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万人のためのスーパーカー、ふたたび!!──2代目NSXの開発責任者に聞く

8/2(水) 12:20配信

GQ JAPAN

日本の自動車界にとってひとつのピーク・イヤーだった1990年に革新的な軽量アルミ・ボディと3LV6VTECをミドに横置き搭載してデビュー、世界を驚愕させたNSXは、以後2005年までに約1万9000台が世に送り出され、使命を終えたかのように休眠していた。そして、2016年、おなじ「万人のためのスーパーカー」のコンセプトのもと、雄々しく復活して2代目がデビューしたのであった。青い目の2代目開発責任者を直撃インタビュー!

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2017年2月から日本でもデリバリーがはじまる2代目NSXの開発責任者は日本人ではなくアメリカ人なのだった。ホンダではラージ・プロジェクト・リーダー(LPL)と呼ぶのが慣わしのその職を命じられたのは、アメリカ・ホンダ(Honda R&D America)のテッド・クロース(Ted Klaus)さんである。180cmを楽勝で超える大柄な人だけれど、物腰も表情も穏やかで威圧感がない。とっつきやすい印象の人だ。

そしてじっさい、とっつきやすかった。インタビューしたのは青山のホンダ本社内の応接室である。

■問題は解決される

─NSXの完成おめでとう。数日前に神戸周辺でテストドライブしたけれど、とてもいいクルマだと思った。とくに、そのシャープなハンドリングと高いスタビリティ、そして 猛烈な速さに強い印象を受けた。これまでに乗ったロード・カーのなかでも掛け値なしに最速の部類だ。乗り心地はかなりハードだと感じた。300km/hオーバーのスーパーカーなのでそれも当然とはいえる。難点はテストした個体のインテリア・パネル各所のフィット&フィニシュがよくなく、荒れた舗装路ではガタつき音が出たことだ。

テッド・クロース(TK)─それはフェアな評価だと思う。ホンダの工場の生産工程だけでなく、サプライヤーの生産プロセスまでふくめて問題があるかもしれない。残念ながらまだ生産品質にバラつきがあるのは認識している。もちろん、あってはならないことなので解決する。

─なにせ2300万円超えのクルマだからね。

TK─アメリカではスターティング・プライスは16万ドルからだが、常識的なオプションをつけると20万ドル強になる。ただし、NSXのようにドライバー・サポート機構とハイブリッド機構を統合したクルマはみんな100万ドル以上する。

─ああ、マクラーレンのP1、ポルシェ918、そしてラ・フェラーリと、ハイブリッド機構を組み込んだスーパーカーはたしかに1億円以上するね。

TK─NSXから得られる高度な運転経験を思うと、これほどリーズナブルな価格(2370万円)はないと思う。

─しかし、この価格ならフェラーリもランボルギーニもアストン・マーティン、マクラーレン、そしてポルシェも射程に入ってくる。

TK─そういうクルマと同列に並べられるだけでも素敵な気分になる。

■運転価値のDNA

─人々はあえてホンダを選ぶだろうか?

TK─価格で比較することもできるけれど、運転経験の面からも比較できる。いまここでテクノロジーの細部について言うつもりはない。テクノロジーは、運転経験をドライバーの手に渡すための手段でしかないから。いま、あなたから挙がった名前はすべて、スポーツカーとしてのタイムレスな運転価値を持っていると思う。そういうクルマはそれゆえ、ドライバーにたいしてそれぞれ一貫したドライビングの価値を与える責任がある。新型NSXのそれは初代NSXのDNAを感じさせるものだ。初代も新型も中心にいるのは人間、つまりドライバーだから。なんだ当たり前じゃないか、と思うかもしれないが、そんなことはない。NSXのDNAはとても例外的なものだ。なぜなら、多くのスポーツカーにとって、ドライブの目的はドライバーの手に汗をかかせることなのに、NSXは真逆で、汗をかかせないことが目的だからだ。そして、それを達成している。NSXはドライバーにとってはクールさを失わないベースとなる。それをドライブする人間は、汗をかかずにホットになれる。インテリア空間の情感などについては、これからもっとよくしていく余地があると思っている。

■ネイキッド・バイク流

─どのように?

TK─新型NSXのインテリアの基本コンセプトはinterwoven(織り合わせ)だ。運転席まわりのテクニカル・ゾーンを、いまはメタリックのフレームによって示しているが、ここは複合樹脂を使った構造材でできている。ネイキッド・バイクとおなじで、たんなるトリムではない。したがって、このフレームをウッドにもできるし、コントラスティング・カラーのレザーのパディングにしたり、スティッチングを施したりすることもできる。シートはホールドをよくするために脊椎部がアルカンターラだが、ここをコントララスティング・カラーにするとか、その外側のレザーにも同色のストリップを使うとかもやれる。いつからとは言えないが、次のステップでキメ細かいカスタマイゼーションができるようにしたい。

TK─新型NSXのオウナーのなかには、ヨーロッパのスーパーカーを並行所有する人がかなりいると思うが、彼らにしてみれば、ヨーロッパ製のようにエンジンをかけるなりアドレナリンが出るような爆音がいるのではないのか? NSXは、こと音については控えめすぎるとおもう。

TK─音を大きくすることはわけなくできる。しかし、われわれは全部あたらしいプラットフォームをつくり、そこに100万ドル未満のクルマでは利用できないほどのテクノロジーを盛り込むことを第1にかんがえた。工場もオールニューだ。カスタム・オーダーできる態勢もとっている。これからフィードバックを受けていく。あなたの指摘は私にとってはとても教育的だった。

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最終更新:8/2(水) 12:20
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