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気ままに見える牧場の牛たちは、実は「葛藤と確執」に満ちていた

8/1(火) 19:10配信

WIRED.jp

牧草地で自由気ままに生活しているように見える牛。しかし、数理モデルを使って群れの動きを詳しく分析してみると、そこには個と集団の相反する欲求がせめぎ合うなかで生じる、ダイナミックな創発的特性が見てとれるという。

「群れ」の科学

牧草地のあちこちで草を食む、牛の群れを思い浮かべてみよう。あなたのことをじっと見つめる牛もいれば、生い茂る草に顔をうずめる牛、座り込んで休む牛もいる。のどかな光景だ。文字通りのシンプルライフ。そう思ったのではないだろうか?

残念ながら、あなたが想像した牛の群れの暮らしは、現実とは違うようだ。新たな数理モデルによれば、牛の群れは見た目に反してきわめてダイナミックであり、そこでは利害対立を背景に、静かなる闘いが繰り広げられている。生物学者の協力のもと、数学者たちは牛の群れの驚くべきダイナミクスを計算し、その成果が『Chaos』誌に2017年6月20日付けで掲載された。

ニーズが異なる個々と群れのせめぎ合い

牛の生活には、生態学的・生物学的性質に由来する確執がつきものだ。牛がとりうる状態を、次の3つと仮定してみよう。草を食べながらうろうろしている。何かをじっと見つめながら突っ立っている。ねそべって休んでいる。各個体はこうした行動を、どれも好きなだけやることができるが、それは単独でいるときの話であって、牛はそんな風に生きる動物ではない。牛は集まって群れをつくり、捕食者に対抗する。

どの牛の群れにも、大小さまざまな個体がいる。たとえば、オスはメスよりも大きくなる傾向にあるし、子牛は成牛よりも食べる量が少ない。そのため、小さな牛ほど早く食べ終わり、早く消化し、次の場所に移動しようとする。「個々の牛のニーズと、群れ全体のニーズの間に、ある種の対立があるのです」。そう説明するのは、今回の研究論文の共著者のひとりで、クラークソン大学複雑系科学研究センター所長を務めるエリック・ボルトだ。

ボルトらは、このようなせめぎ合いがもたらす結果をモデル化した。大きな群れは、食べるのが速い牛と遅い牛の2つのグループにわかれる傾向がある。それに加えて、一部の個体は群れから群れへとわたり歩く。これは一定のペースで食べたいけれど、安全のためには群れの中にいるべきという葛藤に直面するためだ。「どちらを選んでも、最高の幸せは手に入らないのです」

この研究の興味深いところは、研究者たちが哀れな大学院生をフィールドに送り込み、何カ月も牛を観察させたわけではないことだ。研究チームは、個々の牛の状態変化をモデル化した先行研究に基づき、数学的に答えを導き出した。たとえば、満腹になったら寝そべって休む、というように。

「このモデルのユニークなところは、牛をある種のコンデンサーとして扱っている点です。貯め込んで飽和すると、放電し次の状態に変化します」と、ボルトは述べる。「バウンドするボールのようなものとも言えます。飛んでいったボールは、地面に当たると、その衝撃で状態が切り替わり、また別の挙動を示します」

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最終更新:8/1(火) 19:10
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