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いま、アメリカ人が考える「グッド・ライフ」とは

8/1(火) 21:18配信

オルタナ

混沌とした政治情勢の中、多くのアメリカ人にとって「グッド・ライフ(良い暮らし)」とは、物質的な豊かさや消費量によって決まるのではなく、自分たちの行動が環境や社会にどのような影響を及ぼすのかによって決まる。(翻訳・編集=梅原 洋陽:オルタナ/Sustainable Brands Japan)

サステナブル・ブランドと米世論調査機関ハリス・ポール社はこのほど、2017年4月に米国の18歳以上の1000人を対象に調査したレポート「グッド・ライフを実現する(Enabling the Good Life)」を発表した。

レポートは、アメリカ人の価値観が大きく変化し、人々が望んでいることとそれに対する企業のあり方に大きな隔たりがあることが示している。

そしてアメリカ人が、企業やブランドに事業を通して、より充実した暮らしを送るための方法を積極的に示して欲しいと考えていることが明らかになった。

この新しい風潮は幅広い地域、人口層、政治的思想や考え方の中で広まっている。急速な生活や仕事の変化、米政治界のあつれき、予測不能で無秩序な世界的紛争、そして数え切れない差し迫った社会や環境問題があるにも関わらず、アメリカ人の中に一致している見解もある。

サステナブル・ライフ・メディア社のコーアン・スカジニアCEOは、「分断した世の中に生きているため、多くの人はアメリカ人の考える『グッド・ライフ』の定義は多種多様だと思っています。しかし実態は、若い人も歳をとっている人も、共和党支持者も民主党支持者も、そして男性も女性も人々との繋がりを持ち、重要だと思う社会的な課題と向き合う、健康的でバランスの取れた生活を送りたいという願望は共通していることが研究から分かっています。私たちは違いよりも共通している部分の方が多いということです」と説明した。

この画期的な研究は、アメリカ人にとっての「グッド・ライフ」に最も重要な要素は何なのか、そして消費者とブランドが個々または共同で、台頭してきたこうした願望をどのように実現していけるかを理解するために実施された。

研究は今日の「グッド・ライフ」の意味合いが過去から大きく変わっていることを示している。調査対象者の71%は、「グッド・ライフ」の定義が親世代とは異なると回答した。これはおそらく物質的なものよりもシンプルで健康的な、人との繋がりを重視し、自分以外の人への関心を大切にしていることを意味している。

「グッド・ライフ」を定義する2つの要素

私たちが「グッド・ライフ」の要素だとこれまで思ってきた「富や自由にしてくれるもの(制限を外してくれるもの)」は変わってきているようだ。今の時代の「グッド・ライフ」を定義する、主な2つの要素は以下の通りだ。

・ 有意義な繋がり
76%の人は「グッド・ライフ」とは家族や助けを必要とする人々、そして環境を含めたコミュニティとの有意義な関わり合いを持っていることだと定義している。

・調和のとれたシンプルさ
66%の人は「グッド・ライフ」とは健康的でシンプルでありながらもバランスのとれた生活だと考えている。アメリカ人は複雑な要素を減らし、健康的な行動を求めている。それは、ほどほどであることを好み、全ての行動が自身の幸福につながっているということだ。

アメリカ人の考える「グッド・ライフ」を定義づける最重要な要素として、経済的な自立(26%)とキャリアや教育といった個人の目標 (10%)は、調和のとれたシンプルさ (36%)と人との繋がり(28%)を追う形となった。

収入の問題は「グッド・ライフ」を妨げる最大の障害だと報告されているが(62%)が、4人に3人のアメリカ人はお金では幸福は買えないと考えている(78%)。

「グッド・ライフ」を応援するための企業やブランドの新たな役割

今回の研究は、企業やブランドにはアメリカ人の「グッド・ライフ」を事業を通して支援する多くの機会があることを示している。およそ半分のアメリカ人が企業は消費者の「グッド・ライフ」を支援することに関心があると信じており、75%のアメリカの消費者は、もし自分達が「グッド・ライフ」を手にするために必要な製品やサービスを望めば、企業はそれに応えて提供してくれると思っている。

しかし、アメリカに住む人のほとんどは現在与えられている企業の製品やサービスは彼らが考える「グッド・ライフ」の手助けをしていないと感じている。

ブランドは一般的に値打ちや健康への価値を求められがちであり、他の人々や社会の課題、そしてコミュニティと結びつけてくれるものだという思考を持っている人はあまりいない。

「大多数のアメリカ人がブランドは意義のある生活をおくる手助けができると思っていますが、3分の2のアメリカ人は現在の企業の製品やサービスはそのレベルに達していないと感じています。共感に対しての見返りをほとんどのマーケターが理解できていないのです」とハリス・ポール社のウエンディ・サロモン広報部長は語った。

「人々はどのようにブランドが具体的に助けてくれるのかは分かっていませんし、ブランドは消費者からの提案を待っています。しかしむしろ、ブランドはアメリカ人の考える「グッド・ライフ」に必要な要素に関して独自の見解を打ち出し、イノベーションを起こしながら市場で提案するべきです。現時点では不一致がありますが、もしブランドがイノベーションを起こすことができれば、5分の4のアメリカ人は「グッド・ライフ」をもたらしてくれるブランドの忠実なファンになってくれるでしょう」とコーアン・スカジニア氏は言う。

「グッド・ライフ」に貢献しているとして挙げられた企業には人気企業のスターバックス、テスラ、アップルやターゲット、そしてREIやパネラ・ブレッドがあった。

消費者が「グッド・ライフ」を送るための手助けを最もしているとされた業種は、食品やテクノロジー、旅行、レジャーで、その後をファッション、銀行業などが続いている。

「企業やブランドはマーケティングから脱皮し、人々にとって重要なことを選ぶべきです。人々の生活に違いをもたらものは何かを理解することが、真のブランド・ロイヤルティをもたらすイノベーションの原動力です」と米コーヒーチェーンのパネラ・ブレッドのクリス・ホランダー副社長は語った。

そのために必要なことは、以下の3つだ。

・ステイクホルダーとより深い関わりを持ち、ブランドや企業が新たな「グッド・ライフ」を支援するためのどのような可能性があるかを理解する。

・制約を消費者と共に意味のある製品やサービスを産み出すチャンスとする。

・消費がアメリカの「グッド・ライフ」を定義づける要素ではなくなった今、「より多く、より安く」という価値観を塗り替える。

この研究は5月23日のサステナブル・ブランド国際会議2017デトロイトで公表された、サステナブル・ブランドが今後3年間かけて追及するテーマ「「グッド・ライフ」を再定義し、再デザインし、実行する」という3年間の取り組みの一部です。

「サステナブル・ブランド ジャパン」より転載

最終更新:8/2(水) 12:14
オルタナ

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