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米韓声明にメディアが報じない「隠し文言」、韓国は米中の板挟みに

8/3(木) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 北朝鮮が7月28日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射すると、トランプ大統領と安倍首相は非難の声明などを発表、中でも韓国の文在寅大統領は、従来、配備に慎重姿勢をとってきた米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)について発射台の追加配置を米国と協議するよう軍に命じた。「北朝鮮寄り」「中国重視」との指摘を受けてきた韓国の文政権だが、実は6月末の文大統領の訪米で事態が大きく転換していた。

 韓国政府が説明せず、韓国メディアも沈黙しているが、その時の米韓共同声明には「過去の保守政権も絶対に受け入れなかった」という“隠し文言”が盛り込まれていた。

 悪化していた米韓関係は一気に、修復されたが、これに中国が反発する第二幕が展開されている。北朝鮮の武力挑発が続く中、日米中韓の水面下の外交ゲームも丁々発止が続いている。

● 米韓共同声明に「隠し文言」 南シナ海領有問題で中国牽制

 「過去、9年間の保守政権ですら、受け入れなかった文言が並んでいた」(元韓国政府高官)。6月30日、米トランプ大統領と文大統領のワシントンで行の首脳会談から7時間余り後。発表された共同声明を見て、少なからぬ韓国の元外交官や元高官らが仰天した。さらにこの文言が、約1週間後に控えていた中韓首脳会談を緊迫したものにする。

 共同声明のその文言とは、「両国はアジア太平洋地域での規範を基礎とした秩序を支持する」(United States and the ROK will work together to support and uphold the rules-based order in the Asia-Pacific region)という部分だった。

 「rules-based orderは、自由民主主義を意識した米国が中国を強く牽制する表現。

 日米では珍しくないかもしれないが、韓国は中国の北朝鮮に対する影響力を考えて、これまで受け入れたことはなかったし、オバマ政権もそれほど強く要求してきたことはなかった」と別の元高官もこう指摘する。

 「おそらく、南シナ海の領有権問題などで台頭してきた中国の軍事力への警戒感と、北朝鮮政策で協力しない中国への不快感が、トランプ政権を突き動かしたのだろう」

 中国の動きを牽制することを狙って、米国が韓国側に強く迫って、盛り込んだものだといわれている。

 韓国政府の関係者は、この文言が入った背景を「規範を基礎とした秩序と言えば、北朝鮮に向けた言葉とも言えるから」と“釈明”する。

 だが、同じ共同声明の中で、別の段落では(北朝鮮に対する)日米韓の安全保障協力も強調していた。元高官の1人は「二つの段落を組み合わせれば、どの国を念頭に置いたものか、明々白々じゃないか」と語る。

 文政権が米国との関係修復に一気に舵を切ったことにも驚きが拡がった。

 「米中関係がこんなに悪いのかと驚いたし、何よりもこんな言葉をよく文在寅政権が受け入れたものだとさらにびっくりした。韓国が譲歩したものはあまりに巨大だ」と、別の元高官は語る。

 「たかだか、文章。そんなに重いのでしょうか」と私が意地の悪い質問をすると、元高官の1人は首を振った。「首脳の共同声明は非常に重い。後でごまかせば、その国の信頼が大きく損なわれる。韓国はこれから、この声明を証文にして、米国から中国に対する安保協力を繰り返し求められることになるだろう」。

 なぜこのような米国側の利害を重視した「非対称な取引」(元高官の1人)が成立したのか。

● 「THAAD」配備で溝 関係修復に韓国側が譲歩

 「韓国側は焦っているように見えた」。米国側の関係者は、首脳会談前の韓国政府の様子についてこう振り返る。

 米韓関係は米国の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)配備を巡って荒れ模様だった。

 発端はトランプ大統領の発言だった。4月27日、THAADの費用について「韓国側が支払うのが適切だと(韓国政府に)伝えている。10億ドル(約1112億円)のシステムだ」と発言。慌てた韓国側の要請で、米韓両政府が「兵器の費用は米国の負担」とした従来の合意を確認する騒ぎになった。

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