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AR対応、WatchOS、HomePod、WWDCから見えてきたアップルがめざす未来

8/2(水) 7:20配信

@DIME

 スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は6月に開催されたAppleのスペシャルイベント、WWDCから見えてきたAppleの未来について話し合います。

【写真】AR対応、WatchOS、HomePod、WWDCから見えてきたアップルがめざす未来

房野氏:少し時間が経ってしまいましたが、Appleの開発者会議「WWDC」について感想を聞かせてください。

石川氏:iOSのAR(拡張現実)対応はインパクトが大きいと思いました。iPhoneのカメラとGPUとモーションセンサーだけで、そこそこのARができるという話で、実際にデモを見せてもらいましたけど、ちゃんと机を認識して、距離もある程度分かるようになっていました。さらに床も認識して、床に椅子を置きつつ机の上には照明を置く、みたいなこともできる。他方、GoogleのTangoもあるけれど、これはTango対応端末じゃなきゃいけないし、ASUSからも対応端末の「ZenFone AR」が出ているけれど高額で、普及が難しいのかなと思うところもある。

 そんな中、これだけ普及しているiPhoneの比較的新しいモデルできっちり動くということは、ARで儲けたい人にインパクトがある。すぐにアプリを提供してヒットする可能性があるのは非常に大きいと思いました。ただ、既存のデバイスしか使っていないので、数センチの距離を測るとかは苦手で、そちらはTangoが得意だけど、精度は低くても市場規模が大きければいいという発想だと思う。Appleは他社に先駆けて先進的にやる会社では、もうなくなっているけれど、後から追いかけて規模の経済で巻き返すのは、非常にうまくやっていると思います。

石野氏:WWDCの前から、次のiPhoneはAR用の深度センサーを搭載するという噂があって、そこでARKitの発表だったので、次のiPhoneにはTangoライクなものが載ってきて、センチメートル単位で正確に距離を測れるようになるというシナリオも、ひょっとしたらあるんじゃないかなと感じました。

石川氏:先日、モトローラの社長と話す機会があって、Moto ModsでTango Modsを作らないのかという話をしたんですよ。深度センサー付きのModsをカシャッと付けるのはどうかと。すると、確かにポートフォリオとしてあり得るけれど、カメラセンサーの進化が速いと。わざわざModsを用意しなくても、数か月すると標準のカメラに深度センサーが載る可能性が十分あるので悩ましいと言っていました。というわけで、この先、スマホのカメラに深度センサーは標準になるだろうし、石野さんの話のように、iPhoneに深度センサーが載るのは十分あり得る話だと感じました。

石野氏:そうなると、次はApple製のヘッドマウントディスプレイを期待しますよね。ARKit1つでいろんな期待、妄想が広がる。いいWWDCだったと思います。刮目した甲斐があった(笑)

法林氏:出せるものを全部出した感じもしますけどね。

房野氏:Apple Payでお金を送金できる機能はどうですか。

法林氏:日本のユーザーにどこまでリアリティがあるかは、ちょっと微妙。

石川氏:アメリカのApple Payは銀行口座にひも付いている。タッチすると、デビットカードとして銀行口座から引き落とされるみたいになっているので、送金がやりやすい。日本でいえば、じぶん銀行みたい。でも、日本はクレジットカードなので、あれがどうできるかは微妙だと思う。法的にできるのかな、どうなんだろう。Appleの価値を買うというか、Appleのプリペイドカードを買うみたいな感じで送金するようですけど。

石野氏:資金決済業者にならないといけなかったり。

石川氏:LINEやメルカリなんかで、お金に関しての問題が出ることがあるけど......

法林氏:それは十分あり得るでしょう。

石野氏:iMessageで送るというのがちょっと厳しい感じがしたんですよね。iPhoneユーザー間だけでしかお金のやり取りができない。

法林氏:ただ昔、じぶん銀行が始まる前にauの人が言っていたけれど、金融系の人と付き合うと、飲み会で割り勘するときも全部電子送金。手数料もかからないし、モバイルバンキングでやり取りすればいいじゃんと。そういうこともあるので、Appleが法的なものをクリアして、Appleの外にも送金できるようにしたら可能性があると思う。現に今、割り勘で小銭がなくてどうしようとか、しょっちゅうあるわけで、それが電子送金で簡単にできればアリだと思う。いずれにしても、閉じていてはダメだよね。

石川氏:現状、送れても受け取れないじゃないですか。例えば、自分のSuicaで法林さんに1000円送ったとして、そこから法林さんがどうやってお金を受け取るか。Appleがお金の価値を作って、それを持つということなのかもしれないけれど、コンテンツを買うためにしか使えない。

法林氏:そう、現金化できない。

石川氏:そこなんですよ。ただ、もしここでAppleがキャリアと組んだら、ちょっと面白いかなと。法林さんに1000円送ったら、ドコモの課金として1000円引かれるみたいな。それがdポイントなのか......

