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ラオス・山岳地帯でも難病治療を「あきらめない」

8/4(金) 15:23配信

オルタナ

特定非営利活動法人フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN(以下、フレンズ 東京・中央)の代表を務めている赤尾和美看護師は、2015年2月に開院した「ラオ・フレンズ小児病院(LFHC)」のプロジェクトに関わっています。2016年夏に、クラウドファンディングを成功させ、病院に安全な手術室をオープンしました。

今回のプロジェクトで赤尾さんが取り組んでいるのは、遺伝性の血液疾患「サラセミア(地中海貧血)」という病気を抱える子どもたちへの支援です。サラセミアは、予防が不可能かつラオスでは根治できない病気であるため、疾患を抱えている患者は一生治療し続ける必要があります。サラセミア患者の子どもたちのための支援について、赤尾さんの想いを聞きました。(聞き手・Readyfor支局=徳永 健人・オルタナS支局スタッフ)

――昨今のラオスの医療事情、衛生事情について伺いたいのですが、フレンズはラオスでは現在どのような活動を行っているのでしょうか?

赤尾:昨年のクラウドファンディングで支援金を募り、小児病院に安全な手術室をつくることができました。外来から始まり、救急、手術室や新生児室と、院内すべての部署を開くことができました。

しかし、院内部署はすべて開けたものの、今後の課題はアウトリーチでの「予防教育の充実」です。私は今、実際に疾患を抱える患者さんへのフォローアップを行っていますが、そもそも、その病気にかからなければ病院に来る必要はないし、負担になりません。

コミュニティアウトリーチプログラムという予防啓発活動を、今年の9月ぐらいから始めようと考えています。まずは患者さんの数や現状のニーズを正確に把握するところから始めていき、これから数年をかけ、活動立案と評価を繰り返して内容の充実を図る予定です。また、病院全体としては、現地のラオス人のリーダー的存在を作るため「教育」をメインに取り組んでいきます。

――コミュニティアウトリーチプログラムでは、どういった方を対象に「教育」していくことになりますか?

赤尾:対象は、主に村人ですね。実際にニーズ調査を行い、調べてみないと分からないこともありますが、例えば衛生が良くない理由は、「物がないから」なのか、それとも「知識がないから」なのか、そういった分析をまずは行う必要があります。

そして、その原因に沿ったアプローチをとっていくつもりです。村単位を管轄している保健センター、そしてそれを管轄している郡病院へのアプローチと啓発活動になると考えています。

――教育の対象はコミュニティ全体なのですね。村人・保健センター・病棟で働く人など多数の対象になると思います。具体的に啓発活動はどのようなことをするイメージでしょうか。

赤尾:基本的には予防教育ですね。例えば、「手を洗うのであれば、こうする必要があります」とか、「栄養の摂取の際に気を付けること」などです。

私の活動地域では、栄養失調が思った以上に多いです。いろいろな要因があるのですが、文化的な背景による食事制限が散見されます。民族によっては「肉は、皮膚の黒い肉しか食べちゃいけない」などが代表的な例です。

ただでさえ食べ物がない時、皮膚の黒い鶏肉とか豚肉が手に入らない時、手元に残されるのはお米などだけ。彼らはお腹を膨らませるために、それに水をかけて食べたりしているんですよね。彼らの文化の中で、「現実的に信じているもの」と、「栄養が足りていないという事実とその対策」をどうマッチングするか、がとても難しいです。

もちろん彼らが信じているものを否定することはできないので、うまくやっていかなければなりません。ですので、予防教育はとてもチャレンジングになると思います。

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最終更新:8/4(金) 15:23
オルタナ

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