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前のめりの韓国、最低賃金アップで文在寅がダウン

8/1(火) 17:26配信

ニューズウィーク日本版

<格差是正に向けた施策を打ち出した文政権だが、産業界も若者たちも猛反発。企業が国外脱出して雇用が失われると、批判が浴びせられている。大統領選での公約だったのに一体なぜ?>

あちらを立てればこちらが立たず──。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今、経済政策の難しさを痛感していることだろう。

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文は大統領選中から、雇用促進と所得格差の改善を掲げてきた。格差是正に向け、手始めに打った政策が最低賃金のアップ。だが早速、この政策が雇用を失うことになりかねないとして大論争が巻き起こっている。

7月15日、文政権は来年度の最低賃金を現行から16・4%引き上げ、時給7530ウォン(約750円)とする方針を決定した。これに産業界が猛反発。文は格差是正どころか、企業が国外脱出して雇用そのものがなくなるというジレンマに陥っている。

象徴的だったのは、創業100年を超える韓国の老舗繊維企業の京紡が、国内工場の一部をベトナムへ移転する決定を下したこと。同社の金ジュン会長は24日、工場移転で従業員が職を失う恐れに「心が痛む」としつつも、最低賃金の上昇によるコスト増に耐える余力がないと語った。

それでも、京紡はまだ規模の大きな企業。問題は財力に乏しい零細企業だ。小商工人連合会は、最低賃金の引き上げに対して「零細商工業者を考慮していない一方的な決定」と猛反発。雇用労働省に対して決定の撤回を求める申し立てを行っている。

企業ばかりではない。今回の決定は治安にも影響しそうだ。京郷新聞によれば、首都ソウルのあるアパートの入居者たちは警備員を雇うコストを減らすために、その数を現状の20人から12人にする案を入居者会議で提案。こうした動きは、地方都市でも見られている。

意外なことに、本来は賃金上昇で恩恵を受けるはずの若者たちですら、文政権の決定に疑問を呈している。大学生でつくる韓国大学生フォーラムは、最低賃金が1%上昇すると雇用が0.14%減るとする研究結果を発表。中小・零細企業への負担増を政府が補填する政策についても疑問を呈し、「政府が市場を予測し、制御できるとする傲慢な発想」と論破する始末だ。

文にしてみれば、今回の賃上げは雇用労働省が管轄する最低賃金委員会で11回にもおよぶ議論の末に決められた「公平な」結果だと言いたいだろう。だが反発の大きさをみると、企業や消費者など現場の声を十分に擦り合わせた結果とは言い難い。

そもそも就任後3カ月もたたないうちに、しかも中小企業政策を管轄する産業通商資源省の大臣が正式就任する前に経済的影響の大きい政策決定をしたことは、本当に妥当だったのか、疑問が残る。

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