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財務省は今年も埋蔵金を差し出す?概算要求100兆円超見込みで

8/1(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 「ひとたび上げてしまった生活水準を、元に戻すのは難しい」。その言葉は、一般人の日常生活だけでなく、どうやら国という大きな組織においても当てはまるようだ。

 霞が関の中央官庁が、毎年8月末までに出す翌年度予算の概算要求額。政府は予算編成の起点となるその基準(概算要求基準)を7月下旬に示したが、そこに上限額の記述は今年もなかった。

 概算要求基準は、過去には天井を意味するシーリングと呼ばれ、歳出の上限額を設定していた。金額が野放図に膨らんでしまい、財政規律が緩むことがないようにするためだ。

 シーリングが示されるこの時期は、永田町や霞が関の至る所から、半ば儀式のように「なぜ(予算の)歳出にキャップをはめるんだ」という不満の声が漏れる。かつて限られた枠の中で、いかに効果的に予算を配分し要求額として積み上げていくかに、政治家や官僚が必死になって知恵を絞っていた。だが今や、その光景を懐かしむような状況にあるわけだ。

 上限設定を見送ったことで、概算要求の総額は5年連続で100兆円を超えそうだ。だが、今年はそうした財政規律が緩み切った予算編成を、政府として無傷で終わらせることは難しいかもしれない。

 なぜなら、足元で税収が減り始めているからだ。2015年度までは景気拡大による税収増が続いており、国としての収入が増えた分、歳出(支出)が膨らんでも何とか言い訳ができた。ところが、16年度は国の税収が前年度比1.5%減と7年ぶりに減少したため、今年はそれが通用しないのだ。

 膨らむ予算に対して、財源の確保も容易ではない。そもそも日本は20年度までに、国と地方の収支(基礎的財政収支)を黒字化するという「国際公約」を掲げているが、現時点で達成は絶望的な状況にある。

● 外為特会は永田町の財布

 にもかかわらず、政府が赤字国債を増発し、借金を一段と増やすような財源の確保策に走れば、国際社会からさらに白い目で見られることになる。

 となれば、財源として例年以上にすがりつくことになるのは、国の一般会計とは別勘定の特別会計にある「埋蔵金」だ。

 中でも注目すべきは、財務省が管轄し為替介入などに利用する外国為替資金特別会計だ。ここ数年の予算編成では、財務省が外為特会の剰余金を1兆円以上財源として差し出しており、昨年編成では約8600億円も増額、約2.52兆円を一般会計の歳入として繰り入れている。それまで一部だった剰余金の全額を差し出したかたちだ。

 今年もまた、際限のない歳出圧力に屈するように、財務省は自らの財布を空にするのか。査定官庁としてのプライドを懸けた綱引きがまた幕を開ける。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

週刊ダイヤモンド編集部

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