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薬併用の危険 副作用や症状悪化招く「処方カスケード」とは

8/4(金) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 病院で何種類もの薬を処方されても、「これも病気を治すためだ」と日々、忘れずに飲み続けている人は多い。だが、その努力は“逆効果”になってしまうかもしれない。薬の副作用や相互作用により、想定外の症状が発生することがあるからだ。健康リスクのボーダーラインは5~6錠だという。

 だが、医師がこれを「新たな病気の発現」と勘違いして新たな薬を追加処方し、その服用がまた新たな副作用や症状の悪化を招くことを「処方カスケード」と呼ぶ。カスケードとは英語で「物事が連鎖して続くこと」を意味する。

 医師が1種類の薬を処方する場合は、副作用を把握したうえで処方するので心配は少ない。2剤における相互作用は、医薬品の「添付文書」に示されている。ところが、「3剤以上の相互作用は未知数」だというのは、国際感食協会理事長で薬剤師の宇多川久美子氏だ。

「3錠以上に至っては現実的には検証は不可能だといわれています」

 都内在住の80代男性は、年とともに高くなる血圧を下げるために、それまで使用していた降圧剤とは別の種類に切り替えた。すると、その直後に咳き込むようになってしまった。男性が振り返る。

「あまりにも咳が辛かったので、持病の高血圧を診てくれている内科医にかかりました。すると医師は咳止めを処方してくれました。ところが、咳が止まらないんです。『おかしいな』と思い、今度はもっと大きな病院の医師を受診したところ、さらにもう1種類、咳止めを服用することになりました。しかし今度は酷い便秘に悩まされるようになった。もうろうとすることが増え、ある日の朝食後に、意識を失って病院に緊急搬送されました」

 男性は結果的に、「降圧剤」「咳止め」「別の咳止め」の3つの薬を服用することになった。何が起こったのか。前出・宇多川氏がこう推測する。

「男性が咳き込むようになったのは降圧剤の副作用だった可能性があります。それを抑えるために服用した咳止めのせいで今度は便秘になり、さらに3種の薬が相互作用を起こしてしまい、意識混濁を生じさせた可能性があります」

 高齢化が進む現在、増え続ける認知症患者の処方カスケードも懸念される。たかせクリニック理事長の高瀬義昌医師が話す。

「認知症の患者は高齢者が多いために、様々な疾患を抱えているケースが多く、複数の診療科で薬を処方されていることがほとんどです。

 10~20種類の薬を飲んでいることも珍しくありません。そのうえで認知症の周辺症状である徘徊や抑うつなどを防ぐために、抗うつ薬や抗精神病薬、睡眠導入剤といった『向精神薬』を処方されることが多い」

※週刊ポスト2017年8月11日号