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メンタルの強さを計る尺度を開発。伊藤華英が大学で研究したこと。

8/3(木) 8:01配信

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 スポーツ現場でよく聞く言葉がある。

 「メンタルが弱い」「あの選手は大事なところで弱いんだよな」とか、「メンタルが弱いから結果がついてこない」といった声は、どんな競技でも頻繁に聞こえてくる。

 では「メンタルが強い選手」とはどんな選手を表すのか。

 そもそも世界の舞台に立っているのだから、フィジカル的にもメンタル的にも弱い選手はいないはずだ。国内の熾烈な戦いを乗り越えてきているし、実力的にも十分に戦える選手が世界大会に立っているのだから。

 今回のブダペストで行われた水泳の世界選手権でもそうだったが、ベストの結果を出せた選手、出せなかった選手の何が異なるのだろうか。

 私は、結果を出す選手たちはどのようにレースに向かい、何を実行しているのかについて純粋に知りたいと思った。私も現役時代に何度も世界大会の決勝という舞台に立っているが、自分の前でトップを泳いでいた選手たちのことをもっと知りたいと思ったのだ。

 オリンピックの舞台で戦う選手が、その競技の卓越したセンスや才能の持ち主であることは容易に想像がつくが、最終的に結果を残す選手がどんな選手なのか、ということでもある。

精神的な強さを示す「メンタルタフネス」。

 結論を一言で言うと「人間的に素晴らしい選手」「感謝の気持ちを表現できる選手」こんな選手が結果を出すケースが多いが、私が研究のメインにしたのは、「メンタルの強さとは」という疑問だった。メンタルについて、エビデンスベースで究明したいと感じて、早稲田大学、順天堂大学で研究してきた。

 調べていく中で、メンタルが強いというのは心理学的な言葉で言うと「メンタルタフネス」ということが分かった。

 様々な視点を検討した結果、「Psychological Strategy」や、「Psychological Preparation」などを経て、最終的に精神的な強さを示す「メンタルタフネス」という概念に辿りついた。

 しかしこの分野の先行研究を整理していると、日本での文献は数が少ない。海外の研究成果を探していくと、スポーツにおいて、このメンタルタフネスが競技力向上にとって重要であると示す結果が数えられないほど見つかった。中には「メンタルタフネスは、競技力向上に最も重要である」と結論付けているものさえあった。

 対象の競技を野球やサッカーに絞り込んだものでも、スポーツ全体としたものでも、傾向は同じだった。

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最終更新:8/3(木) 8:01
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