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加藤シゲアキと中島裕翔が『ピンクとグレー』でシンクロする[ジャニ読みブックガイド第6回]

8/2(水) 16:00配信

Book Bang

 いつだって空を見上げて明日の自分探してた皆さんと、衝動的な女にピストル握らせる皆さん、こんにちは。加藤シゲアキの第3長編『Burn.―バーン―』(角川文庫)が発売になり、私が巻末の文庫解説を担当致しました。読んでね。
 この解説ではアイドル云々ではなく、作家・加藤シゲアキの小説技法について真面目に論じています。自らのジャニオタ魂に全力で蓋をして、荒ぶるチャンカパーナを必死に押さえ込んで──その反動がここで爆発しますよ? いいですか? 

■ジャニーズ初の小説家が『ピンクとグレー』に託したもの

 2016年公開の映画「ピンクとグレー」(アスミック・エース)の原作である加藤シゲアキの同名小説『ピンクとグレー』(角川文庫)はこんな話。
 9歳のときに横浜へ越してきた河田大貴(りばちゃん)は、同じ団地の鈴木真吾(ごっち)と親しくなる。高校に進んだふたりは雑誌の読者モデルにスカウトされ、それを機に芸能界入り。ところが瞬く間にスターになっていくごっちに対し、りばちゃんにはごっちのバーター仕事しか来ない。次第にすれ違っていくふたりだったが……。
 
 一読すれば本書が持つ技巧と熱量は、アイドルが書いたのなんので論じるようなものではないことはすぐにわかる。だがこのコラムは「ジャニ読みブックガイド」なので、敢えて「ジャニーズのシゲが書いた」というところに注目するよ。だってこれ、NEWS担が読んだら、りばちゃんとごっちにシゲを重ねずにはいられないもの。それは大阪から横浜に転校したとか、大学の付属中学に進んだとかの、表層だけではなくて。

 ファンは先刻承知だが、NEWSが辿ってきた道は険しかった。グループ活動を休止した時期もあったし、人も減った。シゲが本書を執筆していたときのNEWSは6人で、山Pはソロの仕事も多く錦戸くんには関ジャニ∞があり、テゴとまっすーにはテゴマスがあった。小山くんはMCやニュース番組への出演が始まった。
 ジャニーズというアイドル王国の一員であるシゲ(ごっち要素)と、NEWSしかないのにキャラを出せないでいるシゲ(りばちゃん要素)。分解しかけるNEWS(ごっち)と、それをつなぎ止めようとするシゲ(りばちゃん)。その手段が「本を書く」だったのも、小説と現実がとてもよく似ている。作中でも現実でも、アイドルのシゲ(ごっち)と泥臭いシゲ(りばちゃん)は共にあり、乖離し、そして再びシンクロするのだ。

 2011年10月、NEWSは4人になった。その翌月、シゲは成亮からシゲアキに芸名を変え、小説家デビューを発表した。6人のNEWSには間に合わなかったという思いを、シゲはインタビューで語っている(「myojo」2015年7月号)。だがこれが、シゲの中でごっちとりばちゃんが融合を始めた瞬間だった。
 

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最終更新:8/16(水) 11:58
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