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今、話題のフィンテック「個人間送金アプリ」は本当に使えるか?

8/3(木) 6:30配信

@DIME

フィンテックと個人のつながりについて考えている本連載、今回は日本版フィンテックのひとつのビジネスチャンスともいえる個人間送金を取り上げてみます。

■割り勘に便利?個人間送金

今回は日本版フィンテックのひとつのビジネスチャンスともいえる個人間送金を取り上げてみます。

世界的にはフィンテックを使った国際送金がひとつのジャンルを形成していますが、日本人同士が国際送金をする可能性はあまり高くありません。むしろ、電子マネー利用が進んできたときに、日本で普及が期待されているのは、国内で完結する個人間送金です。そして、期待されつつなかなか本命が登場しないのも、この個人間送金アプリです。

というのも、普及している電子マネーの泣き所のひとつは、個人間でやりとりができないことだからです。コンビニやスーパー、ドラッグストアでの買い物のほとんどをSuicaで決済していても、飲み会の割り勘だけはSuicaで処理できないのです(自分が幹事となってクレカや電子マネーで支払うなら別ですが、それはそれでSuicaを使って集金するようなことができない)。

私の友人にはほとんどすべての買い物を電子マネーかクレカにまとめている、というファイナンシャルプランナーがいます。しかしその人の悩みは飲み会の割り勘だというのです。それくらい個人間での電子決済はハードルになっているわけです。
しかし、ようやく日本の個人間送金にも動きがみえてきました。そうしたアプリのトレンドを今回は紹介しましょう。

■電子マネーがバージョンアップするより、オリジナルアプリで普及に期待

電子マネーもビジネスのひとつなので、手数料の問題が常に発生します。誰もがSuicaやEdyを端末にタッチさせて決済していますが、そこにはクレジットカードの端末と同様の使用料が発生しています(売り上げの数%および端末設置費用)。

個人がモバイルSuica対応のスマホやカードタイプのSuicaを重ね合わせて「2000円移すね」とやった場合、そうした手数料が取れないわけです。

手数料の問題は個人間送金アプリの重要なポイントになります。「2000円振り込んだから、3.5%の出金手数料はあなたが負担してね」と言われたら誰も幹事をやりたいとは思わないでしょうし、そんなアプリを利用する人はいなくなってしまいます。

そこで、個人間送金アプリはいろいろ工夫を凝らしています。基本的な仕組みは「チャージや送金は無料」「引き出し時には有料」というアカウントを作ってもらうやりかたです。

まず、オンラインバンキングやクレジットカードをリンクさせ、個人間送金アプリにチャージできるようにします。割り勘等の費用はそこから友人のアカウントに振り込みます。

あなたが幹事の場合、振り込まれたお金がアカウントにチャージされて貯まります。これをまた別の割り勘に使えば費用はまったく生じません。このとき、利用限度額があるクレジットカードのようにして、アプリ外の支払いに使うことを認める場合もあります。

しかし、自分の銀行口座にお金を移そうとすると、所定の手数料を取るというのが基本的なしくみです。

■注目の個人間送金アプリを紹介

さて、個人間送金アプリについて、いくつか代表的なサービスを紹介してみましょう。

○LinePay

国内で圧倒的シェアをもつLINEの器を活用して資金のやりとりを行うのがLINE Payです。チャージの方法は銀行口座(オンラインバンキングを登録する)、コンビニからのチャージが選べます。割り勘の際などは、LINEに登録されている友だちリストから選択、支払い依頼ができるのもLINEならではの便利さです。

今までは本人確認が面倒だと批判が多かったのですが、出金に使う銀行口座の登録をもって本人確認が成立するようになりました。

チャージされたお金を出金する際にかかる手数料は216円です。出金せずにLINEPayの支払いに用いたり、JCB系のクレジットカードとして決済に使うこともできます(LINE Payカードを発行する)。

○Paymo

CMでプロモーション中の割り勘アプリがPaymoです。Paymoのユニークなところは文字通り「割り勘」に特化しているところです。割り勘の履歴としてレシートの写真添付を行うほどです(利用金額の合計を超えた集金はできない)。

免許証等を使った本人確認が不要なところは便利で、支払う側はVISAかMASTERのクレカがあれば支払いができます。こちらは今なら手数料無料で行えます(将来的には2.8%の手数料が生じる可能性がある)。

支払ってもらった割り勘費用は自分のアカウントに入金され、そこから銀行口座におろす場合には振込手数料が200円かかることになります。これだけは幹事の負担ということになります。別の飲み会の会費としてPaymoで支払えば手数料は生じませんが、そのお金はアプリ内にプールされていることになります。

○Kyash

無料送金アプリ、をうたっているもうひとつのアプリがKyashです。こちらは出金支払いについてVISA系クレジットカードとして処理することにより利用店舗から手数料を受け取ることでビジネスモデルを成立させています。

