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新種の光る深海ザメを発見、17年かけ判明

8/3(木) 7:20配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

北西ハワイ諸島沖の水深300m強で捕獲、カラスザメの仲間

 体重900グラム以下、体長30センチに満たない小型のサメが新種であることが判明した。大きな鼻に小さな体を持つこのサメは簡単に見分けがつくが、もっとも特徴的なのは暗い深海で輝くことかもしれない。

【写真】新種のサメの大きく奇妙な鼻、ほか5点

 このサメは、新種のEtmopterus lailaeと命名されたカラスザメ属の一種で、フジクジラというサメにもっともよく似ている。米国、北西ハワイ諸島の沖合、太平洋の水深300メートル強の場所で発見された。

 米フロリダ・アトランティック大学のスティーブン・M・カジウラ教授は、17年前にこのサメが見つかったとき、その識別に携わった研究者の一人だ。

「サメの新種にはそう簡単に出くわすものではありませんが、様々な生きものについて、私たちが知っていることはまだほんの少ししかありません。だからこそ、広大な海で小さなサメの新種に巡り会えたことに興奮しています」。カジウラ教授は、大学のプレスリリースでそのように述べている。

 新種を特定するという仕事は、研究者にとっても非常に難しい。このサメのケースでも、論文を学会誌の査読に出して、既存のカラスザメの分類には容易に当てはまらないという返答をもらうまで、どうやら新しいタイプのサメを見つけていたことに研究者たちは気がつかなかった。実際に新種であるかどうかを確かめるため、カジウラ教授と米フロリダ国際大学、米ロードアイランド大学の研究グループは、サメの歯、椎骨、腸について幅広い調査を行うとともに、わき腹と尾の付け根にも特徴的な模様があることを突き止めた。

 さらに、世界中の研究機関の標本と比較して違いを確認した。そして2017年2月に学術誌「Zootaxa」誌に初めて発表され、7月には研究者が所属する機関の広報によって広く知らされることになった。

 カジウラ教授は、プレスリリースに「この新種のユニークなさまざまな特徴から、他のカラスザメとは異なることがわかります」と記している。

 このサメの身体的特徴は、深海ならではの環境で進化したものだ。深海にはほとんど光は届かない。そのため、視覚よりも嗅覚に頼って食べものを探している。鼻が異様に大きい理由もそこにある。

 また、腹部が発光することについては、いくつかの仮説が提案されている。同じ種と確実に交配するためという説から、エサとなる小型の魚やエビをおびき寄せるためという説までさまざまだ。3月に発表されたある別の調査では、深海に生息する生物の75%が発光する可能性があるとされている。

 海は地球の70%以上を覆っているにもかかわらず、まだよく知られてはいない。米海洋大気局によれば、世界の海の95%はまだ人間の目に触れていない。

 6月には、周辺の深海を調査して標本を取得するため、オーストラリアの調査船が1カ月ほどの航海に出発した。そこでは、鋭い歯を持つ不気味な魚や、「顔なし」魚が見つかっている。

文=Sarah Gibbens/訳=鈴木和博

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