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キリンが一番搾り刷新で狙う首位は「トリプルスコア」挽回の茨の道

8/3(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 「30周年を迎える2020年が一つのゴール。『一番搾り』を日本のビールの本流にしていきたい」。キリンビールの布施孝之社長は、一番搾りのリニューアルを発表した今夏の説明会でビール再起への熱を込めた。

 「一番搾りをビールの本流に」という社長発言の背景にあるのは「トップシェア奪還」。キリン幹部はそう語気を強める。

 現在、国内のビール市場でトップシェアを走るのは、アサヒビールの「スーパードライ」だ。キリンは1998年にビールのシェア首位をアサヒに奪われて以降、業界2位がすっかり定着してしまった。そんな中で近年、「キリンラガービール」とのツートップ展開から転換し、一番搾りを明確なフラッグシップブランドと位置付けてのてこ入れに乗り出した。

 確かに、縮小傾向のビール市場にあって、一番搾りブランドは、地域別に専用商品を展開する「47都道府県の一番搾り」キャンペーンなどもあり、3年連続で販売数量が増加している。17年の計画も前年比6.9%増と野心的だ。クラフトビールなどの個性ある商品に注力するのも、「最終的には一番搾りに帰ってきてもらいたい」(前出のキリン幹部)という本音があるから。今夏のリニューアルで味を改良し、過去最高水準の広告出稿を仕掛けて市場拡大を狙う。

● 海外展開もてこ入れ

 今回のリニューアルに合わせて海外の製品も一新する。一番搾りの16年の海外販売数量は前年比2割増と好調だ。同社として初となる国内外同時の大型リニューアルで、20年には北米やアジアを中心に15年比5割増となる800万ケースをキリン全体で目指す。

 「一番搾りは日本を訪れた外国人観光客からの人気も高い」と別のキリン幹部。日系ビールの中でも「日本らしさ」のイメージを強く持たれているからだ。インバウンド需要の取り込みも含め、世界で日本ビールの代名詞としてのポジションを確立するべく、一番搾りグローバルブランドマネジャーというポジションも今回新設した。

 一番搾り復権シナリオの種まきは着々と進められている。しかし、首位の座を取り戻す悲願達成までの道のりは長く、険しい。

 国内において、一番搾りの16年の販売数量は3500万ケースで、スーパードライの1億ケースに大差をつけられている。「現実的に数年でどうこうできる数字ではない」(別のキリン幹部)というのはキリンも分かっている。

 海外でも、スーパードライは販売数量1000万ケースほどの規模を持っており、キリンはやはり後塵を拝している。

 スーパードライは発売から約10年で、アサヒにシェアトップの座をもたらした。一番搾りは発売30周年を迎える20年に、スーパードライとの差をどこまで詰められるか。それ次第で復権の成否も見えてこよう。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

週刊ダイヤモンド編集部

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