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方言を防犯ポスターやICカードに活用ってどういうこと? ソフトで親しみやすい方言の魅力

8/2(水) 6:30配信

ダ・ヴィンチニュース

 突然だが、日頃方言を聞くまたは自分が使う場面はどれほどあるだろうか。近年はテレビ・インターネットなどによって標準語に触れる機会が多いことから、純粋な方言を聞く機会は目に見えて減っている。しかし一方で、日々の会話の中に溶け込んで今なお生き続けている方言もある。そういった方言は、使っている人にとっては“標準語”であり、方言であると知られていないことさえある。時には、方言とは知らずに発した言葉が相手にいらぬ誤解を与えてしまうこともあるだろう。『誤解されやすい方言小辞典 東京のきつねが大阪でたぬきにばける』(篠崎晃一/三省堂)では、そういった誤解されやすい方言が多く紹介されている。

 会話の中では意識されなくなってきている方言だが、一方でこれを特定の活動に活かしている場合もある。地方都市の交通事故防止のポスターなどがそれだ。その例を2つほど紹介しよう。

山梨県甲府市郊外の見通しの悪いカーブには、「スピード出しちょし」の看板。他県の者からすれば「速度を上げろ」と言われているような感じがするが、この「~ちょ」は、山梨の西部地方の方言で、「~するな」にあたる禁止の表現なのである。
また宮崎県内の国道で見かけるのは「てげてげ運転追放運動」の看板。「てげてげ」は、「いいかげん」「適当」「ほどほど」「おおざっぱ」などの意味をあらわす。わき見運転などによる交通事故の防止がねらいだ。
 なぜこういったポスターに方言が使われるのか? それは、この方言を同じ意味の標準語に置き換えてみるとわかりやすい。「スピード出しちょし」は「スピードを出すな」だし、「てげてげ運転追放運動」は「いいかげん(おおざっぱ)な運転追放運動」になる。どうだろう。標準語の方がいささかきつい印象を持ちはしないだろうか。そういった印象をやわらげるため、こういった注意を促すポスターには方言が使われるのだ。実際、人間はきつく注意されるよりもソフトに言われた方が存外素直に受け止められるものなので、その心理構造を巧みに突いた方法と言えるかもしれない。

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