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先生、ソレ本当はアウトです。先生がやっちゃいがちなNG行為

8/4(金) 14:03配信

教員養成セミナー

■公立学校でのハロウィン
 公立小学校で国際理解教育として総合的な学習の時間にハロウィン( Halloween )の仮装大会を行おうと準備を進めていたら、保護者から日本国憲法(以下、憲法とする)と教育基本法で禁止されている宗教活動に抵触するおそれがあるのではとの指摘がありました。ハロウィンが宗教活動で憲法や教育基本法に違反するとは、一体どういうことだろう。


■ハロウィンは仮装大会のことだろうか。
 ハロウィンの起源については諸説ありますが、一般的には2000年以上も前のケルト人の宗教的行事、「サウェン祭」が起源だと言われています。古代のケルト人は、10月31日から新年11月1日をまたぐ夜(古代ケルトの1年は11月1日~10月31日)、死者の霊が家族の元に帰り、その霊と共に魔女や悪霊も町を徘徊し、災厄を招く神々が人々の前に現れると信じていました。そこで、その夜にはかがり火をたき、悪霊が家に入らないようにしていたというのですが、これがハロウィンの起源だとされています。


■宗教と習俗化した行事の境界線は?
 下級審判決は、宗教を「『超自然的、超人間的本質(すなわち絶対者、造物主、至高の存在等、なかんずく神、仏、霊等)の存在を確信し、畏敬崇拝する心情と行為』をいい、個人的宗教たると、はたまた発生的に自然的宗教たると、創唱的宗教たるとを問わず、すべてこれを包含するもの」と定義づけています。この定義によれば、ハロウィンは宗教的活動にあたるといえそうです。しかし、行事の中には、発生的には宗教的な起源を有しながら長年の間に人々の日常生活に溶け込み習俗化したものがあります。門松、豆まき、七夕、クリスマス・ツリーなどです。このような宗教活動性を有しない習俗化したと見られる行事については、公立学校が行っても、直ちに憲法や教育基本法に違反するとは考えられていません。


■憲法や教育基本法は国公立学校での宗教教育や宗教活動を禁じている。
 憲法第20条第3項や教育基本法第15条第2項で公立学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教活動をしてはならないとしています。ハロウィンの仮装を宗教的な起源を有しながらも習俗化したものか、宗教活動の一種と考えるのかによって結論に違いが出てきそうです。

 実はこの線引きは難しいのです。ただ言えることは、憲法第20 条が規定している信教の自由は、内心における宗教上の信仰の自由であり、それは特定の宗教を信ずる自由、その信仰を変える自由、およびすべての宗教を信じない自由が含まれます。そのことから宗教を信じていない人にとってはいかなる宗教的活動も、また自己の宗教を篤く信じている人にとっては他宗教にかかわりがある活動を公立学校で行うことに、自己の信仰の自由を侵されたと思う可能性があります。グローバル化した今日の学校においては宗教にかかわりのある行事を行うときは十分な配慮が必要です。ハロウィンの仮装大会と国際理解教育との関係がはっきりしませんが、仮装大会を通して国際理解教育を行うのなら、保護者の協力の下さまざまな民族衣装を集めたり、児童たちが紙で製作したりして、披露する会とすれば問題はないと思います。


※「教員養成セミナー2017年9月号」より

山本豊(やまもと・ゆたか)
東京福祉大学こども学科教授
千葉大学法学政治学専攻(現・法政経学部法学コース)卒業後、東京都庁に勤務。30歳で教員免許を取得し、東京都の教員となる。2005年より東京福祉大学教授。

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