ここから本文です

一子相伝450年、利休も愛した名碗の宇宙──「樂吉左衞門×坂東玉三郎」作陶対談!

8/2(水) 6:30配信

Book Bang

樂家450年、代々の作品をこれまでにない規模で揃えた展覧会「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」展。昨年末から5月まで、京都と東京の国立近代美術館で開催され、大いに話題を呼んだ展覧会の図録を愛蔵版として刊行! 「これだけの作品はもう集められない」と樂家当代吉左衞門さんがおっしゃる貴重な一冊です。ここでは展覧会期間中に行われたスペシャル対談「坂東玉三郎×十五代 樂吉左衞門」の一部をお伝えします。(2017年3月31日東京国立近代美術館講堂にて)

 ***

樂家に受け継がれる土──曾孫のために土を探す──

樂吉左衞門(以下、吉左衞門) 先日、イタリアに行かれていたそうですね。

坂東玉三郎(以下、玉三郎) 撮影のために行ってきました。じつは樂さんと私、今こうして親しくさせていただいていますが、きっかけは、イタリアにあるんです。

吉左衞門 もう40年も前のことになりますね。私はイタリアで勉強していて、同じ頃、玉三郎さんも滞欧していらした。

玉三郎 そのときは残念ながらすれ違いでしたが、私と同じ年頃の樂家の方がローマで勉強してるんだ、ということにとても親しみを持ちました。そして10年前、樂さんが滋賀県の佐川美術館に樂吉左衞門館をお建てになったときに案内していただいてから、更に親しくお付き合いさせていただけるようになりました。先日など、樂さんから土をいただきました。

吉左衞門 じつは玉三郎さんは、茶碗を作られるんです。そのことを最近知って、それで土をお送りしたんです。

玉三郎 ちょこちょこと、素人なりに焼いています(笑)。樂家の土をいただいて、それでお茶碗を作るなんて普通ではありえないことですから……。

吉左衞門 あのときは2種類の土をお送りしました。ひとつは今、自分が使っている土で、私の曾祖父の十二代弘入が京都の南の方で見つけた土です。

玉三郎 佐渡にいらっしゃる私の作陶の先生が、「土は大事にしなければいけない」と常々おっしゃっていたんですが、そうは言っても土はどこにでもたくさんあるような気がして、そのことをあまり実感できていませんでした。

吉左衞門 私たちも土はとても大事にします。父は「土は命だ」と言っていました。子どもの頃、粘土遊びをするときも、父はお茶碗を作るのと同じ土を使わせてくれるのですが、それを丸めて投げ合って遊んだりして粗末に扱ってしまうと、「何してるか!」と、雷が落ちました(笑)。

玉三郎 そのときの土と同じ土が、お送りいただいたもののひとつですね。もうひとつは、樂さんが最近いただかれた土なんですね。

吉左衞門 はい、奈良・薬師寺さんの東塔の基壇の土です。東塔を再建されるのに試掘をした際に出てきたんです。ご連絡をいただいてすぐに駆けつけて、練ってみたらほんとうにすばらしい土でした。自分で見つけた土を曽孫が使うというサイクルなので、ずいぶん一生懸命土を探してきたんですが、これでようやく責任を果たせたように思います。

玉三郎 そのお話を聞いて、土を大事にする気持ちが私にもよく分かりました。大事に練って、お茶碗を3つ作って、樂さんにお届けしました。

1/4ページ

最終更新:8/2(水) 6:30
Book Bang

記事提供社からのご案内(外部サイト)