法林氏:ドコモ口座ですか。誰も使っていないでしょ。

房野氏:ドコモ口座なんてあったんですね。

法林氏:ありますよ、ドコモ口座は実は海外送金が安い。

石川氏:めっちゃ安いんですよ。自分はたまにアメリカの口座に送るんですが、1000円で送れる。海外送金している人は、めっちゃ便利です。

法林氏:普通、銀行だともうちょっと高くて数千円かかる。

 Appleの送金については、Appleがそういうプラットフォームを用意するのは面白いとは思います。ただ、ビジネスをちゃんと組み立てられるかどうか。Microsoftのプラットフォームの考え方に近い感じがする。ウチは土台を用意するので、みなさんその上でいろんなビジネスを自由にしてください、みたいなスタンスをAppleがとれるかどうかですよね。それがダメとなったら厳しい。

石川氏:ここで、KDDIとじぶん銀行が対応したらすごいと思います。たぶん、日本でiMessageでの送金に対応できるのは、KDDIとじぶん銀行のような気もするので。それをやったらすごいと思うし、どうかな。じぶん銀行のスマートフォンでお金を下せる「スマホATM」は、使ってみると手間は多いけれど新しいと思うので、iPhoneだけで現金を下ろせて、さらにお金を送れるようになったら、また一歩、スマホって面白いという気になる。KDDIとじぶん銀行に期待かな。

房野氏:それはやってほしいですね。

■Apple Watchはスポーツウォッチに路線変更?

房野氏:他にWWDCで何か気になったところはありますか?

石川氏:watchOSは、今回またUIが変わるんですよ。

石野氏:また変わるんかいって思いましたよね。

石川氏:変わるんですよ。デジタルクラウンを回すと、過去に使ったアプリがくるくる回るようになったのと、Siriが進化していろんなことを教えてくれる。通知とは違って、こんなアプリを使いましたよねとか、次にこんな用事がありますよとかを出すんです。Appleとしても相当、watchOSは悩んでいるんだなという気がする。バージョンアップするたびにUIが変わっていく。時計として何が便利かとか、スマホとの住み分けはどうするかとか、そこの関係性を一から見直している感じがすごくします。自分もApple Watchは使っているけれど、なんだかんだ時間しか見ていなかったりするので。

法林氏:そう?

石川氏:アプリ使いますか?

法林氏:アプリは使わないけど、通知は便利。アプリは「NIKE+ RUN CLUB」で走るだけ。

石川氏:いちいち丸い小さいアイコンを触ったりしない。というよりも、通知でいかに知らせるかとか、知らせて使わせるようにしないと、ユーザーが能動的に使わなくなる。

法林氏:ウェアラブル端末を腕に何個も付けて検証しているライターさんが、文字盤はそんなに変わらなくてもいいと言っていたけれど、本当にそうだよね。何のメリットもない。変わって使いにくいだけで、どこにしょっちゅうホーム画面が変わるスマホがあるんだというのと同じ。ああいうところが、watchOSのブレている感があるところ。迷いがある。色々売りたい気持ちはわかるけど。

 Apple Watchのバンドに新カラーが出たじゃないですか。でも旧カラーが一部なくなっている。Nike+の黒黄色とかは在庫分しかない。こういうものを取り下げるということは、より普通な方に持っていきたいのかな、デザイン的に特徴のあるものは止めていっているのかなと、ちょっと感じた。初代のシリーズも、高額なEditionはなくした。色々やりたいんだろうけど、人にとってのコンピュータデバイスとしての位置付けが、まだAppleの中で定まっていない感じ。iPhoneの場所は決まったけれど、石川君が話したように、どうしたらApple Watchを人と情報をつなぐ道具のインターフェイスにできるか、すごい悩んでいる感がある。