基本的な個人間送金の仕組みは他と同様で、クレジットカードを登録、Kyashのアカウントを介して支払いや入金受け取りが行われます。相手がまだアプリを設定していない場合もLINEやFacebok Messenger経由で送金可能としています(その後アカウント登録をしてもらう)。免許証等を使った本人確認は不要です。

基本的に出金はできないしくみです。その代わり、VISA系クレジットカードとして、あるいはモバイルSuicaとしてオンライン決済などに使われることで実質的な出金が可能になります(Suica対応ともうたわれていますが、モバイルSuicaにクレカとしてチャージし使うことを意味しているようです)。

○アプリ以外の手軽な個人間送金

・楽天銀行のFacebook送金

楽天銀行に口座があって、Facebookアプリと連携している場合、楽天銀行アプリからFacebookの友達リストにある友人に送金ができます。

相手も楽天銀行に口座があれば資金移動は無料、他行であれば支払い側が165円を負担します。

・Yahoo!ウォレット(Yahoo!マネー)

Yahoo!ウォレットのアプリをスマホにインストール、Yahoo!マネーにチャージしたお金をLINEやFacebookの友人に送金することができます。

受け取り側は銀行口座に移す場合に、払い出し金額の2.16%(税込み)が手数料としてかかります。そのままYahoo!ショッピングで利用することもできます。

■どのアプリが本命? LINEPayが一歩リードか

割り勘アプリ最大の悩みは「インストールしていない人にインストールさせること」というハードルです。初期設定でアカウント登録するのもハードルとして大きく、友人にちょっとお金を払いたいとき気軽に使えないことが悩ましいところです。

比較してみると、LINEpayはLINEの圧倒的普及率がありますので、「誰でもインストールしている」という意味ではいくらかリードしているといえるでしょう。それでもLINEペイの初期設定をしなければならないので、事前に設定をしてもらう必要があるので要注意です。

各アプリも、未登録者にSMSやSNSのメッセンジャーで通知し、アカウント開設と送金をひとまとめにできることをアピールしています。

■ApplePayも個人間送金に参入?

もうひとつ注目されるのはApplePayの「次の一手」です。iPhone7シリーズより対応してきたApple Payは、SuicaやQUICPay、iDなどの国内電子マネーに対応することで、国内にスムーズに参入することに成功しました。

このApple Payが先日のWWDC2017で個人間送金にも参入することを表明してきたのです。秋以降スタートするiOS11に対応したApple Payで実装される見込みです。

当面はアメリカでスタートするようで、まだ日本での詳細は明らかになっていませんが、iPhoneのSMSツールであるiMassageでやりとりをした相手に金額を通知し送信が可能であり、Apple Payのクレカ登録を行うWallet内に登録されているクレジットカードの支払いとなるようです。

受け取りにはApple Pay Cashという仕組みを用いるようで、ここに送金されたお金がチャージされ、クレカ同様にここからApple Payで支払いをしたり、他のWallet内のクレカに資金移動をできるようにするようです。

日本の場合、世界的にもiPhoneシェアが極めて高い国となっており、Apple Pay対応端末が今後増えていくことを考えると、Apple Payの個人間送金は注目されるところです。

ただ、日本版がどうなるか、特に手数料問題がまだオープンではないのでちょっと気になるところです。

■一番手軽なのはクーポンのプレゼント?

ところで、やりとりが数百円から数千円程度であったら、もっとカジュアルに個人間送金を行う方法があります。それは電子クーポンです。

Amazonの商品券、スタバのフリーチケットなどをオンラインで購入し、メールやSMS、LINE等で送ることができます。飲み会の幹事をして、参加者から3000円ずつAmazonの商品券を送らせる、というのはなんだか変な気もしますが、使ってみると意外にシンプルなやりとりかもしれません。

あるいは、同じ会社の同僚で飲み会をした場合は、オンラインバンキングで振込してしまえば無料になる可能性が高いでしょう。みずほ銀行などは店舗内テレビCMでそうしたPRをしています。

これは同じ銀行の同一支店に給与振込口座を持っている場合、同一店舗内だと振り込む手数料が無料になることが多いことを利用しています。一部条件を満たせば、同じ銀行であれば他の支店でも振込無料になることがありますので、確認してみるといいでしょう。

個人間送金アプリはまだ覇権争いが始まったばかりです。ユーザーとしてもすべてのアプリをインストールして飲み会ごとに使い分けすることは面倒であり、好まれません。おそらくシェアを獲得したいくつかのアプリに収斂していくことになるでしょう。

ここに競争に参加するアプリが追加されるのか、今のメンバーで競争が加速するのか、今後の動向が楽しみなところです。

個人的には「モバイルSuicaを重ね合わせたら2000円移動、手数料無料」としてほしいんですけれどね。

文/山崎俊輔

@DIME編集部

最終更新:8/3(木) 6:30
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