ここから本文です

再評価される動画「閲覧時間」、YouTubeに追い風:「Facebookの逆転は一朝一夕に実現しない」

8/2(水) 8:10配信

DIGIDAY[日本版]

南カリフォルニアで開かれる動画ビジネスの見本市「ビドコン(VidCon)」の8回目の開催を翌日に控えた6月21日、YouTubeは約30社の動画パブリッシャーを集め、最新の成果や構想についてディスカッションを行った。

BuzzFeed、アトランティック(The Atlantic)、ヤングタークス(The Young Turks)などが参加した、このパブリッシャーサミットでの主要議題のひとつが動画の視聴時間だ。特に、YouTubeがプラットフォーム上で動画のプロモーションやレコメンドをする際、この測定指標をどう利用しているかが問題となった。

アトランティック・スタジオ(Atlantic Studios)のGM兼エグゼクティブプロデューサー、ケイシア・シープラク=メイアー・フォン・バルデック氏は、「YouTubeのアルゴリズムは常に、レコメンドされて視聴したユーザーにとって、その動画が『満足のいく体験』だったかどうかを知ろうとしている。そして、(アルゴリズムにおいて)重視されるもののひとつは、ユーザーが見続けたかどうかだ」と言う。

YouTube以外のプラットフォームでは、違った常識がまかり通ってきた。パブリッシャーは、わずか3秒見ただけでも閲覧にカウントするFacebookで、あっという間に膨大な閲覧数を稼ぐというスケールの誘惑に抗えなかった。だが、そのFacebookも長時間の視聴を重視しはじめ、パブリッシャーが再生時間の長いコンテンツへと事業拡大を模索するなか、閲覧時間への、そしてYouTubeへの注目が高まっている。

見続けさせる、滞在させることが重要

米DIGIDAYは、YouTubeのパブリッシャーサミットに参加した企業も含め、8社のパブリッシャーにインタビューした。いずれも視聴時間の重要性が増していると述べている。

Facebook動画で高い人気を誇る「NowThis(ナウディス)」や「ドードー(The Dodo)」を擁するグループナインメディア(Group Nine Media)は、所有する4つのメディアブランドで視聴時間を重視するようになったと回答。とりわけNowThisなどのブランドで長時間動画への投資を拡大しはじめてから、こうした方針をとっているという。「これまでは常に閲覧回数が大切なKPIであり、スケールを測定する指標として優れていた」と、グループナインメディアでオーディエンス開発および分析を担当するシニアバイスプレジデントのアシーシュ・パテル氏は言う。「だが、社内で目標設定を考える際、スケールの質をさらに上げたい。閲覧数がスケールの幅を示すとすれば、閲覧時間はエンゲージメントの深さを示すものだ」。

「再生完了率と視聴時間はこれまでもずっと重要だったが、プレミアムコンテンツへの投資を強化しているいま、ますます重要性を増している」と、ブリーチャー・レポート(Bleacher Report)のプレジデント、ローリー・ブラウン氏は言う。「視聴時間は、すでに上質のコンテンツには欠かせない指標とみなされている」

ブリーチャー・レポートは、アニメシリーズ「ゲーム・オブ・ゾーンズ(Game of Zones)」や「グリンディロン・ハイツ(Grindron Heights)」など、エンタメコンテンツの制作も増やしている。「ゲーム・オブ・ゾーンズ」は1エピソードが3~5分程度で、第4シーズンの最初の7エピソードの再生完了率は60~85%だった。ブリーチャー・レポートによれば、この7エピソードの合計閲覧回数は3000万回弱だという。

「閲覧だけなら、たまたまということもある」と、CNNが運営する「グレートビッグストーリー(Great Big Story)」のゼネラルマネジャー、ウェン・ティウ氏は言う。ミレニアル世代やSNSを意識したこの新メディアは、モバイルアプリの平均セッションタイムが7分、Apple TVでは35分だ。YouTubeでの再生完了率は70~80%に達すると、ティウ氏は言う。「この数字はまぐれではない。本当にオーディエンスとのつながりを築いたコンテンツにしか出せない結果だ」

もちろん、リーチは依然として重要だ。しかし、長期的に見て成功するのは、リーチとエンゲージメントの両方を提示できるパブリッシャーだろう。

「現状、視聴時間はきわめて重要な指標だが、オーディエンスデータとセットになっている場合に限ってのことで、そのデータの要素のひとつが閲覧回数だ」と、ディファイメディア(Defy Media)のプレジデント、キース・リッチマン氏は言う。「平均再生時間が18分だったとしても、3人しか見ていないとしたら、まるで話にならない。閲覧数と閲覧時間は相補的な関係にある」

1/4ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

DIGIDAY[日本版]

株式会社メディアジーン

デジタルマーケティング戦略情報に特化した
USブログメディア「DIGIDAY」の日本版。
国内外の最新情報を独自視点でお届けします。