石野氏:ハードウェアのコンセプトも、最初は高級時計だ、みたいなことを言っていたのに、Series 2になったら急にスポーツウォッチみたいな真逆の方向を向いている。法林さんがおっしゃっていた用にEditionがなくなったり、Nikeが前面に出てきたり。スポーツウォッチと高級時計って、時計業界的に考えると真逆のコンセプトじゃないですか。だいぶ大きな振り幅でブレていて、迷走感がありますね。

法林氏:アプリも機能もハードウェアも含めて、スポーツウォッチの方向を追求することに関しては僕は賛成。

石野氏:用途が明確で、そっちの方が正しいとは思います。

法林氏:こう言うと怒られるかもしれないけれど、中途半端なウェアラブルの活動量計に比べれば、付けているだけで一通りのことが分かるので楽だし、Android Wearを含めてだけど、スポーツウォッチの方向は間違っていない。まだ日本はそれほどでもないけれど、アメリカではランニングしたりジムに行ったりする人が多いし、その人たちはそこにお金を使う。こういうデバイスも買う。日本も最近、24時間営業のフィットネスジムでスポーツする人が増えているので、そこで使うものとして可能性がある。

石川氏:金脈がありそうなところが、現状、そこしかないんですよね。何か他にもあるんじゃないかと感じていて、そこをもっとがんばってほしいと思うんですが。

石野氏:でも、あまりフラフラすると迷走しますけどね。

法林氏:完全にスポーツウォッチだけに限ってしまうのも間違っていると思うけれど。

房野氏:スポーツウォッチの方も、Apple Watchができるようなことを、かなりカバーしてきているんですよね。互いに近づいているような気がします。

石川氏:だったらApple Watchはバッテリーが1日、2日しか持たないのはダメだよね。

石野氏:利用シーンを考えると、スポーツウォッチ系が一番自然ですよね。最初になんで高級ウォッチ路線を目指したか分からない。1年や2年でバージョンアップするようなデジタル製品で数百万円する時計なんて。

法林氏:言い方は悪いけれど、200万円の時計なのに、本体を磨いてくれといったら磨いてくれないんだよ。ロレックスだったら、持っていったらすぐ研磨してくれるよ。そういったレベルも違うので無理でしょう。

石川氏:200万円出させるなら、10年間いつでも修理するとかバージョンアップしてくれるとか、それくらいのオプションがないと出せない。

法林氏:だから、今の3万円、4万円という値段は、ちょっと高めくらいなので悪くはない。本当はもう1万円ほど安くなってほしいと思うけど。

石野氏:FeliCaが入ったのは良かったですね。

法林氏:iPhoneから移動したけど戻らないとか、いろいろすったもんだしたよね。最終的には問題は解決したみたいだけど。

石野氏:あと、残高表示がエラーになるとか。モバイルSuicaに関しては、時計は左手首なのに改札の読み取りは右で、ちょっと使いにくいけど。

石川氏:Apple Watch用の改札を作れと。

法林氏:1日に何人使うんだよ(笑)

石川氏:1通路だけでも左用にしてほしい。

石野氏:実は僕、左利きなので、本当は左手でタッチしたいんですよ。だから、左利き用兼Apple Watch用みたいに(笑)

■HomePodは受け入れられるか

房野氏:「HomePod(ホームポッド)」については、どう思われましたか。

法林氏:できるかな。

石野氏:サプライズの割には情報がダダ漏れだった。

石川氏:一番びっくりしたのは、あのデザインでいいのかなと。

房野氏:Mac Proっぽいですね。

石野氏:ゴミ箱、好きですよね。

石川氏:ジョナサン・アイブがデザインしたかどうかは知らないけれど、あれでいいのかな。すごいホコリが溜まりそう。

房野氏:実際にはどんな風になっているんですか。

石川氏:上にコントローラがある感じですね。

房野氏:発売日は決まっているのですか。

石川氏:一応、12月にアメリカで発売、300ドルくらいです、とはいえ、Google Homeが100ドル程度なので、他と比べると高い。Google HomeもAmazon Echoも、なんだかんだいって音楽を聞くのがメインで、コントロールしやすいので音声対応している。音楽に特化するのは間違ってはいないとは思います。ただ、Google Homeがアプリに対応したり、Amazon Echoがスキル対応するようになって、いろんな使い方ができるようになっていくんだけど、HomePodに関してはそういったアナウンスはされていない。単にSiriでスケジュール管理できるとかコントロールできるとかという程度なので、使い方に関しては物足りないなあと思います。

