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不安や恐れが消えていく“いい加減”思考のすすめ

8/1(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 人間、“いい加減”くらいがちょうどいい。「まあ、いいか」「なるようになる」と思える心の余裕をもてば、不安や恐れも忘れることができます。新著『忘れる力』を出版した臨済宗 全生庵住職の平井正修氏に、ネガティブ思考から抜け出す方法を教授していただきます。

● 結果がどうなるかは気にせず 「なるようになる」と思えばいい

 私は“いい加減”な人間です。

 もちろん、こうやって禅の教えをお伝えすることや仕事には、真面目に真剣に取り組み、家族にもきちんと向き合っています。

 ただ、心のどこかで、「どうにかなる」と思っているのは、たしかです。いや、「なるようになる」と言ったほうが近いかもしれません。ここが“いい加減”と言っているゆえんです。

 決して、投げやりになっているという意味ではありません。努力はしたうえで、最後の最後は「仕方がない」と思っています。すべてに責任は持ちますが、結果がどうなるかはわからないものです。

 だからこそ、途中は結果のことを考えないほうがいい。結果を忘れることで、余計なエネルギーを消耗することなく、やるべきことに注力できるのです。

 たとえば、仕事で一所懸命に考え抜き、最善を尽くして準備したプロジェクトが、必ずしも成功するとは限りません。

 恋愛で相手を深く思い、どんなに大切にしたとしても、別れが訪れることだってあります。

 SNSで「これは面白いだろう」と情熱を込めて書きつづったものが、さほど「いいね」と言われない……思惑が外れることもあるでしょう。

 思うようにいかないのが人生です。

 だったら腹をくくって、自分を信じてやるしかない。そして結果が出た時も、「まあ、こんなもんか」と思って受け流し、終わったことは忘れてしまうぐらいの「心の余裕」が必要なのだと思うのです。

● 他人の言うことは気にせず 信念を貫いた勝海舟

 究極は、「自分のすることに責任は持つが、人がそれをどう言おうと関係がない」という境地。

 この姿勢を貫いたのが、勝海舟です。

 徳川幕府が倒れて明治時代になり、福澤諭吉は、勝海舟と政府の高官・榎本武揚に質問状を送ったといいます。

 勝ち目がなくても敵には徹底的に抗戦するのが「瘠(やせ)我慢」であり称えられるべきことなのに、二人は「どうなんだ」と詰問したのです。

 榎本武揚は「また後日」と返事を出さなかったそうですが、勝海舟は「行蔵(こうぞう)は我に存す、毀誉(きよ)は他人の主張、我に与(あず)からず我に関せずと存(ぞんじ)候(そうろう)」という有名な返事を出しています。

 この往復書簡は、のちに福澤諭吉の著書『瘠我慢の説』としてまとめられました。

 勝海舟と福澤諭吉は一緒に咸臨丸でアメリカに渡った時から、どうもウマが合わなかったようです。そして、「どうなのか」と問い詰められた。勝海舟にしてみれば、信念に基づいて行動し、時代を切り開いてきた自負があったので、

 「お前みたいな口舌の徒に何も言われる筋合いはない」

 という気持ちが大きかったのでしょう。だから、

 「私がしたことの責任は私にある。それをほめたりけなしたりするのは、外野が勝手に言っていることだ」

 と返答したのです。

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