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人工知能が検診の見落としを防ぐことは可能か?

8/3(木) 6:15配信

JBpress

 6月29日、NHKが「青森県のがん検診で多数の見落としがある」というニュースを報じました。青森県が、県内でがん検診を受けた人を対象に調査したところ、胃がんと大腸がんについて検診で患者の4割が見落とされていた可能性があることを示す分析結果がまとまったというのです。内部告発にも近いインパクトのある報道でした。

胃がんはこの写真のどこにあるのでしょうか?

 これに対して、全国のがん検診を統括する国立がんセンターは声明を出し、以下のような見解を発表しました(「情報提供:青森県のがん検診での見落としに関する報道について」)。

 ・青森県内の一部の自治体のみのデータであり、より多くの範囲で調べないと数値は信頼できない。
・照合のための観察期間が2年間と短く不十分である。
・小さい早期ガンは見落としに含めるべきではない。

 国立がんセンターは、“報道された数値はごく予備的な数値に基づいて算出されているので、慎重に解釈し、適切な判断を行う必要がある“としています。つまり、「報道ほどの見落としはないのではないか?」と言いたげな内容です。

 がんの見落としの正確な割合を計測するのは非常に困難です。報道の内容については、確かに“慎重に解釈”することが求められるでしょう。

 一方で、「見落とし」は起こり得るのだということも心しておかなければなりません。医療界は、見落としを防ぐためにありとあらゆる努力を行う必要があります。

 現在、私たちは「内視鏡画像人工知能診断支援システム」の開発を進めています。このシステムは、がんの見落としを防ぐ手段の1つとして必ず役に立つと考えています。

■ 乳がん検診では15~30%の見落とし? 

 青森県の今回の報告では、検診を受けて異常なしと判定されたのに1年以内にがんと診断された人を“見落としの可能性がある”と定義しています。延べ2万5000人を対象に調査を行い、その割合を計算したところ、バリウムによるX線胃がん検診で40%、“便潜血検査“を行った大腸がん検診で42.9%でした。

 調査範囲が限られているとはいえ、4割ものガンが見逃されているという事実は十分衝撃的です。さらに、それ以上に反響が大きかったのは、“専門家によると、がん検診では20%程度の見落としは許容範囲”という部分でした。

 その背景としては、がんの発見率を100%に近づけようとすると、本来必要でない精密検査を行うことで健康被害を引き起こすおそれがあることと、20%程度であれば次回の検診で見つければ影響も少ないから、とされています。

 実際に、NHKの報道を受けて国立がんセンターが出した声明文にも、「感度は、例えば乳がん検診においては70%から85%前後」と明記されています(「感度」とは、がんが本当にある人が、検査でがんであると診断される確率のこと)。つまり、検診で15~30%の乳がんが見逃されている可能性があるということです。専門家的にとってはいくら当たり前のことでも、一般の方にとってはこちらの方が衝撃的な情報だったようです。

 検診の精度はそれくらいが精一杯なのです。なので、検診で異常がなくても、気になる症状が出た場合はためらわずに再検査を相談することをお勧めします。

■ 早期ガンの発見は職人技

 さて、がん検診が20%の見落としを許容していることに違和感を感じる方も多いでしょう。なぜ、早期ガンの発見が難しいのでしょうか。

 以下の写真をご覧ください。胃がんはどこにあるのでしょうか。

 正解は次の通りです。

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最終更新:8/3(木) 6:15
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