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本人もドン引き!カンナムスタイル・PSYの“手首”の銅像が登場 強引な観光PRが韓国でも批判を呼ぶ

8/2(水) 16:00配信

HARBOR BUSINESS Online

 韓国・ソウル江南区のCOEXの前に設置されているブロンズ像が物議を醸している。

 それは、K-POPアーティスト「PSY(サイ)」のヒット曲「カンナムスタイル」の振り付けを象徴する手の像。「江南スタイル」は2012年7月にYouTubeで公開されると、テンポのいい曲調と、独特なダンスが人気を博し、再生回数が急増。世界的に大ヒットした上、YouTubeでのMV再生回数は29億回を超えている。

⇒【写真】焼肉をつつきながら困惑をあらわにするPSY

 一方で設置場所となったCOEXは、国際会議が開かれるコンベンションセンターから、水族館や劇場、映画館などのレジャー施設まで幅広く備えた巨大複合施設。平日は14万人、週末は25万人もの人が訪れるという大人気観光スポットだ。今回設置されたブロンズ像は高さ5.3m、幅8.3m。費やされた費用はおよそ4億1832万2000ウォン(約4185万円)という。

 多大なる費用の浪費だと建設当初から物議を醸していたが、先日PSY自身がインタビューでこの件について発言し、再び波紋が広がっている。

 PSYは7月24日、紙面インタビューにおいて、「銅像についてどう思う?」と聞かれたところ以下のように答えている。

「ちょっとやりすぎかな、という気はします。銅像が手だけというのもなんだか笑えますし。(筆者中略)確かに、曲がヒットしたのは事実ですけど、ぼくは仕事の一環として楽曲を提供しただけで、国のためにしたことではありません。それなのに税金で銅像を立てるというのは、やり過ぎだなと思います。もちろん、感謝はしていますけどね」

 このインタビューによって、PSY本人も銅像設置に否定的だったことが明らかになった。ちなみに、PSYはこの像をお披露目した除幕式にも参加していない。さらには江南区議員であるヨ・ソンウン議員がFacebookでPSYのインタビュー記事を引用しながら、銅像設置にいたる経緯のウラ話を暴露している。

 ヨ議員によると、「銅像建設当初からPSY氏側からは反対の声があがっており、『カンナムスタイル』を完全に再現することは難しかった。通常であれば、本人側からの反対によって銅像建設そのものを中止すべきであったのに、最後の悪あがきで手の部分だけを建設することにより、江南の象徴として、世界的な人気を誇ったカンナムスタイルの銅像を立てることで、より多くの外国人観光客を見込めるとした上で住民や区議会全体の反対を押し切り、当時のシン・ヨニ区庁長が強引に推し進めた。なぜそこまでこだわったのか、それは未だに謎です」とヨ議員は締めくくっている。

 これをうけて、江南区庁側は「銅像の制作当初から、YGエンターテインメント(PSYの所属会社)側からは否定的な意見は受けておらず、区議会の反対があったという主張も明白なウソだ」と反論している。また、「一部報道で周囲の反対を押し切ってシン・ヨニ区庁長が推し進めたと報じられているが、事実無根」とし、ヨ議員の証言を真っ向から否定しており、双方は対立している。

 しかしこの強引に推し進めたシン・ヨニ区庁長という人物、実はかなりめちゃくちゃな現職の江南区庁長である。その荒唐無稽な言動は、すでに約4000万円を費やしたPSYの銅像設置からも十分うかがえるのだが。

 シン区庁長は先月21日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が当選した第19代大統領選挙期間において、誹謗中傷の虚偽事実を流布したとして、ソウル中央地検で検察調査を受けている。また、今月11日には一部の江南区議職員が予算を私的に使用したという横領疑惑に、シン区庁長が関連しているとして、警察側が家宅捜索を行っている。

 「観光客を集客するため」、「注目されるため」として作ったにしては、あまりに費用をかけすぎている気がしないでもない。

◆日本でも類似例。壇蜜の宮城県観光PR動画が炎上

 また、日本でも最近似たような事案が波紋を広げている。

 タレントの壇蜜さんが出演する宮城県の観光PR動画広告「涼・宮城の夏」だ。これは、宮城県や仙台市、JR東日本などが参加する「仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会」による観光キャンペーン動画で、「仙台・宮城【伊達な旅】夏キャンペーン2017」の一環として制作されたもの。動画の制作費用については、復興関連予算から2300万円が充てられている。

 7月5日からYouTube上にアップされ公開されているのだが、性的な連想をさせる言葉や唇のアップが挟まれ、性的表現と受け止められかねないシーンもあることから、物議を醸している。同県議会の女性議員7人が県に配信中止を申し入れたほか、「税金で作られた動画であり、ただ再生回数が増えればいいというのは誤りだ」と批判が上がっている。

 「仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会」会長でもある村井嘉浩県知事は10日の定例記者会見で「見ていただかないと意味がない。宮城って涼しいんだなということは感じてもらえるので、そこからまた次につながっていくと思います。私としては賛否両論あったことが逆に成功につながっているんじゃないかと思っています」と評価しており、動画の配信は中止しない意向を見せている。

 しかし、実際には市民などから約100件以上の意見が寄せられていて、そのうち9割が批判的な意見だ。

 現在、動画はYouTubeで再生回数230万回を超え、確かに注目を得るという点においては大いに成功していると言えるだろう。しかし、どのように注目されているのか、という「質的な観点」から見ると、残念ながらいいイメージを与えることには成功していない。

「どのような形であれ、関心を持ってもらえればそれで良い」という概念は、おかれている立場によっては非常に無責任なものとなる。

 今回の韓国の江南区庁長や宮城県知事もまた然り。観光客の集客につながるのか、地域にとって今後何かプラスとなることはあるのか。その結果はいまだ見えないが、成功しなかった時の「しわ寄せ」が国民に回ってくるのは、どの国でも避けられないことなのかもしれない。

<文・安達 夕 @yuu_adachi>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/13(日) 18:35
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