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多様化する現代にヒット商品を生み出すポイントとは?

8/2(水) 12:00配信

日経トレンディネット

 「約30%で売り上げ約10%」――この数値が何を意味しているのか、お分かりいただけるだろうか(答えは後述)。

 7月26日~28日に開催された「D3 WEEK 2017」(日経BP社主催、六本木アカデミーヒルズ)では、「デジタル時代のヒット商品づくり」をテーマにしたパネルディスカッションが実施された。

 モデレーターにはエステー執行役エグゼクティブ・クリエイティブディレクターの鹿毛康司氏。パネリストはマーケティングの専門家である以下の4人だ。

・木村美代子氏:アスクルCMO(最高マーケティング責任者)

・奥谷孝司氏:オイシックスドット大地COCO(最高オムニチャネル責任者)

・土屋義徳氏:キリンビールマーケティング本部マーケティング部商品開発研究所

・越尾由紀氏:True Data 執行役員リテールマーケティング部 部長

 「約30%で売り上げ約10%」は、True Dataの越尾氏がパネルディスカッションの冒頭に示した問いかけである。その意味は、世の中で販売されている商品の約3割を新商品が占めるものの、それらの商品が売り上げに占める割合はわずか1割にとどまっていることを表している。

 True Dataは、ポイントカードなど複数の会員組織を横断した約5000万人の購買履歴のデータを取得し、企業向けにマーケティングデータとして提供している。「約30%で売り上げ約10%」は、True Dataの持つデータから導き出されたもの。ヒット商品を生み出すことの難しさを端的に物語っているデータと言えよう。

 ヒット商品が少なくなった理由は、消費者が利用するデバイスや接する情報源、嗜好の多様化だ。テレビCMを大量投下すれば、誰もが同じ商品を購入するような時代は終わりを告げた。

 パネルディスカッションでは、多様化が進んだデジタル時代において、ヒット商品を生み出すために必要なポイントについて議論を深めた。その結果、「チャネル」「体験」「ブランド」という3つがポイントとして浮かび上がった。

 まず、「チャネル」について。リアル店舗とネット通販の2つが消費者が商品を購入する主なチャネルだ。オイシックスの奥谷氏は、前職で良品計画のネット事業部門の責任者を務めていた。その時の経験から、リアル店舗とネットで売れる商品に違いがあると説明する。

 例えば、ビー玉のような丸い氷を作れる製氷皿「シリコーントレー/ビー玉」もその1つ。この商品、当初は店舗で販売したものの売れなかったため、すぐに販売を中止した。ところが中止後に、意外な用途で愛用していた顧客から再販を求める声が寄せられた。

 その用途とは、「ジュエリーのデザイナーが、きれいな玉を作ること」(奥谷氏)だった。しかも、重宝していたが、耐久性が低いので買い足したいとのことで、リピートも期待できる。とはいえ、一部のニーズのために店舗の棚を割くのは効率が悪い。

 そこで、ネット限定で販売したところ、これが売れた。「売れる量だけで見た場合は不人気商品だが、本当に欲しい人が買うため、値引きをしなくても済むので利益率が高い」(奥谷氏)。このように特定の顧客からのニーズがはっきりと見える商品は、ネットでの販売に向くという。

 ネット通販サイト「LOHACO」を運営するアスクルは、メーカーと共創したオリジナル商品の開発に力を入れている。なかでも店頭販売では実現が難しい商品デザインに注力している。

 「これまでの商品デザインは、店頭でいかに目立つかが重要だった。一方で、もっと生活に溶け込むデザインの商品も求められているのではないか」(木村氏)。そんな仮説から、メーカーと共同で「暮らしになじむデザイン」をコンセプトとした「暮らしになじむロハコ展」を実施した。

 この展示会を通じて、花王と開発したのがLOHACO限定デザインのハンドソープ「ビオレu」だ。花王では従来、商品をデザインする際に「店頭での存在感」や「商品の特徴」を特に重視していたという。

 共同開発したビオレuは「自宅に置きたくなる」ことを重視。「陶器に詰め替えて使用している人が多い」というビオレu購入者の行動をきっかけに、有田焼を彷彿(ほうふつ)とさせる商品デザインを採用した。

 通常デザインの商品より70円近く高いにもかかわらず、共同開発したビオレuは4.6倍売れているという。店頭のように商品を見比べることがほとんどないネット通販だからこそ、既成概念にとらわれないデザインでもきちんと購入につながることが実証された。

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