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警察の「予算ルール」の重大な変化は、国民監視強化を意味するのか 「捜査」よりも「監視」に重点、ってこと…?

8/4(金) 14:01配信

現代ビジネス

犯罪統計、よくある間違い

 近年の犯罪統計は急増減という異常な変動を記録している。この背後には、警察予算の増減を左右するルールの変更があった(参照「予算獲得ルールと連動する刑法犯認知件数」)。その変更は、何気なく為された可能性もあるのだが、より重大な刑事政策の大変革を先取りするものであったことを指摘しておきたい。

 先に、犯罪統計についておさらいしておきたい。

 警察庁が集計し毎年犯罪白書冒頭図に掲載される一般刑法犯認知件数(交通事故を除いた刑法犯)のグラフを見てみると、2002年のピーク前の増加ペースもすごいが、ピーク後の減少ペースも早い。

 とりわけ注目しなければならないのは、ジグザグにならずに毎年「順調に」増減していることである。図1を参照してほしい。このスムーズさは人為的な影響の懸念を抱かせるものである。

 警察統計である犯罪認知件数が、犯罪の発生件数を表すわけではないことは、犯罪統計の見方の初歩として習うことである。

 残念ながらこれは、よく間違われている。

 日本の戦後直後は、治安は大荒れだったが、統計上、凶悪犯は今の数倍認知された一方で、暴行など軽微な犯罪はほとんど認知されなかった。軽微な犯罪には警察の手が回らなかったのであろう。

 その結果、凶悪犯と軽微な犯罪の合計犯罪認知件数は、それほど多くなかった。これでもって、戦後直後の犯罪発生件数は、たいしたことがなかったと解釈してはいけない。

 もっと極端な例をあげれば、わかりやすい。

 警察力が壊滅するほどの治安悪化状況では、犯罪認知件数はゼロに近づく。他方、警察力が強くなって、全ての軽微な犯罪まで対処できると犯罪認知件数は増加する。

 犯罪統計は、実は第一に警察の働き具合を示すもので、犯罪者たちの活動の多寡を示すものではない。戦後、警察官の数は一貫して増加していることを念頭において犯罪統計は見なければならない。

警察予算のカラクリ

 以上が、教科書的な知見であるが、それなら犯罪実態は、どうすれば計測できるかといえば、被害者実態調査を実施すればよい。

 これは、3000人の日本人をランダムにサンプルし、過去1年間と5年間で、どのような犯罪被害に遭ったか尋ねるものである。これによれば、被害届を出していない犯罪もカバーできる。

 犯罪学者は、治安状況を比較する際にはこちらを参照する。国連が音頭を取る4年ごとの調査に日本が参加した結果をみると、2000年から2012年まで変化は小さい(法務総合研究所の「第四回犯罪被害(暗数)調査結果報告書参照)。

 最も、この間、日本社会の治安が揺らぐほどの大きな社会変化はなく、これは当たり前のことである。

 なお、被害者調査は、殺された人にアンケートできないので殺人事件だけは数えられないが、殺人については、警察力が一定程度あれば、認知件数に依拠しても、本当に発生した殺人件数からそう大きくはズレないと考えられる。

 殺人認知件数の推移はこちら図3である(筆者作図)。

 戦後、一貫して治安は大幅に向上している。昭和ノスタルジーに浸る人々は「昔は良かった」と主張するが、たとえば、1950年代終盤の刑務所からの脱獄者数は、年間700~900人、1960年代も年間三桁だが、最近10年間は、合計1人である。

 以上のように、犯罪白書にあるような犯罪急増も、急減もなかったことは間違いないのだが、それなら、なぜ、このような統計が取られたのであろうか。

 答えはいたって簡単、2002年以前は、犯罪が多いほど、治安対策として国家予算が増額されたのだが、2002年以降、はやりのPDCAサイクルにより、警察の政策目標設定が犯罪の減少となり、犯罪が減少するほどに、政策効果が出ているということで予算が増額されるようになった。

 そのせいで、犯罪認知件数は減少の一途をたどっているわけである。わかりやすすぎる話である。財務省広報誌『ファイナンス』の記事で仕組みは確認できる。

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最終更新:8/4(金) 14:01
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