石野氏:それは本当に思いました。しかもWWDCで開発者があれだけ集まっていたのに、サードパーティへの話は一切なかった。単にスピーカーの新製品自慢だけ、それはどうかなと。製品発表会じゃないのに。

房野氏:SDKを先行で出したりは。

石野氏:いや、それがないんですよ。

法林氏:そこがさっきのARと違うところ。ARはARKitがあるけれど、これに関しては何がしたいのという感じ。他が出したからウチも出した感が満載。

石川氏:よく分からないのが、Apple WatchだったらwatchOSがあるし、iPhoneだったらiOSがある。HomePodにHomePod OSが存在するのかどうか分からなくて、一応、A8チップが載っているじゃないですか。だからOSを動かせるだけのパワーはあるはずなんだけど、そこら辺が見えない。

石野氏:載っていないとSiriが動かないですよね。

石川氏:でしょ。単体で動くってことだし。

法林氏:実は中身がApple TVなんじゃない?

石川氏:あー......

石野氏:画面が点かないApple TV。

法林氏:tvOSベースで、上にスピーカーが載っているというものじゃないかな。実はテレビにつなぐと、Apple TVと同じ画面が見られますというような。Apple TVをまず考えて、これに巨大なスピーカーを付ける。マイクも付いていて、しゃべれる。要するにリモコンのマイクが本体に入っていると考えればいい。それなら作りやすいと思う。

石野氏:機能限定版のApple TVみたいな感じですね。

法林氏:たぶん、テレビ出力できるんですよ、きっと(笑) 本体単体でも動くけれど、テレビとつないでテレビの画面に入力を切り替えたら、Apple TVと同じ画面が出るんじゃないかと思っているんです。

房野氏:端子はなかったですか。

石野氏:写真を見る限りはなさそうですね、ワイヤレスでつながるのかも、という憶測ができるくらい、仕様があまり開示されていない。妄想するくらい情報がない(笑)

法林氏:Apple TVは結構好きで、便利に使っています。なんでも見られるし、今度はAmazon プライム・ビデオが見られるようになる。

石野氏:HomePodは2台置いて、自動的にステレオとかサラウンドになるというところが面白い。

石川氏:置いたらそこの環境を判断して、最適な音が出るようになるし、2台連携してちゃんとステレオとして使えると。どうやってやるのかな。

法林氏:普通のAVアンプも、スピーカーをつなげてマイクを1本テーブルの真ん中に置いたら、その場に最適化された音響を作れる。それと同じ仕組みを入れているだけですよ。

石川氏:もしかしてiPhoneがそれを果たすこともあり得るかなと。

法林氏:iPhoneをテーブルの上に置いて、オレはここで聞くということにする、みたいな感じはあり得るよね。

石野氏:HomePodのこの機能だったら、すぐ日本で出せそうなもんですよね、なぜあの3カ国(アメリカ、イギリス、オーストラリア)なんだろう。言語対応が英語だけなんですよね。Siriがあれだけ各国の言語で動いているんだから、対応できそうなのに。

石川氏:まさかの英語オンリー。

法林氏:何が引っかかっているのかな。

石野氏:何か考えてるんじゃないかなという気はしています。実は発売と同時にサードパーティに開放するとか、その辺は考えているんじゃないかな。一応、HomeKitは使えるんですよね、電気を点けて、とか。

石川氏:そうそう。iPhoneを持って外にいて、それで家電をコントロールすることはできる。ちゃんとOSが載っていて、単独で動く。

石野氏:まあ、最初にそこを訴求しても一般ユーザーは付いてこないので、音楽用だといった方がいいという、マーケティング戦略ですよね。

石川氏:Google HomeもAmazon Echoも、最初の2週間くらいしか使わないという話もよく出ている。それはまっとうな意見であって、どう話しかけていいか分からなくなるんですよ。Googleが会話だから大丈夫という言い訳をしているけれど、それなら音楽に強いといった方が、まだ使われるかな。音質で差別化にはなる気がします。

......続く!

次回は、WWDCについてさらにくわしく取り上げる会議です。ご期待ください。

文/編集部

@DIME編集部

最終更新:8/2(水) 7:20
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