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人手不足なのに賃金が上がらない本当の理由とは

8/4(金) 13:49配信

nippon.com

人手不足になれば賃金が上がるという経済学の「常識」が崩れている。政府が言うように設備投資不足が原因なのか。筆者は高齢者の非正規労働市場参入、企業の労働者への能力開発の不足といった要因を指摘。賃上げに向けた第一歩として「労働者はボーナス増加へ声を上げるべきだ」と提案する。

止まらない人手不足

公共職業紹介機関「ハローワーク」が把握する、求職者数に対する企業の求人件数を意味する有効求人倍率は、世界不況後の2010年以降上昇を続けてきた。最新の17年5月には1.49倍と、3件の求人に対し、2人しか採用できない人手不足となっている。完全失業率も23年ぶりに2%台の低水準を記録するなど、雇用のリストラや「就職氷河期」(バブル崩壊後の1993年~2005年)と呼ばれた人手余りの時代は、遠い過去にすら感じられる。

経済学の教科書を読むと、人手不足になると賃金が上昇すると書かれている。日本でも人手不足が賃金増加を生み、結果的に物価も上昇、長引くデフレも終焉(しゅうえん)が期待されてきた。だが、人手不足が続いているにもかかわらず、賃金には一向に上がる兆しが見られない。バブル崩壊後の1993年以降、実質賃金はほぼ横ばいのまま推移し、人手不足が深刻となった最近は、むしろ減少する状況すら生じている。

そうなると賃金が上がらない理由が気になる。多くのエコノミストは、非正規雇用の増加にその原因を求めてきた。今や雇用者の約4割を正社員以外が占めるなど、非正規雇用は多くの職場にとって欠かせない存在となった。正社員に比べて賃金が低い非正社員が増えたことで雇用者全体での平均賃金が下がったと、彼らは主張する。

ただ非正規雇用が増えた理由が求人の増加だとすれば、非正社員の賃金は増えてもよさそうなものだが、そこでも顕著な上昇は見られない。さらに新規学卒者の採用内定率が急上昇するなど、正社員の求人も着実に増える一方で、正社員の賃金も伸び悩んだままである。どうやら賃金が上がらないのは、非正規雇用が増えたという理由だけではないようだ。

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最終更新:8/4(金) 13:49
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