問の内容も変わりました。昨年の場合は『内川さんがこういう風にやっているから、俺はこうやってみよう』と、誠也の中で僕のモノマネをしているような感覚だったようです。ですが今年の場合は、誠也からの質問の中で『俺も昔そういうことがあったな』と思うことがたくさんありました。打者の調子が良い時は、まずインコースから攻められて崩されるケースが多くあります。誠也もそういうことがあって「インコースが打てないんですけど、どうしたら良いですかね?」ということなどを聞かれました。

誠也からすれば、昨季の成績があまりにも大きい存在だと思いますし、数字の面だけではなく、自分の感覚にしてもそうだと思います。やはり昨季と今を比較すると、「昨季はここが打てたのに」ということも起こりますし、どうしても今の自分が物足りなく感じるものです。そして、だいたい良い時期を追い求めてしまって、前年の自分の形に戻そうとするケースが多いと思います。ですが、前年と今の自分では筋力であったり、体の状態も全く違う中でプレーしているので、自然と今年の形でプレーしているものなんです。ですから「今年は今年の鈴木誠也をつくったほうが良いんじゃないか」というアドバイスをしました。僕も若い頃に誠也と同じように感じて、先輩やコーチに聞いていたことを聞かれるので、僕もその経験をしておいて良かったと思いますし、聞かれる僕も知識がないとダメだなと思います。そういう面でも刺激を受けました。
 
僕の自主トレに参加してくれた誠也だけではなく、今シーズンは同じく自主トレを共にした上林(誠知・ソフトバンク)も頑張ってくれています。上林も誠也の活躍が刺激になったということを言っているので、僕の自主トレチームの中でお互い競い合えるような関係性が出てきているのは、僕にとっても幸せなことだと感じています。今は上林よりも誠也の方が上ですが、2人で切磋琢磨しながら競い合えるぐらいの関係性をつくってもらえているので、僕も自主トレを一緒にやらせてもらった甲斐があると思っています。

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WBCでは同じユニホームに袖を通し、世界を相手に戦った内川と鈴木。大舞台を前に内川は初出場の鈴木へ自身の経験を伝えた。

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WBCでは誠也と共に戦いましたが、本戦に入る前に僕の経験を少しアドバイスしました。僕が初めてWBCに参加したとき、韓国戦で初打席を経験したのですが、初球ど真ん中のストレートをビビってスイングすることができないことがありました。なので「俺はそうだったから、お前は初球からバンバン振れる精神状態でガツガツいったほうが良いよ」という話をしました。僕は結果的に初打席ではレフト線にタイムリー二塁打を打つことができました。そこで打ったからこそ、振れなかったあの初球が『自分の中でなんとなく』で終わってしまっています。たぶん、あの打席で打てていなかったら、あの一球を一生後悔していたと思うんです。だから『誠也にはそういう後悔はしてほしくない』という思いから、そういう話をしました。

大会が始まってからは、やはり自分がやるしかないので技術的アドバイスというよりも、誠也の自分の感覚で頑張ってほしいという目で見ていました。どうしても国際大会が始まるまでの感覚は分からないものです。みんな小さな頃から君が代、日の丸というのが当たり前のように生活の中にあるものですよね。でも、いざ日本代表としてグラウンドで国歌を聞いて『俺、日本代表で来ているな』という感覚になったときに、それが高揚感なのか? 逆にプレッシャーに感じてしまうのか? というのは大きな分かれ目なんです。誠也にはそういう、国際舞台に臨む上での心構えというのもアドバイスさせてもらいました。

(vol.4へ続く)
【広島アスリートマガジン2017年8月号掲載インタビューから抜粋】

広島アスリートマガジン編集部

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