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松田丈志から日本競泳陣へ。 「東京五輪で大歓声を浴びるのは君たちだ」

8/1(火) 17:52配信

webスポルティーバ

◆世界水泳短期集中連載・「キャプテン」松田丈志の目線(7)


 競泳最終日、日本は2つのメダルを獲得した。

【写真】「五輪と世界水泳は何が違うのか」

 男子400m個人メドレーでは瀬戸大也が4分09秒14 で3位、萩野公介は4分12秒65で6位だった。この種目、瀬戸は世界水泳2連覇中、萩野はリオ五輪のチャンピオンだったが、優勝したのはいずれの大会でも彼らに負けたアメリカのチェイス・カリシュだった。

 自己ベストを更新する4分05秒90の大会新記録。このタイムは瀬戸、萩野のベストタイムも上回る。カリシュにとっては念願のこの種目の金メダルだ。

 カリシュは5日目の200m個人メドレーでも日本の2人を破って優勝している。彼は本来400mを得意とする選手なので、厳しい戦いが予想されたが、その現実を突きつけられる結果となった。

 バタフライ→背泳ぎ→平泳ぎ→クロール(自由形)と泳いでいく個人メドレーの中で、カリシュはとにかく平泳ぎが驚異的に速い。だから日本の2人が勝つには、背泳ぎまでにリードを奪っておくしかなかったが、200mのターンでカリシュに先を行かれており、この時点で優勝は厳しい状況になった。

 そこから瀬戸は目標をメダル獲得に切り替え、平泳ぎを余裕を持って泳ぎ、最後の自由形の残り25m付近からスパート。3連覇はならなかったが、イギリスのマックス・リッチフィールドをかわして、何とか3位に食い込み銅メダル獲得。この種目3大会連続のメダル獲得となった。


 悔しさを隠さなかった瀬戸だったが、それでも今後、この経験が自分にとってプラスになると思うと、最後は持ち前のポジティブさで語ってくれた。

 萩野は最初の50mこそ先頭でタッチしたが、その後は常にリードを許す展開で、最終的に6位に終わった。

 今回の萩野を見て、つくづく思うのは「ないものは出ない」ということだ。試合期間中少しでも記録を縮めようと、必死にテクニックやメンタルを整えている萩野の姿を見てきた。

 しかし、ないものは出ない。

 苦しいシーズンだった。昨年9月に右肘の手術をし、トレーニングの時間が十分に取れなかった。トレーニングが十分に積めなかった影響は、これまで豊富なトレーニングを積んで結果を出してきた萩野だからこそ、より大きかったのだと思うし、完璧を求めたい彼にとっては精神的にも自信を持てなかったのかもしれない。

 手術の影響は体力的にもあったが、テクニック的にも微妙な違和感、左右差などを感じることはあると本人はいう。そんななか、よくやったと思う。

 体力的なものは今後、時間が解決してくれると思うが、テクニック的なことはずっと向き合っていくこととなる。これから時間をかけて、今の自分にできる最高の泳ぎを模索していってほしい。

 また彼にはもっと水泳を楽しんでほしい。水泳を通して広がっていく人間関係や体験は貴重なものだ。今の彼だからこそできる経験を積んでいけば、選手としても人間としても強みが増していくと思う。その辺りのことは次回掲載予定の世界水泳総括でも書きたいと思う。

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