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お手本はヨタハチ!──トヨタ86の開発責任者に聞く

8/4(金) 17:10配信

GQ JAPAN

86の開発にあたってAE86を研究した。それはハードウェアに関してではなかった。

■起爆剤は『頭文字D』

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GQ─AE86の愛称を引き継いで4年前に生まれた現行86。ズバリ、元祖を超えたんでしょうか?

多田─ハッキリ言ってまだまだです。理由はいくつかありますけど、初代にとって一番の起爆剤は『頭文字D』だったと思うんです。あれがトリガーになって世界中に86というカルチャーが広がったんですよ。

GQ─でも、AE86は漫画になる前から、けっこう人気車でした。

多田─確かにレーサーの土屋圭市さんが乗っていて、走り屋の間では有名でした。でも一般的に広まったのは漫画のおかげです。そもそもあの漫画の凄さはいろいろあって、読者は「クルマ好き」の「オタク」だろうって思うじゃないですか。

GQ─思います。

多田─ところが出版元に聞いてみると6割は女性なんです。マニアックな峠好きはせいぜい2割。

GQ─ええ! 連載していた『ヤングマガジン』って男性漫画誌ですよ。

多田─でも本当なんです(笑)。実は86を発表したときに、Yahoo !の一般の検索ランキングで突然1位になったことがあって、一般検索ワードで自動車が1位になるなんて普通ありえない。その中身を調べると、ほとんど女のコが検索してるんです。

GQ─ほとんどミステリーですね。

多田─漫画を買っている女性は、クルマ好きもいるんですが、一番のポイントは藤原拓海っていう頼りない主人公がのめり込んで頑張っている姿にグッとくるらしい。

GQ─わからないもんですね。この4年間で、86は世界で20万台も売れたそうですけど、まだ足りない?

多田─『頭文字D』の続編が出てね、藤原拓海の息子が新型86に乗るってなればいいですけど(笑)。

■「後期型」で変わるのは?

GQ─ところで、86はAE86を本当に手本にしたんですか?

多田─いえ、まったく。ハードウェアは、どちらかというとヨタハチとか2000GTをお手本にしました。

GQ─でも、名前は「86」ですよね。多田 その分、ソフトウェアとしては最初から86を狙って、物凄く研究しました。手軽なFRで、人が4人乗れるものを、と。つくる前に1年ぐらい世界中のクルマファンの調査に行ったら、みんなそういうものが欲しいと言う。ただし、「適当に速くて楽しいクルマ」なんて、メーカーの社内会議を通らない。

GQ─それが通っちゃった(笑)。

多田─スバルの技術が使えたのは、まったくの偶然です。当時たまたまトヨタがスバルと提携したタイミングで、いまスバルは絶好調だけど、当時は余裕があって、一番優秀なエンジニアを貸してくれたんです。

GQ─実際、この2台、機械的成り立ちはまったく違う。

多田─AE86はカローラがベースで、特別速くもないし、ハンドリングもクセがありました。でも、古いカローラのプラットフォームを使ってるから、互換パーツが物凄くあった。ワンサイズ大きなマーク2のハブとか、以前のレビン/トレノ用のモータースポーツ部品とか、古くて安いのがたくさん使えたんです。

GQ─そういう部分が、AE86が世界に広まったもう一つの理由だと。

多田─買った後にカスタム化で盛り上がるとか、何度も直して長く使われるとか、それがAE86の真の凄さで、そういう世界を意図的に再現できないかといつも考えています。

GQ─焼き鳥のタレが継ぎ足し継ぎ足しでうまくなるみたいな世界ですね。そういうクルマの愛され方って普通ないし、簡単には超えられない。

多田─今回の後期型の発売で大きく変わるのは中古車市場です。後期型はエンジンからボディからデザインまで、あらゆるところを良くしてますけど、それ以上に良質な前期型の中古が世の中に出回ることがデカい。実際に86は最初から中古を待っているお客さんがたくさんいますから。

GQ─カスタム希望のお客ですね。

多田─そのために後期はパーツの取り付け点とかネジの位置を一切変えてないんです。普通のマイナーチェンジでは変えますけど、既存の交換パーツがパーになっちゃうんで。

GQ─なるほど。わかってますね。

多田─現行86には今までにないお客さんがついていて、「走り屋じゃないけど、クルマの写真を撮るのが好き」とか「ファッションと合わせて自撮りする女のコたち」とかね。

GQ─ホントですか? それは将来のAE86超えに期待できますね。

多田─今後どうなるかです(笑)。

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最終更新:8/4(金) 17:10
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