ここから本文です

【世界陸上】なぜ、サニブラウンは急進化を遂げたのか 9秒5を目指す18歳の「思考のスケール」

8/3(木) 14:50配信

THE ANSWER

日本選手権圧倒V、専門家が語る怪物の凄さ…「9秒台」と「9秒5」を狙う思考の差

 陸上の世界選手権(ロンドン)が4日に開幕する。日本勢にとって注目の一人は、男子短距離のサニブラウン・ハキーム(東京陸協)だ。6月に行われた日本選手権で自己ベストを更新する10秒05で優勝。ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)、桐生祥秀(東洋大)、多田修平(関学大)、山縣亮太(セイコーHD)ら、空前のハイレベルとなった頂上決戦で圧勝し、世陸切符を掴んだ。

【写真】あのトキメキをもう一度…リオ五輪で輝いた「美しく強い」日本の美人アスリート20人厳選ギャラリー

 前評判は決して高いとは言えなかった18歳は、なぜライバルを圧倒できたのか。専門家に聞くと、未完の大器の底知れぬポテンシャルが浮かび上がってきた。

「戦前の報道を見ると『4強』と言われていて、その中にサニブラウン選手の名前は入っていなかった。今年は桐生選手、山縣選手、ケンブリッジ選手に多田選手が食い込んできて、4人の誰かが勝つという見方でした。私自身の頭にもなかったです」

 そう語ったのは、アテネ五輪1600メートルリレー代表で、ランニング指導のプロ組織「0.01」を主催する伊藤友広氏だ。その理由について、直前の大会で200メートルが21秒台と平凡な記録に終わっていたことを挙げる。

「それを考えると、100メートルの10秒0台は考えられなかった。でも、反対に見ると調整が抜群にうまくいったということ。肉体的な調子のバイオリズムはもちろん、技術的にも精神的にも日本選手権にしっかりと合わせてきたと言えるのではないでしょうか」

 抜群の調整力で優勝。結果的に2位に多田、3位にケンブリッジが入り、期待の大きかった桐生は4着で100メートルの世陸切符を逃した。サニブラウンは予選、準決勝で従来の自己ベストを更新する10秒06の好タイムを出し、レース前から下剋上の予感はあった。

レース後の表情に表れたスケールの違い「9秒5を目指す人にとって10秒0台は通過点」

「各選手が彼に惑わされたという印象です。彼が良い記録を出したことによって、彼を意識するあまり、いつもの自分と違う走りになってしまった。そういう結果ではないでしょうか」

 一方、伊藤氏とともに「0.01」でJリーガー、プロ野球の現役アスリートを指導する200メートル障害日本最高記録保持者の秋本真吾氏も「9秒台を最初にマークするのはサニブラウン選手が一番と思っていたけど、あんなに早く突き抜けるとは思わなかった。予想以上でした」と舌を巻いた。

 特に、注目したのは、レース後のリアクションだった。

「ガッツポーズもないし、笑顔もない。日本選手権の優勝は普通でしかない。彼には最終的に世界記録を出すと会見でも言っていました。あの激戦で過去最高のハイレベルの100メートルの決勝で優勝となれば、『ヨッシャー』と喜びを爆発させるのかなと思いましたが、『これは想定内のタイムでしょ』というメンタルだった時点で、ほかの選手とは違う。注目されたレースでしたが、いい意味で、彼が一番何も考えていなかったのではないかと思います」

 伊藤氏も18歳のポテンシャルを称賛する。

「スケールの違いを見た感じがしました。肉体的にもそうですが、思考的に、です。9秒5を目指している人にとって10秒0台は通過点でしかない。『9秒台もそのうち出るよ』と自分の能力を疑っている様子もない。10秒0台の選手が10秒00をいかに切るかという考え方をするとお、そらく日常の延長線上で物事を考えていくと思いますが、9秒5を見ている人にとってはまた違うのだろうなと。いろんな考え方や行動などが変わってくるんだろうなという印象です」

 その裏で、進化も見て取れたという。

1/2ページ

最終更新:8/3(木) 17:02
THE ANSWER

記事提供社からのご案内(外部サイト)

THE ANSWER

株式会社Creative2

アスリートを目指す子供たちや競技者の育成とスポーツの普及をテーマとした総合スポーツニュースサイトです。