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相模原事件について障害者の立場から思うこと   海老原宏美

8/3(木) 14:38配信

創

なぜ今、自分たちで映画を作ったのか

――海老原さんたちは今、映画を作って自主上映を呼びかけていますが、どういうきっかけでそれを製作したのですか。
海老原 もともとこの映画を作ろうと言い出したきっかけは、尊厳死法制化の動きがあって、何とかそれに反対したいということでした。私たちは人工呼吸器を使っている人たちの地域生活支援をやっています。尊厳死を法制化していこうという流れは長年あるのですが、この映画を作ろうとした直前に、にわかに盛り上がって、法律の案が出てきたんですね。
 その案を読んでみると、医師は、患者本人が望まない延命治療を行わなくても責任は問われないと書いてあって、その延命治療の中に私たちが使っている人工呼吸器とか、経管栄養が入っていたわけです。自分の死を自分の望むタイミングで選ぶというのはすごく美しい言葉に聞こえるんですけれど、私は、本当に死にたい人はこの世にいないと思っています。死にたいと言っている人はたくさんいますが、それはこんなふうに生きたいという思いが強いが故に、それが叶えられないから辛くて死んでしまいたいと言うのだと思うんですね。だから、まず社会を変えるとか、安心して生きていける環境を整えていくことが先なんじゃないの、という思いが私たちの中に強くあります。死にたいと言った言葉だけをパッと取り上げて、じゃあ殺してあげようよというのは間違っていると思うんです。
 それを伝えるためにどうしたらよいかを色々考えました。まず人工呼吸器をつけて生きるってどんなイメージですかと聞くと、集中治療室でたくさんの管につながれて、意識もなくて会話もできなくて、ただ死を待つだけというイメージが皆さんの中で大きいんですね。私たちみたいに普通に地域で呼吸器を使いながら生活している人もいる一方で、そういうイメージだけが先行してしまっている。そういう現実が怖かったので、まずは自分たちの生活を見てもらい、知ってもらって、その上でもう一回考えてというふう社会に投げかけたいと思ったのです。それが映画を作ったきっかけですね。
※映画『風は生きよという』の上映予定などは公式ホームページをご覧ください。 http://kazewaikiyotoiu.jp/  (『創』2017年2月号)

海老原宏美

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最終更新:8/4(金) 14:17

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