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24歳・芸歴8年「地下アイドル」の堅実な仕事観

8/3(木) 6:00配信

東洋経済オンライン

これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介が神髄を紡ぐ連載の第5回。
 現在、世の中は数多のきらびやかなアイドルであふれている。

【写真】地下アイドルとして活躍する姫乃たまさん

 彼、彼女らの多くは、アイドルグループに所属しており、また芸能事務所(芸能プロダクション)に所属している。どの団体に所属しているかが、アイドルとしての大切な“個性”の1つになっている。

 そんな中、フリーランスで活動する女性アイドルがいるという。生き馬の目を抜く芸能界の中、たったひとりで戦っていくとは、どれだけたくましい、海千山千の女性なのだろうかと想像していたのだが、現れたのはむしろ押しの弱そうな、うら若き女性だった。

 姫乃たまさん(24)、その人である。

 席に着くとすぐに、

 「本当に私で大丈夫ですか?  本当に普通ですよ?  なにか面白い話あるかなあ?」

 と、自信なさげに首をかしげる。フリーランスでアイドルを何年も続けている時点で、普通ではないと思うのだが……。何はともあれ、アイドルになるまでの経緯から伺った。

■アイドルになるまでの経緯

 姫乃さんのようにフリーランスで活動するアイドルは“地下アイドル”と呼ばれる場合が多い。“地下アイドル”は、性格的に引っ込み思案で、人見知りな人たちが多いという。スクールカースト(学校内の身分、立ち位置)が上位の子は、あまり入ってこない世界なのだ。

 ただし、姫乃さんは小学校時代を明るく過ごした。姫乃さんが、生まれ育った東京都世田谷区下北沢はお金持ちの家が多かった。クラスメートのほとんどは、早くから受験勉強をしていて、いかに早く国立や、私立の中学校に入学するかを競っていた。

 姫乃さん以外のクラスメートはほとんど全員、塾に通っていた。塾の成績の良い子はねたまれてイジメの対象になったり、ケンカになったりしたし、受験のストレスから教室で暴れる子がいて授業にならないときもあった。

 「つまり学級崩壊だったんですよね。ただ、私は、受験をしていなかったために、巻き込まれることはなく、のほほんと楽しく過ごしました」

■公立中学でイジメの対象に

 姫乃さんの実家はお金持ちではなかったし、両親は受験に興味がなく、姫乃さん自身も特に将来の夢もなかったので、受験はせずに地元の公立の中学校に進学することにした。公立の学校に来る子のほとんどは、受験に失敗した子や、受験をあきらめた子であり、皆、劣等感を抱いていた。

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